夏の塩分補給はどれくらい必要?スポーツドリンクや塩分タブレットの使い分けの目安を教えてください。
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夏の塩分補給はどれくらい必要?スポーツドリンクや塩分タブレットの使い分けの目安を教えてください。

濵﨑 秀崇監修者

はまさき医院 糖尿病・内分泌科

濵﨑 秀崇

日常生活での軽い発汗であれば通常の食事で十分な塩分が摂れますが、1時間以上の運動や大量の発汗がある場合は飲料や塩分タブレットによる追加補給が推奨されています。

「夏は塩分を多く摂ったほうがよい」と聞くことがありますが、実際にどれくらいの塩分が必要なのかは意外と知られていません。塩分は不足しても過剰に摂っても体に負担がかかるため、自分の活動量や発汗量に合わせた「目安」を知っておくことが大切です。

汗で失われる塩分の量|汗1リットルあたりの目安

汗にはナトリウム(塩分の主な成分)が含まれており、汗1リットルあたりに含まれるナトリウムの量はおよそ0.9〜2.0g(食塩に換算すると約2.3〜5.1g)と報告されています[Med Sci Sports Exerc. 2007;39(2):377-90.]。汗の塩分濃度には個人差があり、暑熱順化(しょねつじゅんか=体が暑さに慣れること)が進んでいる人ほど、汗に含まれる塩分が少なくなるとされています。

夏の暑い日に屋外で活動すると、1日に2〜3リットルの汗をかくことがあります。その場合、食塩に換算して約4.6〜15.3gの塩分が汗とともに失われる計算になりますが、実際の量は活動量・気温・個人の体質によって大きく異なります。

塩分補給が必要な場面と不要な場面|活動量で判断する

すべての人が追加の塩分補給を必要とするわけではありません。場面ごとの目安は以下のとおりです。

  • 日常生活(デスクワーク・軽い家事など): 日本人の平均的な食事には1日約10gの食塩が含まれており、軽い発汗程度であれば通常の食事で十分とされている
  • 1時間以上の屋外活動や運動: 汗で失われる塩分を飲料で補う必要がある場合がある。ナトリウムを含むスポーツドリンク(100mLあたり食塩相当量約0.1〜0.2g)の活用が推奨される
  • 2時間以上の激しい運動や屋外作業: より積極的な補給が必要。経口補水液やスポーツドリンクに加え、塩分タブレットの併用も選択肢となる

スポーツドリンク・経口補水液・塩分タブレットの使い分け

飲料や塩分タブレットにはそれぞれ特徴があり、場面に応じた使い分けが推奨されています。

  • スポーツドリンク: ナトリウム濃度は40〜80mg/100mL程度。1時間程度の運動時の水分・ミネラル補給に適している。糖分も含まれておりエネルギー補給にもなる
  • 経口補水液: ナトリウム濃度がスポーツドリンクより高い。脱水が進んだときの水分・電解質(ナトリウムやカリウムなどのミネラル)補給に適している。日常的な水分補給としては塩分が多すぎる場合がある
  • 塩分タブレット: 1粒あたりの食塩相当量は製品によって異なる(約0.1〜0.3g程度)。水分と一緒に摂ることで効率よくミネラルを補える。持ち運びに便利で、屋外作業やスポーツの合間に手軽に活用できる
  • ミネラル入り麦茶: カフェインを含まず、日常の水分補給に向いている。ナトリウム含有量は少ないため、大量の発汗時には別途ミネラル補給が必要

ただし、いずれの飲料・タブレットもあくまで熱中症予防の補助手段であり、暑さを避ける行動や休憩と組み合わせることが前提です。なお、効果には個人差があります。

塩分の摂りすぎにも注意|高血圧などのリスク

夏の塩分補給は大切ですが、必要以上に摂りすぎると高血圧のリスクが高まることが知られています。特に以下の方は注意が必要です[N Engl J Med. 2019;380(25):2449-59.]。

  • 高血圧の治療中の方: 塩分補給量について主治医に相談してから決めることが推奨される
  • 腎臓の疾患がある方: 塩分の排出機能が低下している場合があり、医師の指示に従うことが重要
  • 室内で過ごす時間が長い方: 発汗量が少ないため、追加の塩分補給は不要なことが多い

日本人の食塩摂取量は世界的に見ても高い水準にあり、「夏だから」という理由だけで過度に塩分を増やすことは推奨されていません。

夏の塩分補給のうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、「自分の活動量と発汗量に見合った補給をすること」と考えられています。

夏の塩分補給のうえで日常生活の工夫について、5つのコツと内容、理由をまとめた表です。1つ目は「活動量に応じた補給を」で、内容は「デスクワーク中心なら通常の食事で十分。屋外活動が多い日はスポーツドリンクを活用」することです。理由は「過不足のない補給がもっとも体に負担が少ないと考えられている」からです。2つ目は「水分と塩分はセットで」で、内容は「水だけを大量に飲まず、スポーツドリンクやミネラル入り麦茶と交互に飲む」ことです。理由は「水だけの大量摂取は血中ナトリウムが薄まる『低ナトリウム血症』のリスクがある」からです。3つ目は「塩分タブレットは補助として」で、内容は「タブレットだけに頼らず、飲料からの補給を基本とする」ことです。理由は「タブレットは携帯に便利だが、水分補給が不十分だと効果が限られる可能性がある」からです。4つ目は「体重で発汗量をチェック」で、内容は「運動前後の体重差が発汗量の目安になり、体重の2%以上の減少は脱水のサイン」であることです。理由は「自分の発汗量を把握することで、適切な補給量がわかりやすくなる」からです。5つ目は「持病がある方は医師に相談を」で、内容は「高血圧・腎疾患のある方は塩分補給量について主治医に確認する」ことです。理由は「塩分の過剰摂取は症状を悪化させる可能性がある」からです。

ここだけは伝えたいメッセージ

夏の塩分補給で大切なのは、「足りないのも摂りすぎも体によくない」という点です。日常生活の範囲であれば通常の食事で十分なことが多く、1時間以上の運動や大量に汗をかいた場合にスポーツドリンクや塩分タブレットで補うのが基本的な考え方です。

特に高血圧や腎臓の疾患がある方は、自己判断で塩分を増やすのではなく、主治医への相談をご検討ください。運動前後の体重変化や汗のかき方を観察しながら、自分に合った補給量を見つけていくことが推奨されます。

まとめ:夏の塩分補給の目安と飲料の使い分け

夏の塩分補給の目安と飲料の使い分けについてまとめた表です。汗の塩分量は、汗1Lあたり食塩換算で約2.3〜5.1g(個人差あり)です。日常生活では、通常の食事で十分であり、追加の塩分補給は不要なことが多いです。1時間以上の運動をする場合は、スポーツドリンクで水分とミネラルを一緒に補給します。激しい運動や屋外作業の際は、経口補水液と塩分タブレットの併用も選択肢となります。摂りすぎに注意が必要で、高血圧や腎疾患のある方は主治医に相談してから決めます。発汗量の把握については、運動前後の体重差で確認し、2%以上の減少は脱水のサインとなります。

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