

監修者無所属 薬剤師
NMNは体内のNAD+を増やすと報告されていますが、身体機能への効果は今のヒト試験でははっきり確認されていません。短期間の安全性はおおむね良好とされています。
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NMNとは?体内のNAD+を増やすとされる成分
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、体内でNAD+(エヌエーディープラス=エネルギーづくりや細胞の働きに関わる物質)のもとになる成分です。加齢とともにNAD+は減るとされ、それを補う目的で注目されています。
65歳を超える健康な男性が250mgのNMNを毎日6週間または12週間続けたところ、血液中のNAD+やその関連物質が有意に増えたことが報告されています[npj Aging. 2022;8(1):5.]。また、40〜60歳の健康な日本人男性10人を対象にした試験では、口から摂ったNMNが体内で代謝されることが示されています[Endocr J. 2020;67(2):153-160.]。
NMNの効果は科学的にどう評価されている?
身体機能への影響については、まだはっきりした結論は出ていません。平均60歳を超える人を対象とした試験を集めたメタ解析では、握力に有意な差は確認されませんでした(5件の試験をまとめた解析で、左手は平均0.61kgの差、95%信頼区間は−0.89〜2.10、p=0.42)[J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2025;16(3):e13799.]。歩行速度や骨格筋量についても、同じく有意な差は確認されていません。
ただし、まとめられた試験はいずれも1グループ7〜30人と小規模で、10件のうち2件は結果のかたよりのリスクが高いと評価されています。差が見つからなかったことが、効果がないことをそのまま意味するとは限りません。
先ほどの高齢男性の研究でも、歩く速さと左手の握力にわずかな改善はみられましたが、多重比較を調整していない探索的な結果で、著者も「より大規模な研究での検証が必要」と述べています。体の組成には明確な効果はみられませんでした[npj Aging. 2022;8(1):5.]。なおこの試験で12週の時点で解析できたのは各グループ10名ずつです。
NMNの摂り方と安全性は?
研究では1日あたり150〜1200mg程度が用いられてきました。健康な成人の男女31人が1250mgを1日1回、4週間続けたランダム化・二重盲検・プラセボ対照の試験では、血液や尿などに大きな変化はなく、重い有害な出来事もみられませんでした[Sci Rep. 2022;12(1):14442.]。この試験では軽い体調の変化がいくつか報告されていますが、いずれも試験食との関係はないと判断されています。
ただし、これらの研究はいずれも数週間程度の短い期間で、参加者も数十人規模です。また、ここで紹介したNMNの試験の多くは、NMNを製造・販売する企業が資金や製品を提供して行われたものです。サプリメントの研究では珍しいことではありませんが、結果を受け取るときの前提として知っておくとよいでしょう。
NMNを取り入れるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

ここだけは伝えたいメッセージ
NMNは体内のNAD+を増やす成分として注目されており、短期間の試験では重い有害な出来事は報告されていません。一方で、身体機能への効果は現時点のヒト試験では確認されておらず、長期の安全性もまだ十分には調べられていません。持病や飲んでいる薬との関係が気になる場合は、取り入れる前に医師や薬剤師にご相談ください。
まとめ:NMNの科学的評価と摂り方のポイント
- NAD+との関係: 体内のNAD+のもとになる成分で、摂取で血液中のNAD+が増えたと報告されている
- 身体機能への効果: メタ解析でも、握力・歩行速度・筋量に有意な差は確認されていない
- 研究の限界: まとめられた試験はどれも小規模で、差がないことが効果がないことを意味するとは限らない
- 摂り方の目安: 研究では1日150〜1200mg程度が用いられている
- 安全性: 短期間では重い有害な出来事は報告されていないが、長期の安全性は未確認
- 研究の読み方: 試験の多くはNMNを扱う企業の資金・製品提供によるもの
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(参考文献)
Prokopidis K, Moriarty F, Bahat G, et al. The Effect of Nicotinamide Mononucleotide and Riboside on Skeletal Muscle Mass and Function: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle. 2025;16(3):e13799.
Irie J, Inagaki E, Fujita M, et al. Effect of oral administration of nicotinamide mononucleotide on clinical parameters and nicotinamide metabolite levels in healthy Japanese men. Endocr J. 2020;67(2):153-160.
Igarashi M, Nakagawa-Nagahama Y, Miura M, et al. Chronic nicotinamide mononucleotide supplementation elevates blood nicotinamide adenine dinucleotide levels and alters muscle function in healthy older men. npj Aging. 2022;8(1):5.
Fukamizu Y, Uchida Y, Shigekawa A, Sato T, Kosaka H, Sakurai T. Safety evaluation of β-nicotinamide mononucleotide oral administration in healthy adult men and women. Sci Rep. 2022;12(1):14442.







