

監修者平塚市民病院 皮膚科
シミ用の飲み薬(OTC医薬品)とサプリメントは、法律上の分類が異なり、配合できる成分の量や表示できる効能の範囲、副作用リスクに差があります。
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シミ用OTC医薬品とサプリメントの法律上の違い
シミのセルフケアとして市販されている飲み薬には、大きく分けて「OTC医薬品(市販薬)」と「サプリメント(健康食品)」があります。この2つは法律上の分類がまったく異なります。
OTC医薬品は、薬機法(医薬品医療機器等法)に基づいて製造・販売される製品です。国が定めた基準を満たしたうえで「シミの緩和」などの効能を表示することが認められています。一方、サプリメントは食品に分類されます。そのため、疾病の治療や予防に関する効果を表示することは薬機法上認められていません[東京都保健医療局. 医薬品的な効能効果について.]。つまり、サプリメントのパッケージや広告に「シミが消える」「色素沈着を治す」といった表現があれば、それは法律に違反している可能性があります。この法律上の違いが、両者を選ぶうえでまず押さえておきたいポイントです。
シミに作用する主な成分|ビタミンCとL-システイン
シミ用OTC医薬品の多くに配合されている代表的な成分が、ビタミンC(アスコルビン酸)とL-システインです。これらの成分がシミの原因であるメラニン色素にどのように作用するかについて、複数の研究で検討されています。
動物の皮膚細胞を用いた研究では、ビタミンC・N-アセチルシステイン(NAC)・ビタミンEの3つを同時に投与した場合に、単独または2つの組み合わせと比較して、メラニンの量の減少とメラニンを作る酵素(チロシナーゼ)の働きの抑制がもっとも顕著であったと報告されています[Biofactors. 2004;21(1-4):415-418.]。この結果は、シミ用OTC医薬品にこれらの成分が組み合わせて配合されている根拠のひとつと考えられます。
また、別の細胞を用いた研究では、L-システインの一種であるL-システインアミドがメラニンを減少させた一方で、ビタミンCは条件によってメラニン合成を促す場合と抑える場合の両方が確認されています[Antioxidants. 2024;13(3):330.]。このことから、ビタミンCは単独での作用が一定ではなく、ほかの成分との組み合わせが重要である可能性が示されています。
経口摂取のビタミンCが皮膚に届く量には限りがある
サプリメントでもビタミンCを摂取することはできますが、飲んだビタミンCがどれだけ皮膚に届くかという点には注意が必要です。
ビタミンCの皮膚における役割をまとめた報告では、ビタミンCはコラーゲンの合成を助け、紫外線による酸化ダメージに対する防御に関わることが示されています。ただし、経口摂取によって皮膚中のビタミンC濃度が上昇する程度は限定的であるとされています[Nutrients. 2017;9(8):866.]。この知見は、同じビタミンCを含む製品であっても、OTC医薬品とサプリメントとでは他成分との組み合わせが異なるため、期待できる作用にも差が生じうることを理解するうえで参考になります。
つまり、サプリメントで少量のビタミンCを摂取するだけでは、シミへの作用を十分に期待するのは難しい可能性があります。
L-システインの有効性|ヒトを対象とした研究から
成分の作用を確かめるうえでは、実際にヒトを対象とした研究の結果が重要な手がかりになります。
90名を対象として厳密に計画された研究では、システインペプチドを1日48mg、5週間にわたって摂取したグループは、摂取しなかったグループと比較して、紫外線による色素沈着が有意に抑えられたと報告されています[Sci Rep. 2024;14:22163.]。この結果は、L-システインを含む成分の経口摂取がシミや色素沈着の抑制に一定の効果を持つ可能性を裏付けるものと考えられます。
ただし、シミ用OTC医薬品そのものを対象とした大規模なヒト試験は現時点では見当たらず、市販薬の効果についてはさらなる検証が期待される段階です。
シミ対策の飲み薬・サプリを選ぶときの注意点
OTC医薬品はサプリメントと比べて有効成分の配合量が多い傾向がありますが、その分、まれに胃腸の不調などの副作用が生じる可能性もあります。一方、サプリメントは比較的手軽に入手でき、価格帯も幅広いものの、先に述べたとおり効能の表示が法律上認められていないため、製品の説明だけで効果を判断するのは難しい面があります。
どちらを選ぶ場合でも、紫外線対策(日焼け止めの使用・帽子や日傘の活用)や、ビタミンCを含む食品の日常的な摂取といった基本的な生活習慣の見直しが、シミ対策の土台になります。飲み薬やサプリメントはあくまでそうした日常ケアを補う位置づけとして活用することが大切です。
シミ対策の飲み薬・サプリメントを選ぶうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、飲み薬やサプリメントに頼る前に紫外線対策や食生活などの基本的なケアを整えることと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
シミのセルフケアにはさまざまな選択肢がありますが、まずは紫外線対策や食事などの基本的な生活習慣を整えることが大切です。そのうえで、OTC医薬品やサプリメントの活用を検討してみてください。飲み薬やサプリメントはあくまで日常ケアを補う位置づけであり、これだけで十分とは限りません。
なお、シミが急に増えた、色や形が変わった、大きくなっているといった変化がある場合には、セルフケアだけで対処せず、医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:シミ用の飲み薬とサプリメントの違いを整理する
- 法律上の分類: OTC医薬品は薬機法に基づき「シミの緩和」などの効能を表示できるが、サプリメントは食品扱いであり疾病に関する効果の表示は認められていない
- 主な配合成分: シミ用OTC医薬品にはビタミンC・L-システイン・ビタミンEが組み合わせて配合されていることが多く、これらの併用がメラニン生成の抑制に寄与する可能性が報告されている
- 経口ビタミンCの限界: 飲んだビタミンCが皮膚に届く量は限定的とされており、配合量や他成分との組み合わせの違いが効果に影響しうる
- L-システインの裏付け: ヒトを対象とした研究で、システインペプチドの5週間の継続摂取が色素沈着の抑制に有効である可能性が示されている
- セルフケアの基本: 紫外線対策と食生活の見直しがシミ対策の土台であり、飲み薬やサプリメントはそれを補う位置づけとして活用する
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(参考文献)
Fujiwara Y, Sahashi Y, Aritro M, et al. Effect of simultaneous administration of vitamin C, L-cysteine and vitamin E on the melanogenesis. Biofactors. 2004;21(1-4):415-418.
Pullar JM, Carr AC, Vissers MCM. The Roles of Vitamin C in Skin Health. Nutrients. 2017;9(8):866.
Sakuma A, Kai Y, Yamasaki Y, et al. Oral administration of cysteine peptides attenuates UV-B-induced skin erythema and pigmentation in humans. Sci Rep. 2024;14:22163.
Choi JY, Ha JW, Boo YC. Multifaceted Effects of L-Cysteine, L-Ascorbic Acid, and Their Derivatives on the Viability and Melanin Synthesis of B16/F10 Cells. Antioxidants. 2024;13(3):330.
東京都保健医療局. 医薬品的な効能効果について.
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