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片頭痛の予防薬はどう使い分ける?|経口のCGRP受容体拮抗薬の位置づけ

医師の監修は本記事の医学的内容に限られます。記事内で紹介する製品の選定は監修者によるものではなく、監修者が製品の効果・効能を保証するものではありません。


従来は、片頭痛予防薬の使い分けは、注射と従来の飲み薬でしたが、2025年12月以降は経口のCGRP受容体拮抗薬も国内で使えるようになりました。この記事では使い分けの基準と、その中での内服薬の位置づけを整理します。


Q.予防薬は何を基準に使い分ける?

主な基準は3つです。

  1. 頭痛の状態(生活に支障がある頭痛が月3日以上あるか)
  2. これまでに試した予防薬とその結果
  3. 投与のしかたと続けやすさ

「2」の詳しい条件は[片頭痛の予防薬の一覧]で解説しています。


Q.持病との相性で選ぶとはどういうこと?

薬によって、避けたほうがよい場合や量を調整する場合があるということです。

従来の予防薬は別の目的の薬の転用なので、持病や体質で向き不向きが出ます。妊娠・授乳の予定も休薬を考える状況とされています。


Q.経口のCGRP受容体拮抗薬は、この使い分けの中でどこに位置する?

「注射と同じCGRPの経路に作用しながら、飲み薬として使える選択肢」という位置です。

使い分けの観点では、3つの特徴があります。

片頭痛の予防薬の、従来の内服薬、経口のCGRP受容体拮抗薬、注射のCGRP関連薬を比べた表です。作用の考え方は、従来の内服薬が別の目的の薬が予防にも用いられる、経口のCGRP受容体拮抗薬が片頭痛の痛みの仕組み(CGRPの経路)に的を絞る、注射のCGRP関連薬も同じくCGRPの経路に的を絞る。頻度は、従来の内服薬が薬により異なる、経口のCGRP受容体拮抗薬が1日1回、または2日1回、注射のCGRP関連薬が4週間に1回、または12週間に1回。通院は、従来の内服薬と経口のCGRP受容体拮抗薬が処方のための受診、注射のCGRP関連薬が医療機関での投与(条件を満たせば自己注射できる薬剤もある)。国内で使えるようになった時期は、従来の内服薬が以前から、経口のCGRP受容体拮抗薬が2025年12月以降、注射のCGRP関連薬が2021年以降です。
  1. 注射を避けたい場合の選択肢になることです。作用する経路は注射と同じCGRPの経路でありながら、内服で使えます。
  2. 痛み止めの飲みすぎが問題になっている場合と相性がよいことです。経口のCGRP受容体拮抗薬には心血管系への影響が少なく、薬剤の使用過多による頭痛(痛み止めの飲みすぎで起こる頭痛)を誘発しにくいという性質が挙げられています。日数の目安は[片頭痛(偏頭痛)や薬物乱用頭痛では、何科を受診すればよいですか?]をご確認ください。
  3. 発作時の治療と予防の両方に使える薬があることです。急性期治療と予防の両方に用いられる薬と、予防に特化した薬があります。

学会はCGRP関連薬を、既承認の他の予防薬と同等に予防療法の第一選択に含めることを推奨しています。ただし保険で使う際には別の条件があります。この条件(最適使用推進ガイドライン)が定められているのは注射のCGRP関連薬で、経口のCGRP受容体拮抗薬は対象外です。片頭痛の日数に加えて、既承認の予防薬が効果不十分・使えないなどの理由で続けられないことが条件に含まれ、注射については制度上は従来薬を試す段階が先に置かれています。条件の詳細は[片頭痛の予防薬の一覧]をご確認ください。

どの薬が自分に合うかは診察で決まります。注射に抵抗がある、通院を減らしたい、痛み止めの飲みすぎが心配といった事情や、持病・飲んでいる薬・妊娠の予定は、選択に関わる情報です。受診時にお伝えをご検討ください。費用の考え方は[片頭痛の注射の予防薬]で解説しています。


Q.すぐに受診が必要な危険な頭痛のサインとは?

次のような頭痛は、予防の相談より先に受診が必要です。

  • これまでに経験がないひどい頭痛
  • 突発して短時間でピークに達するような頭痛
  • 熱がある、手足の麻痺やしびれを伴う場合は至急
  • 数週間のうちに悪化していく頭痛

頭痛外来・脳神経内科・脳神経外科などの受診をご検討ください。頭痛薬が効かない状態が続いている場合の相談先は[頭痛薬が効かないのはなぜ?]で解説しています。

なお予防薬は自己判断で中止せず、続けるかどうかを医師と決めます。


よくある疑問とその回答

Q. 合わなかったら変えられますか?

3か月を目安に効果を判定し、改善がなければ中止を検討します。

Q. 腎臓の病気があると使えませんか?

用量を減らす薬があります。医師にご確認をご検討ください。


まとめ

片頭痛予防薬の使い分けは、頭痛の状態・これまでに試した薬・投与のしかたと続けやすさ・持病との相性で決まります。経口のCGRP受容体拮抗薬は、注射と同じ経路に作用しながら飲み薬として使える選択肢で、注射を避けたい場合や痛み止めの飲みすぎが心配な場合に関わります。予防は注射だけではありません。飲み薬という選択肢も含めて、医療機関へのご相談をご検討ください。


出典

・日本頭痛学会「CGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン(暫定版)」 (2026年8月26日閲覧)

https://www.jhsnet.net/guideline_CGRP.html

・日本頭痛学会「成人の片頭痛予防療法におけるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連抗体薬の使用に関する日本頭痛学会のポジションステートメント」2025年10月27日 (2026年8月26日閲覧)

https://www.jhsnet.net/pdf/guideline_cgrp.pdf

・日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修「頭痛の診療ガイドライン2021」医学書院、2021年 (2026年8月26日閲覧)

https://www.jhsnet.net/guideline.html

・日本頭痛学会 診療向上委員会「CGRP関連抗体薬の休薬と再開に関するエキスパートオピニオン(2024年12月改訂)」 (2026年8月30日閲覧。文献1のページに「エキスパートオピニオン」として掲載)

https://www.jhsnet.net/GUIDELINE/CGRP/13.pdf

・日本頭痛学会「頭痛とは/頭痛がおこったら/頭痛の分類」 (2026年8月30日閲覧)

https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_kaisetu_01.html

本記事は 2026年10月1日 の情報に基づいて作成されています。最新の情報は各出典元でご確認ください

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を行うものではありません。また、特定の医薬品の効果を保証するものでもありません。医薬品は、医師・薬剤師の指示や添付文書に従って使用してください。症状がつらい場合や長引く場合は、医療機関への相談をご検討ください。本記事は公開時点の情報に基づいて作成されています。