ライ症候群
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
ライ症候群とは
「ライ症候群」とはどのような病気ですか?
ライ症候群は、インフルエンザなどのウイルス感染症後にみられることがある、脳や肝臓のまれな障害です。
ライ症候群は、インフルエンザや水疱瘡などのウイルス感染症にかかった1〜2週間後の子どもに発症することがある、脳や肝臓など、体の多くの部位に影響を及ぼすまれな疾患です。ライ症候群を発症すると、脳や肝臓に重度の障害を引き起こし、最終的には命を落とすこともあります。
ライ症候群は、アスピリンの使用による影響が指摘されています。子どもにアスピリンを使用しなくなってから、ライ症候群はとてもまれな病気になりました。
ライ症候群の症状
ライ症候群ではどのような症状がありますか?
ライ症候群では、激しい嘔吐や意識レベルの悪化、けいれんや性格の変化などがみられます。
ライ症候群では、激しい吐き気と嘔吐がみられます。そのほか意識が悪くなったり、全身に力が入らなくなったり、けいれんしたりもします。逆に攻撃性が高まり、突然イライラしたりするなど、性格の変化がみられることもあります。
さらに自分のいる場所や時間などがわからなくなる、見当識障害と呼ばれる症状やせん妄と呼ばれる症状がみられることもあります。最終的には意識レベルがさらに悪化し、昏睡状態に陥り、適切な治療が行われないと、命を落とすこともあります。
ライ症候群には初期症状はありますか?
ライ症候群の初期症状には、何度も繰り返す激しい嘔吐や時間や場所がわからなくなる見当識障害があります。
ライ症候群には、初期症状があります。よく知られているものには、吐き気や嘔吐があります。この嘔吐は、何度も激しく繰り返します。それから間もなくして、今いる場所や時間がわからなくなる見当識障害、錯乱状態、過去のことを思い出せなくなる健忘などがみられるようになります。また、意識が悪くなり、眠り続けることも起こります。
ライ症候群の場合、このような症状が出てくる1週間程度前に、インフルエンザや水疱瘡にかかっていることがあります。インフルエンザでは、高熱が出て、関節痛や全身の倦怠感がみられますし、水疱瘡では小さな水疱が体全体に広がります。
ライ症候群の原因
ライ症候群の原因は何がありますか?
ライ症候群の原因は、ウイルス感染症のときにアスピリンを使用したこと、また特殊な代謝性疾患があります。
ライ症候群は、ウイルス性の風邪やインフルエンザにかかったときに、アスピリンを使用することとの関連が知られています。しかし、いくつかの要因が関与している可能性もあり、正確な原因は不明です。
また、中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症などの代謝性疾患では、アスピリンを使用していなくてもライ症候群が起こることがあります。MCAD欠損症では、体は特定の脂肪を分解してエネルギーに変換することができません。
なお、ライ症候群は、特にインフルエンザや水疱瘡に罹患したあとに発症することがあります。
ライ症候群の検査・診断
ライ症候群のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
ライ症候群の特徴として、以下が挙げられます。
- 吐き気がする
- 頻回の激しい嘔吐が続く
- 今いる場所や時間がわからなくなる(見当識障害)
- 錯乱状態
- 過去のことを思い出せなくなる(健忘)
- 意識がもうろうとする
- 攻撃性が高まり、突然イライラしたりする(性格の変化)
- 最近(1〜2週間ほど前)インフルエンザ、あるいは水疱瘡にかかった
- インフルエンザ、あるいは水疱瘡にかかったときに、アスピリンを含む薬を飲んだ
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、ライ症候群かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
ライ症候群の治療・対処法
ライ症候群の場合、主にどのような治療をしますか?
ライ症候群の場合、根本的な治療法はありませんが、症状の管理や合併症の治療を行う方法は存在します。
ライ症候群の場合、根本的な治療法はありませんが、症状の管理や合併症の治療を行う方法は存在します。
ライ症候群と診断された場合、通常はただちに集中治療室へ入院させ、治療を行います。ライ症候群では、脳や肝臓が障害を受けますが、治療としては、脳の腫れを抑えて脳損傷を防ぐこと、酸素不足による肝臓へのさらなる損傷を止めること、そして肺の保護をすることに重点が置かれます。
ライ症候群の患者さんは、退院できるレベルに回復するまで、数週間程度かかることがあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
ライ症候群が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
ライ症候群は、一般的には子どもにみられる病気ですので、まずは小児科に受診するのがよいでしょう。
現在、『ライ症候群が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?』を研究した有効なデータは、確認できません。このため、以下に個人の見解を記載します。
ライ症候群が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
ライ症候群が疑われる場合、けいれんする、意識を失う、激しい嘔吐を繰り返すなどで病院を受診しましょう。
ライ症候群が疑われる場合、病院を受診する目安はあります。ライ症候群を早期に診断し治療を開始することは、子どもの命を救うことにつながりますので、ライ症候群の疑いがある場合は、迅速な対応が重要です。
受診をする目安となる症状には、けいれんする、意識を失う、激しい嘔吐を繰り返す、異常な眠気や体のだるさを訴える、行動の変化が突然起こるなどがあります。特にインフルエンザや水疱瘡にかかったあとに、このような症状が見られる場合は、病院を受診してください。
ライ症候群の専門医がいる近くの病院はありますか?
