

監修者Ubie株式会社 産婦人科
女性の抜け毛や薄毛には、更年期に女性ホルモンのはたらきが変わることが関係していると考えられています。髪が伸びる速さや太さが変わり、40代半ばごろから変化を感じる人が多いとされています。生活習慣でできることとしては、無理なダイエットをしないこと、鉄分が足りているか気にかけることが挙げられます。
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髪とホルモンの関係
髪は、「のびる時期」と「抜け落ちる時期」を繰り返しています。
更年期になって女性ホルモンのはたらきが変わると、髪がのびる速さ・今のびている髪の割合・髪の太さが変わると考えられています。特に前のほう(生え際から頭のてっぺん)で目立ちやすく、変化がいちばんはっきりするのは40代半ばごろとされています。
ただし同じ報告では、髪の本数の多さ(密度)は年齢とともに減ったものの、閉経しているかどうかとは関係がなかったとされています。「閉経したから急に減る」というより、年齢による変化とホルモンによる変化が重なっている、と考えるほうが実際に近いようです。
なお、この研究で調べたのは薄毛のない女性です。すでに悩んでいる人を調べたものではありません。
更年期のころに薄毛が目立ちやすい理由
更年期には女性ホルモンが減り、そのぶん男性ホルモンのはたらきが目立つようになると考えられています。髪の根元は女性ホルモンに反応する場所なので、この変化が直接響き、髪が細くなったり、髪質が変わったりすると報告されています。
知っておきたいのは、このホルモンの変化は、閉経の10年くらい前から始まることがあるという点です。「まだ生理はあるのに髪が変わった気がする」と感じても、不思議なことではありません。
また、髪の変化は見た目だけの問題ではありません。ストレスや不安につながったり、自信をなくしたりすることも指摘されています。気になったときに相談するのは、自然なことです。
生活習慣でできること①:無理なダイエットをしない
生活習慣のなかで、抜け毛との関係がはっきり報告されているのが急なダイエットです。
厳しい減量を始めて2〜5か月後、12〜24kgほど体重を落としたあとに抜け毛が増えた9人の報告があります。また、ごはんやパンなどの炭水化物を極端に減らすことも、抜け毛につながるとされています。
髪をつくる細胞は、体のなかでも特に入れかわりが速いため、栄養が急に足りなくなると影響を受けやすいと考えられています。体重を落とすなら、ゆっくりしたペースでが基本です。
生活習慣でできること②:鉄分に気をつける
女性では特に、鉄分の不足に気をつけたいところです。
36件の研究(合わせて約1万人)をまとめた分析では、抜け毛のある女性は、そうでない女性より、体にためてある鉄の量(フェリチンという数値でわかります)が少なかったと報告されています。
ただし、この報告で「鉄不足と抜け毛の関係をはっきり示した」ということではありません。
鉄分を気にかけることは試す価値がありますが、「鉄をとれば抜け毛が治る」と確かめられたわけではない、という受けとめ方が正確です。なお、ビタミンCは鉄の吸収を助けるので、一緒にとるとよいとされています。
【注意】サプリは「多いほどよい」ではありません
ここは、ぜひ知っておいてください。
ビタミンAとセレン(ミネラルの一種)は、とりすぎるとかえって髪が抜ける可能性があります。
実際に、ビタミンAのサプリを飲んでいた女性が急に髪が抜け、飲むのをやめて1か月で治った例が報告されています。セレンについても、表示の200倍の量が入っていた健康食品で中毒が起き、多くの人にひどい脱毛が出た事例があります。
また、髪によいと宣伝されることの多いビオチン(ビタミンの一種)は、
- 抜け毛に効くという根拠が、研究では確かめられていません
- 血液検査の結果を狂わせることがあります。アメリカでは、ビオチンの影響で心筋梗塞を調べる検査の数値が低く出てしまい、診断が見逃されて患者さんが亡くなった例が報告されています
検査や手術の予定があるときは、飲んでいるサプリを必ず医療機関に伝えてください。
栄養は「足りないとわかったら補う」が基本
鉄やビタミンDなどは、髪が育つうえで大切とされていますが、そのはたらきはまだ完全には解明されていません。研究ですすめられているのは、抜け毛があって、かつその栄養が足りないと確かめられた人が補うことです。
ここだけは伝えたいメッセージ
髪の変化は、更年期という体の自然な移り変わりのなかで、多くの女性が経験するものです。無理なダイエットを避けること、鉄分に気をつけることは、今日から始められます。
反対に、「髪によさそう」とサプリを重ねるのは逆効果になることがあります。まずは、足りているかを確かめるところから始めてください。
抜け毛が急に増えた、地肌が目立つ、部分的に抜けているといった変化が続くときは、皮膚科にご相談ください。髪のことは気持ちにも影響しやすいので、つらいと感じること自体が、相談してよい理由になります。
まとめ
- ホルモンとの関係:更年期に女性ホルモンのはたらきが変わると、髪の太さやのびる速さに影響し、40代半ばごろに目立ちやすいとされています
- 変化は閉経の前から:ホルモンの変化は、閉経の10年くらい前から始まることがあります
- 髪の本数については報告が分かれる:年齢とともに減りますが、閉経とは関係がなかったとする報告もあります
- 生活習慣:無理なダイエットは避け、鉄分に気をつけましょう
- サプリの注意:ビタミンAとセレンはとりすぎると抜け毛の原因になります。補うのは足りないと確かめられたときが基本です
気になる変化が続くときは、皮膚科にご相談ください。
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