
監修者おだかクリニック 循環器内科 副院長
冷気暴露による自律神経の乱れが冷房冷えの主な原因です。腸内環境を整える腸活と、体を内側から温める食事の両方を組み合わせることが対処の基本とされています。
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チェックする冷房で体が冷えやすい原因は?
夏になると、エアコンの効いた室内で手足や体の冷えを感じる方は少なくありません。こうした冷え対策として近年注目されているのが「腸活」です。
ただし、最初にお伝えしたいのは、腸活や体を温める食事はあくまで補助的な対策であり、冷え対策の基本は適度な運動、十分な睡眠、バランスのよい食事といった生活習慣にあるということです。そのうえで、腸内環境を整えたり、食事を工夫したりすることで、体調管理に役立つ可能性があります。
通常、人間の体は自律神経によって体温を一定に保っています。
冷房の効いた環境に長時間いると、体は熱を逃がさないよう血管を収縮させる交感神経(体を興奮させる作用の自律神経)の働きが活発となります。
その結果、体をリラックスさせる作用がある副交感神経が働きにくくなることで、手足など末梢への血流が低下し、冷えを感じやすくなります。
また、屋外の暑さと室内の冷房との温度差が大きいと、自律神経が頻繁に体温調節を行うことになり、疲労感や体調不良につながることがあります。
腸活は冷え対策に役立つのでしょうか?
近年の研究では、腸内細菌が消化吸収だけでなく、免疫機能や代謝機能、自律神経の調節にも関与していることがわかってきました。
腸内細菌は食物繊維を分解し、酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸を産生します。これらは腸の健康維持だけでなく、エネルギー代謝や免疫機能にも関わることが知られています。
ただし、現時点では「腸活をすると冷えが改善する」と直接証明した質の高い臨床研究は十分ではありません。そのため、腸活は冷えを治療する方法というよりも、体調全般を整えるための取り組みとして考えるのが適切でしょう。
腸活でまず意識したいのは食物繊維
腸活というとヨーグルトやサプリメントを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、腸内環境改善の基本は食物繊維の摂取です。
食物繊維は腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸の産生を促します。近年のシステマティックレビューでも、食物繊維の摂取が腸内細菌叢や短鎖脂肪酸によい影響を与えることが示されています。
おすすめの食品は、
- 野菜
- 海藻
- きのこ
- 豆類
- オートミール
- 雑穀米
- 大麦
などです。
まずは毎食、野菜を一品増やすことから始めると取り組みやすいでしょう。
発酵食品を毎日の食事に取り入れる
食物繊維と合わせて取り入れたいのが発酵食品です。
代表的なものとして、
- ヨーグルト
- 納豆
- 味噌
- ぬか漬け
- キムチ
などがあります。
発酵食品は腸内環境の改善に役立つ可能性がありますが、特定の食品だけで大きな効果が得られるわけではありません。毎日少量でも継続して摂ることが大切です。
特に和食は、味噌汁や納豆など、自然に発酵食品を取り入れやすい食文化といえるでしょう。
体を内側から温める食事の工夫
冷房による冷えが気になる方は、温かい食事を意識することも有効です。
生姜、ねぎ、にんにく、唐辛子などの香味野菜や香辛料は、食後に温かさを感じやすくすることが知られています。特に生姜に含まれるショウガオールやジンゲロールには、体温維持への関与が報告されています。
また、
- 味噌汁
- スープ
- 鍋料理
- 温かいお茶
などを取り入れることで、冷たい飲食物の摂りすぎを防ぐことができます。
ただし、「この食品を食べれば冷えが治る」というものではありません。特定の食品に頼るのではなく、日々の食事全体を整えることが重要です。
温かい飲み物や足湯も取り入れてみましょう
冷房冷えへの対策としては、食事以外の工夫も役立ちます。
例えば、
- 温かいお茶を飲む
- 足湯をする
- 軽いストレッチを行う
- 長時間同じ姿勢を避ける
といった方法です。
これらは末梢の血流改善やリラックスにつながり、自律神経の負担軽減に役立つ可能性があります。
本当に大切なのは生活習慣の改善
ここまで腸活や食事について紹介してきましたが、冷え対策の最も基本となるのは生活習慣であるという点です。
体の熱を作る最大の臓器は筋肉であるため、以下のような生活習慣が冷え対策の土台となります。
- 定期的な運動
- 十分なタンパク質摂取
- 良質な睡眠
- 規則正しい生活
筋肉量が低下すると熱産生能力も低下します。また、睡眠不足や生活リズムの乱れは自律神経のバランスを崩し、冷えを悪化させることがあります。
つまり、
①まず生活習慣を整える→②そのうえで腸活や温かい食事を取り入れる
という順番が大切です。
まとめ
エアコンによる冷えが気になる場合は、まず食物繊維や発酵食品を取り入れて腸内環境を整え、生姜や温かい飲み物などを上手に活用することが参考になります。ただし、現時点では腸活だけで冷えが改善することを示す強い医学的根拠はありません。
冷え対策の基本は、適度な運動による筋肉量の維持、バランスのよい食事、十分な睡眠などの生活習慣です。腸活や温かい食事は、その土台を支える補助的な方法として取り入れるのが、現在の医学的エビデンスに基づいた考え方といえるでしょう。
また、甲状腺のホルモンの異常や貧血など、特定の病気が原因で冷えやすさが引き起こされている可能性もあるため、冷えが持続して日常生活に支障がある場合は、内科や婦人科への相談をご検討ください。
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