脳脊髄液減少症
監修医師原瀬 翔平亀田総合病院 脳神経内科
- 更新日
- 2026/06/15
- 公開日
- 2020/09/03
脳脊髄液減少症とは
「脳脊髄液減少症」とはどのような病気ですか?
脳脊髄液減少症は、脳脊髄液が減少することで、めまいや頭痛を引き起こす病気です。
脳脊髄液減少症とは、怪我などにより脳脊髄液が減少状態になり、頭痛などのさまざまな症状が出る病気です。
脳脊髄液の量を直接測定するのは困難であるため、低髄液圧症や脳脊髄液漏出症の場合、脳脊髄液減少症に該当すると考えます。
低髄液圧症は、起立性頭痛(立つ姿勢における頭痛)と低脊髄圧がみられる病気です。
脳脊髄液漏出症も起立性頭痛が主な症状で、画像診断により診断されます。
起立性頭痛は横になる姿勢をとることで軽減、消失することが多いです。
脳脊髄液減少症の症状
脳脊髄液減少症には初期症状はありますか?
初期症状としては、起立時の頭痛や首の痛み、めまい、疲労感などが見られます。
脳脊髄液減少症の初期症状としては、起立性頭痛(立つ姿勢における頭痛)が最も多く、これに加えて首の痛み、悪心、めまい、耳鳴りなどの症状が出る場合もあります。
病気が慢性化するにつれて全身倦怠感などの全身に症状が出てくる傾向にあります。
数分間でさえ座ることのできないほどの突然の強い起立性頭痛の場合、低髄液圧症の可能性が高く、速やかに横になる必要があります。
起立性頭痛は横になる姿勢をとることで軽減、消失することが多いです。
脳脊髄液減少症ではどのような症状がありますか?
主な症状は、頭痛、めまい、吐き気などがあります。
急性期の症状としては、以下のものがあります。
起立性頭痛が最多で、その他4つの症状は起立性頭痛に伴って出ることがあります。
慢性期の症状としては以下のものがあります。
- (起立性)頭痛、首~腰の痛み、四肢の痛み
- 全身の倦怠感、疲れやすい
- めまい、耳鳴り、視力低下、まぶしいなどの眼症状
- 顔面痛、顔面の違和感、喉の違和感、顎関節の症状
- 動悸、息切れ、悪心、食欲低下、下痢
- 注意力低下、記憶力低下
基本的に上2つの症状は出ることがほとんどで、3つ目以降の症状は上2つの症状に伴って出ます。慢性期の症状は連日かつ長期間にわたって出ることが多いです。
これらの症状は立位や座位で悪化しやすく、天候や気圧の変化の影響を受けやすいという特徴があることが多いです。
脳脊髄液減少症の原因
脳脊髄液減少症の原因は何がありますか?
主に、外傷性、医原性、特発性などの原因があります。
脳脊髄液減少症の原因は以下の4つに大きく分けられます。
外傷性
外傷性の脳脊髄液減少症は、交通事故やスポーツ、日常生活における転倒、打撲、暴力などにより脳脊髄液が漏出し、脳脊髄液量や髄液圧が低下することにより症状をきたします。
医原性
医原性の脳脊髄液減少症は、脊椎の手術や腰椎穿刺、整体治療などにより脳脊髄液が漏出し、脳脊髄液量や髄液圧が低下することにより症状をきたします。
特発性
特発性の脳脊髄液減少症は、外傷などの明らかな原因がないのにもかかわらず脳脊髄液量や脊髄圧が低下し、症状をきたします。
その他
その他、出産などにより脳脊髄液量や脊髄圧が低下し、症状をきたす場合もあります。
脳脊髄液減少症の検査・診断
脳脊髄液減少症のセルフチェックはできますか?
脳脊髄液減少症の特徴的な症状は以下の通りです。
脳脊髄液減少症においてよく出る症状として、以下のものがあります。
- 起立性頭痛(立つ姿勢における頭痛)
- 首~腰の痛み、四肢の痛み
- 嘔気、嘔吐
- 全身の倦怠感、疲れやすい
このうち複数出る場合は脳脊髄液減少症の疑いがあります。これらに加え、めまいや悪心、耳鳴りなどの症状が出ることもあります。
脳脊髄液減少症の症状の特徴として、立位や座位で悪化しやすく、天候や気圧の変化の影響を受けやすく、水分摂取が症状の緩和に有効などがありますが、すべての場合で該当するわけではありません。
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
脳脊髄液減少症の治療・対処法
脳脊髄液減少症の場合、主にどのような治療をしますか?
