

監修者Ubie株式会社 産婦人科
生理前の黄体期(おうたいき)は、肌のバリア機能(水分を保ち、外からの刺激を防ぐはたらき)が下がりやすいという報告があります。実際に、生理前にニキビが悪化すると感じる人は少なくありません。この時期は、保湿と低刺激のケアを中心に肌をいたわることがひとつの方法と考えられます。ただし、肌の変化の出方には個人差があり、最適な対処法を示す研究も少ないのが現状です。
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生理周期で肌の状態が変わるのはなぜ?
女性の肌は、生理の周期に合わせて状態が変わりやすいことが知られています。
周期は大きく3つに分かれます。
- 卵胞期(らんほうき):生理が終わってから排卵までの時期
- 排卵期(はいらんき):卵子が出る時期
- 黄体期(おうたいき):排卵のあとから次の生理までの、いわゆる「生理前」の時期
たくさんの研究を集めて整理した報告では、黄体期に肌の温度や血のめぐりが高まったとする研究があるとされています。ただし、研究の結果は分かれています。
- 肌の血のめぐりを調べた9件のうち、黄体期に増えたのは4件。残り5件は差がありませんでした
- 肌の温度を調べた10件のうち、4件は周期による影響なしでした
つまり「必ずこうなる」と言えるほど、はっきりしたものではありません。
皮脂についても、研究ごとに見解が異なります
皮脂(ひし)とは、肌から出る油のことです。これについても報告が一致していません。
- 古い報告では、周期の16〜20日目あたりで最も多くなったとされています。ただし同じ論文の中に「多くなる時期は2回ある」とも書かれていて、話が食い違っています
- 別の研究では、皮脂に含まれる油の量は排卵期に多く、黄体期に入ると減る傾向がみられました
- さらに別の研究では、もともと皮脂が多い人は生理前1週間に最も多くなり、皮脂が少ない人は変化がなかったとされています
「生理前は必ず皮脂が増える」とは言い切れません。人によって違うと考えるほうが実際に近いようです。
黄体期(生理前)に肌荒れしやすいのはなぜ?
生理前の黄体期は、肌のバリア機能が下がりやすい時期という報告があります。
バリア機能とは、肌の水分を保ち、外からの刺激を防ぐはたらきのことです。これが下がると、乾燥しやすくなり、刺激にも敏感になりやすいと考えられます。
生理のある年代の女性36名を調べた研究では、排卵期と黄体期の半ばを比べたところ、黄体期の中盤では、以下の状況が見られました。
- 肌から水分が逃げていく量が多い
- 肌の水分量が少ない
ただし、ここでも報告は分かれています。研究を集めて整理した報告のなかで、肌の水分量を調べたものは1件(51名)だけで、その研究では周期による明らかな差はみられませんでした。同じ報告も「肌の水分については研究が少なく、さらに調べる必要がある」と結論づけています。
「生理前は必ず乾燥する」と決まっているわけではなく、変化の出方には差があると考えるのが自然です。
生理前にニキビが悪化する人はどれくらい?
生理前にニキビが悪化すると感じる人は、珍しくありません。
ニキビのある12〜52歳の女性400名に聞き取りをした調査では、次のことが報告されています。
- 約44%(177名)が、生理前にニキビが悪化すると答えた
- 33歳を超える人のほうが、20〜33歳の人より悪化すると答えた割合が高かった
- ニキビの重さ、人種、ピルを飲んでいるかどうかは、悪化する割合に影響しなかった
ただし、これは本人が「悪化した」と感じて答えたものです。ほかの研究では数字にばらつきがあります。
それでも、生理前に肌の調子がくずれるのは、あなただけの悩みではありません。
黄体期のスキンケアの対処法は?保湿と低刺激ケアが基本
ここで、はっきりお伝えしておきたいことがあります。
> 黄体期に特別なスキンケアをすると肌荒れが減るのかを、直接確かめた研究は少ないのが現状です。
化粧水を増やす、低刺激の洗顔に変えるといった方法が、生理前の肌荒れにどれくらい効くかは、まだわかっていません。
そのうえで、黄体期の肌に起きている変化(バリア機能が下がりやすい)から考えると、次のような工夫は筋が通っていると考えられます。

※これらは肌の変化から考えられる一般的な工夫であり、効果が研究で確かめられたものではありません。
ここだけは伝えたいメッセージ
生理の周期に合わせて肌の状態が変わるのは、多くの人に見られる自然なことです。時期に合わせてケアを少し工夫すると、変化とうまく付き合いやすくなります。
ただし、研究の結果も一致していません。雑誌やSNSの「生理前はこうすべき」という情報をそのまま信じこまないようにしましょう。
まず、自分の肌を見ながら調整していくことをおすすめします。
- ニキビや肌荒れが強い、なかなか治らない、跡が残りそう → 皮膚科へ
- 生理周期の乱れや、生理前の心身の不調も強い → 婦人科も選択肢になります
まとめ:黄体期は保湿と低刺激ケアで肌をいたわる
- 周期と肌の関係:黄体期(生理前)に肌の温度や血のめぐりが高まったという報告がありますが、差がなかったとする研究も同じくらいあります
- 皮脂の変化ははっきりしない:黄体期に増えるという報告も、排卵期のほうが多いという報告もあります
- 肌荒れしやすい理由:黄体期はバリア機能が下がり、乾燥しやすく敏感になりやすいという報告があります
- 生理前のニキビは珍しくない:ニキビのある女性の約44%が悪化を自覚しており、ニキビの重さ・人種・ピルの有無に関係なく起こります
- スキンケア:保湿と低刺激のケアが選択肢ですが、その効果を直接確かめた研究はありません
肌荒れが強い・長く続くときは、皮膚科にご相談ください。
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