レゴラフェニブ水和物(スチバーガⓇ)の作用機序について教えてください。
炎症や血管新生に関わる複数の酵素の働きを阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。
レゴラフェニブ水和物( スチバーガⓇ)は、「キナーゼ阻害剤」という種類の抗がん剤です。キナーゼとは、細胞が増殖したり、信号を伝達したりする際に働く酵素(タンパク質)の総称です。
このお薬は、がん細胞の増殖や、がん組織の成長環境に関わる複数のキナーゼの働きを阻害することで、抗腫瘍効果を発揮します。このお薬が阻害するキナーゼの主な働きは、以下の3つに分けられます。
- 腫瘍形成の阻害:がん細胞自体の増殖信号を止める(KIT、RET、RAF-1、BRAFなど)
- 血管新生の阻害:がんに栄養を送るための新しい血管が作られるのを防ぐ(VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、TIE2など)
- 腫瘍微小環境の阻害:がんの周囲にある間質細胞の信号伝達を邪魔する(PDGFRβ、FGFRなど)
これらの複合的な作用により、がんの成長に必要な要素を多方面から妨害し、腫瘍の増殖を抑えると考えられています。
無所属 薬剤師
齊藤 由佳 監修
(参考文献)
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