脳脊髄液減少症の治療には、安静臥床、硬膜外生理食塩水注入、硬膜外自家血パッチなどがあります。
脳脊髄液減少症の治療は、大きく分けて3つあります。
安静臥床+水分摂取
第一選択となるのは安静臥床と水分摂取による保存療法です。脳脊髄液減少症の主な症状である起立性頭痛(立つ姿勢における頭痛)は横になる姿勢をとり安静にすることで軽減、消失することが多いので有効となります。痛みが強ければ鎮痛剤も有用です。
硬膜外生理食塩水注入
2つ目は、硬膜という頭部の膜の外側に生理食塩水を注入するものです。これは硬膜の外の空間である硬膜外腔の圧を高めることにより、脳脊髄液の漏れを防ぐために行われます。
硬膜外自家血パッチ(EBP)
3つ目のEBPも生理食塩水の場合と同様に、硬膜外腔の圧が上昇することによって脳脊髄液の漏れを防ぎ、血が固まることによって穴を塞ぐと考えられています。
参考文献
篠永正道ほか. 脳脊髄液減少症ガイドライン2007. メディカルレビュー社. 2007
中川紀充.脳脊髄液減少症とは?.CSF JAPAN,https://csf-japan.org/japanese/about.html(参照 2024-11-25)
日本脳脊髄液漏出症学会.“脳脊髄液漏出症を疑う患者”.日本脳脊髄液漏出症学会.https://js-csfl.main.jp/guideline2021.pdf ,(参照 2024-11-25).
橋爪圭司ほか.“ 第 5 章 脊柱管内治療・椎間板内治療・椎体内治療などに関するクリニカル・クエスチョン”.日本医療機能評価機構.https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide05_29.pdf,(参照 2024-11-25).
受診の目安・何科を受診するべきか
CSF(脳脊髄液)の検査とは、どの医療機関で受けるどのような検査ですか?
CSF検査は神経内科や脳神経外科で行われ、腰椎から脳脊髄液を採取して分析します。
CSF(脳脊髄液)の検査とは、腰あたりの背骨の隙間から髄液を採取し、髄液の圧や見た目、成分などを調べる検査です。
脳や脊髄神経における炎症や出血、腫瘍などの診断に有用です。また、脳とくも膜という膜の間の空間であるくも膜下腔が狭くなっているかどうかも評価することができます。
CSFの検査で空いた針穴から髄液が漏出し、漏出が止まらなくなった場合、脳脊髄液減少症(漏出症)を発症することがあります。
脳脊髄液の量を直接測定するのは困難であるため、低髄液圧症や脳脊髄液漏出症の場合、脳脊髄液減少症に該当すると考えます。
脳脊髄液減少症が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
頭痛やめまいが続く場合は受診を検討すべきです。
脳脊髄液減少症が疑われる場合、特に持続的な頭痛やめまい、嘔気などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
特に、立ち上がったときに症状が悪化する場合や、日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合は、専門医の診察を受けるべきです。
また、症状が急激に悪化したり、新たな症状が現れた場合も、早急に受診することが推奨されます。受診時には、症状の詳細や発症の経緯をしっかりと伝えることが重要です。
早期の診断と適切な治療により、症状の改善や合併症の予防につながる可能性が高くなります。
脳脊髄液減少症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
脳神経外科または神経内科の受診が推奨されます。
脳脊髄液減少症が疑われる場合、まずは脳神経外科または神経内科を受診することが適切です。
脳神経外科では、手術が必要な場合や、脳脊髄液の漏れを直接治療する手技が行われることがあります。
一方、神経内科では、神経系の病気全般を扱い、症状の評価や診断を行います。受診時には、症状の詳細や発症の経緯をしっかりと伝えることが重要です。
具体的には、症状がいつから始まったのか、どのような状況で悪化するのか、過去の病歴や外傷の有無などを詳しく説明することで、医師がより正確な診断を行う手助けになります。
脳脊髄液減少症の専門医がいる近くの病院はありますか?
脳脊髄液減少症の専門医がいる病院を見る脳脊髄液減少症の薬
脳脊髄液減少症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
主に鎮痛剤が使用されます。
脳脊髄液減少症の治療においては、主に鎮痛剤が使用されます。これらの薬は、頭痛やその他の痛みを軽減することを目的としており、特に起立性頭痛に対して効果的です。
患者さんによっては、痛みが強い場合に鎮痛剤の使用が不可欠となります。また、吐き気が強い場合には、吐き気止めが処方されることもあります。これにより、症状の緩和が得られます。
ただし、これらの薬には副作用があるため、使用する際には医師と相談することが重要です。鎮痛剤の副作用としては、胃腸障害(例えば、胃痛や消化不良)やアレルギー反応(発疹やかゆみなど)が考えられます。
特に長期間の使用や高用量での使用は、これらの副作用のリスクを高める可能性があります。したがって、医師の指示に従い、適切な用量で使用することが大切です。
定期的な通院受診を通じて、症状の改善や副作用の有無を確認することも重要です。
脳脊髄液減少症の経過・予後
脳脊髄液減少症は自然治癒することがありますか?
