

監修者富士在宅診療所 一般内科
暑い時期でも、運動の時間帯や強度を調整し、水分補給と暑熱順化を取り入れることで、安全にVO2maxを高めることが期待できます。
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夏の暑さが運動パフォーマンスに与える影響
暑い環境で運動すると、体は体温を下げるために皮膚の血流量を増やし、大量の汗をかきます。その結果、心臓への負担が大きくなり、有酸素運動のパフォーマンスが低下することが示唆されています[Compr Physiol. 2011;1(4):1883-928.]。さらに、汗で体の水分が失われる脱水状態になると、この影響は一層強くなります[Compr Physiol. 2011;1(4):1883-928.]。
一方で、暑い環境で継続的にトレーニングを行った場合でも、VO2max(最大酸素摂取量=体が取り込める酸素の最大量)そのものは低下しないことが報告されています[Sports Health. 2025;17(2):305-311.]。この知見は、適切な対策をとれば、夏場でもVO2maxの維持や向上を目指してトレーニングを続けられることを示唆しているものと考えられます。
VO2maxを効率よく上げるトレーニングメニュー
VO2maxを高めるためには、中強度(ウォーキングや軽いジョギングなど息が少し上がる程度)の有酸素運動を週150分以上、または高強度(ランニングなど会話が難しくなる程度)の有酸素運動を週75分以上行うことが推奨されています[Med Sci Sports Exerc. 2011;43(7):1334-59.]。推奨量に届かない場合でも、健康上の利益が得られるとされています[Med Sci Sports Exerc. 2011;43(7):1334-59.]。
より短時間でVO2maxを高めたい場合には、高強度インターバルトレーニング(HIIT=高い強度の運動と軽い運動を交互に繰り返すトレーニング)が有効です。4分間の高強度運動と3分間の軽い運動を4セット繰り返す方法(4×4分法)で、VO2maxが約5.5〜7.2%向上し、心臓が1回の拍動で送り出す血液量も約10%増加したと報告されています[Med Sci Sports Exerc. 2007;39(4):665-71.]。この結果は、HIITが心肺機能を効率よく鍛える方法であることを示唆しています。
短時間でもVO2maxを高められるトレーニングの始め方
複数の研究を統合した分析では、短いインターバル(30秒以下)や少ない運動量(5分以下)のHIITでも、時間効率よくVO2maxを改善できることが明らかになっています[J Sci Med Sport. 2019;22(8):941-947.]。一方、2分以上のインターバルや合計15分以上のHIITを4〜12週間続けると、VO2maxの改善効果がより大きくなることも確認されています[J Sci Med Sport. 2019;22(8):941-947.]。
この知見から、運動に慣れていない方はまず短いインターバルから始め、体力がついてきたら徐々にインターバルの時間や運動量を増やしていくのが無理のない進め方と考えられます。
夏に安全にトレーニングを続けるための暑熱対策
夏にトレーニングを行う際には、暑熱順化(しょねつじゅんか=体を暑さに慣らすこと)が重要です。暑熱順化によって発汗機能や体温調節の能力が向上し、暑い環境でも運動パフォーマンスを発揮しやすくなることが示されています[Compr Physiol. 2011;1(4):1883-928.]。具体的には、涼しい時間帯から短時間の運動を始め、少しずつ暑い環境での運動に体を慣らしていく方法が考えられます。
水分補給も欠かせません。暑い環境では大量の汗をかくため、脱水が心臓への負担をさらに増大させます[Compr Physiol. 2011;1(4):1883-928.]。運動前後はもちろん、運動中もこまめに水分を補給することが大切です。
暑い環境でトレーニングを続けても、トレーニング量を維持していればVO2maxは保たれることが確認されています[Sports Health. 2025;17(2):305-311.]。夏だからといってトレーニングを中断する必要はなく、暑熱対策を講じたうえで継続することが有効と考えられます。
夏のVO2maxトレーニングで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、無理をせず段階的に運動量を増やし、体の反応を確認しながらトレーニングを進めることと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
夏の暑さの中でも、トレーニングの工夫次第でVO2maxは十分に高められます。涼しい時間帯の活用、こまめな水分補給、暑熱順化を組み合わせれば、安全にトレーニングを続けることが期待できます。
ただし、体調がすぐれないとき、めまいや強い頭痛を感じたときは無理をせず運動を中止してください。症状が改善しない場合は、医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:夏でも安全にVO2maxを上げるためのポイント
- 運動量の目安: 中強度の有酸素運動を週150分以上、または高強度の有酸素運動を週75分以上行うことが推奨されています
- インターバルトレーニング: 4分間の高強度運動と3分間の軽い運動を4セット繰り返す方法(4×4分法)で、VO2maxの向上が報告されています
- 短時間でも効果あり: 30秒以下の短いインターバルでもVO2maxの改善が期待でき、慣れてきたら徐々に時間を延ばすことが推奨されます
- 暑熱対策が重要: 暑熱順化と水分補給を取り入れることで、夏場でも安全にトレーニングを続けられると考えられています
- 夏でもVO2maxは維持される: 暑い環境でトレーニングを続けても、トレーニング量を維持していればVO2maxが低下しないことが確認されています
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(参考文献)
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