ライ症候群の専門医がいる病院を見るライ症候群の薬
ライ症候群は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
ライ症候群は根本的な治療はありませんが、脳の腫れを防ぐ薬や肝臓の機能を助ける薬などを使います。
ライ症候群には根本的な治療法はありませんが、症状の管理や合併症の治療を行います。
具体的には、ライ症候群によって引き起こされる脳の腫れを抑えるために、脳内の水分を体外に出すための利尿薬などが利用されます。また、鎮静薬を使い、脳を休ませることもします。けいれんが起きる場合は、けいれんを抑える薬も使います。
肝臓の障害が起こるようであれば、肝臓の機能を助ける薬を使うこともあります。酸素不足による肝臓へのさらなる損傷を止めるために酸素を十分に投与し、場合によっては、気管挿管を行って人工呼吸器による管理も行われます。
対処法・セルフケア
ライ症候群の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
ライ症候群にならないよう、普段から予防接種を打っておく、アスピリンを使わないなどの工夫が必要です。
ライ症候群の場合、すぐに入院をして治療が必要となりますので、発症してから日常生活に気をつけることはありません。しかし、発症しないように日常生活で気をつけることができます。
ライ症候群は、インフルエンザや水疱瘡にかかったあとに発症することが多いので、これらの感染症にかからない、あるいはかかっても重症化しないように、予防接種を受けておくことが大切です。
また、かかったときに使う解熱剤は、子どもが使っても安全なアセトアミノフェンにしましょう。それ以外の解熱剤を使うと、ライ症候群やインフルエンザ脳症の危険性が高くなる可能性があるためです。
ライ症候群で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
ライ症候群で薬が効かない場合、治療薬を変えたり、増量したりします。集中治療室での治療も必要です。
ライ症候群で薬が効かない場合、病院ではさまざまな治療方法を行います。まず、そもそもライ症候群そのものは、根本的な治療法がなく、薬を使って治すものではありません。しかし、ライ症候群になった結果生じる、脳や肝臓への障害を最小限にするための治療は、積極的に行われます。
例えば、脳の障害を防ぐために、脳の浮腫をとる利尿薬や脳を休ませる鎮静薬などが使われますが、効果が十分でない場合は、薬の種類を変えたり、薬の量を増やしたりすることがあります。
さらに強い治療をするためには、集中治療室で人工呼吸にを使って同時にさまざまな治療をすることもあります。なお、ライ症候群を起こす原因として、中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症などの代謝性疾患がある場合もあるため、薬が効かない場合は、他の病気の可能性も考えて、詳しく検査を行うことになります。
ライ症候群に関連するその他の質問
アスピリンとライ症候群に関係はありますか?
アスピリンとライ症候群は関係があります。子どもへはアスピリンが入っていない薬を使うことがおすすめです。
アスピリンとライ症候群には、関係があると考えられています。
ライ症候群では、発症する1週間ほど前にインフルエンザや水疱瘡にかかっていることがありますが、このときにアスピリンが含まれる薬を飲んでいると、ライ症候群を発症するリスクが高くなることが複数の研究結果からわかっています。
したがって、インフルエンザに限らず、子どもが風邪をひいたときは、アスピリンを含む薬を飲まないようにすることが大切です。
なお、川崎病という病気にかかったあと、しばらくアスピリンを飲み続けることがあります。アスピリンを飲んでいる期間中にインフルエンザや水疱瘡にかかってしまうと、アスピリンを一時的に中止しなければならない場合があります。このような場合は、医師に連絡を取り、指示を受けて対応するようにしましょう。
ロキソニンとライ症候群に関係はありますか?
ロキソニンとライ症候群の関係は不明ですが、インフルエンザ脳症を起こす可能性はあり、注意が必要です。
ロキソニンとライ症候群に関係があるかどうかは定かではありません。ロキソニンは、ロキソプロフェンと呼ばれる非ステロイド系消炎剤の一種ですが、非ステロイド系消炎剤の中には、インフルエンザにかかった際に使用すると、インフルエンザ脳症のリスクが高まる可能性が指摘されているものがあります。
したがって、インフルエンザを含む発熱の際には、アセトアミノフェンという解熱剤の使用がすすめられます。なお、ロキソニンは、小児での安全性は確立されていませんので、子どもへの使用は避けましょう。
ライ症候群は大人も発症しますか?
ライ症候群は主に子どもの病気ですが、とてもまれに、大人に発症することがあります。
ライ症候群は基本的に子どもに発症する病気ですが、とてもまれながら大人に発症することはあります。
1980年から1997年にかけて、アメリカで行われたライ症候群に関する大規模な調査によると、ライ症候群を発症した1,207人の年齢の中央値は6歳でした。また、ライ症候群と診断された患者さんのうち163名(13.5%)は1歳未満の乳児、300名(24.9%)は1~4歳の幼児、646名(53.5%)は5~14歳の学齢期児童であり、残りは15~17歳でした。
このことからも、大人に発症することはとてもまれであることがわかります。成人の患者さんは全体の2%程度とする報告もあります。
ライ症候群について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「ライ症候群」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 頭痛がありますか?あるいは頭が重いですか?
- 体温は37.5℃以上ですか?
- 最近、集中力が下がっていると感じますか?
- 体のだるさはありますか?
- 手足などに力の入らない部分はありますか?
ライ症候群に関連する病気・症状
この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03