軽度の場合は自然治癒することもありますが、症状が持続する場合は医療機関を受診することが重要です。
脳脊髄液減少症とは、怪我などにより脳脊髄液が減少状態になり、頭痛などのさまざまな症状が出る病気です。
脳脊髄液の量を直接測定するのは困難であるため、低髄液圧症や脳脊髄液漏出症の場合、脳脊髄液減少症に該当すると考えます。
脳脊髄液減少症の主な症状である起立性頭痛(立つ姿勢における頭痛)は、安静臥位(横になる姿勢をとって安静にする)をとることで症状が軽減、消失することが多く、そのまま症状が出ないこともあります。
対処法・セルフケア
脳脊髄液減少症の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
起立性頭痛がある場合は臥位(横たわった体位)をとり、安静に過ごすことが重要です。
脳脊髄液減少症とは、外傷などにより脳脊髄液が減少状態になり、頭痛などのさまざまな症状が出る病気です。
脳脊髄液の量を直接測定するのは困難であるため、低髄液圧症や脳脊髄液漏出症の場合、脳脊髄液減少症に該当すると考えます。
主な症状は起立性頭痛(立つ姿勢における頭痛)です。
症状が出ていないときは、日常生活で気をつけなければならないことは特にありません。
起立性頭痛の症状が出ている場合は速やかに臥位(横になる姿勢)をとり安静に過ごしましょう。また、水分補給を意識的に行うことも大切です。
脳脊髄液減少症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
医師と相談し、他の治療法について検討したほうが良いでしょう。
脳脊髄液減少症の治療において、処方された薬が効果を示さない場合は、必ず医師に相談することが重要です。
症状が改善しない場合、医師は患者さんの症状を詳細に評価し、必要に応じて治療法の見直しを行います。これには、現在使用している薬の種類を変更することや、他の治療法を提案することが含まれます。
例えば、薬の効果が不十分な場合には、より強力な鎮痛剤や異なる作用機序を持つ薬を試みることがあります。
また、場合によっては、輸血療法(硬膜外自家血パッチなど)を検討することもあります。この治療法は、脳脊髄液の漏れを防ぐために、患者さん自身の血液を使用する方法です。
この治療は専門性が高く、適切な医療機関への紹介が必要となる場合があります。
脳脊髄液減少症に関連するその他の質問
脳脊髄液減少症では寝たきりになりますか?
重度の場合は寝たきりになることもあります。
脳脊髄液減少症とは、怪我などにより脳脊髄液が減少状態になり、頭痛などのさまざまな症状が出る病気です。
脳脊髄液の量を直接測定するのは困難であるため、低髄液圧症や脳脊髄液漏出症の場合、脳脊髄液減少症に該当すると考えます。
脳脊髄液減少症の主な症状である起立性頭痛(立つ姿勢における頭痛)は、安静臥位(横になる姿勢をとって安静にする)をとることで症状が軽減、消失することが多いですが、安静臥位をとっても症状が消えず、硬膜外生理食塩水注入や硬膜外自家血パッチ(EBP)といった治療を行っても症状が改善しない場合、事実上の寝たきり状態になることは考えられます。
脳脊髄液減少症を発症するまでの期間はどのくらいですか?
例えば怪我の場合、1週間以内に発症するケースが最も多く、80%以上が1ヶ月以内に発症します。
脳脊髄液減少症とは、怪我などにより脳脊髄液が減少状態になり、頭痛などのさまざまな症状が出る病気です。
脳脊髄液の量を直接測定するのは困難であるため、低髄液圧症や脳脊髄液漏出症の場合、脳脊髄液減少症に該当すると考えます。
怪我により発症する場合は、怪我から1週間以内に発症するケースが最も多いです。また、80%以上が1ヶ月以内に発症します。
受傷から長期間が経過してから発症する場合は、原因が怪我によるものかどうかを特定できるかは不明です。
脳脊髄液減少症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「脳脊髄液減少症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 頭痛がありますか?あるいは頭が重いですか?
- 体のだるさはありますか?
- 吐き気や嘔吐がありますか?
- 車酔いのように頭や体がぐらぐら揺れますか?
脳脊髄液減少症に関連する病気・症状
この記事の監修医師
原瀬 翔平
亀田総合病院 脳神経内科・内科
University of Washington (理学部、分子細胞生物学) 卒業後、アップルジャパン株式会社勤務を経て、琉球大学医学部に入学。沖縄県立中部病院での初期臨床研修(2016, 2017年度最優秀研修医賞受賞)修了後、2018年4月に亀田総合病院に入職。同院脳神経内科ベスト指導医(2019, 2020)を受賞。2018年から亀田総合病院卒後研修センター長補佐も兼任しており、臨床だけでなく研修病院における医学教育にも力を入れている。2021年には国立循環器病研究センター脳血管内科で超急性期脳卒中診療を行う。 総合内科の視野を持ちながらの脳神経内科領域、特に脳卒中を専門とする。急性期だけでなく予防、慢性期脳卒中による症候性てんかん、高次脳機能評価、リハビリ、等にも精通。頭痛、しびれ、物忘れ等の主訴にも柔軟に対応できる。 日本語、英語(ネイティブ)、中国語(日常会話)での対応も可能。
- 更新日
- 2026/06/15
- 公開日
- 2020/09/03