
埼玉医科大学総合医療センター 小児科
秋バテは夏のダメージの蓄積が原因です。8月中に腸内環境・たんぱく質摂取・入浴習慣・睡眠リズムを整えておくことが先回り予防のポイントです。
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チェックする秋バテはなぜ起こる|夏の蓄積ダメージ+気温の急変動
秋バテの正体は、夏の間に蓄積した体へのダメージが、9月以降の急な気温の変化で一気に表面化する状態です。夏の暑さの中では、体温の上昇と水分不足がそれぞれ体に負担をかけます。ある研究では両者は別々に作用するとされていますが[Eur J Appl Physiol. 2020;120(12):2813-2834.]、別の研究では両方が重なることで体への負担がいっそう大きくなると報告されており[J Strength Cond Res. 2019;33(3):727-735.]、条件による違いを含めさらなる研究が待たれます。
この負荷が解消されないまま秋を迎えると、涼しくなっても自律神経である交感神経の働きが優位となる状態が続き、倦怠感・頭痛・胃腸の不調といった症状が現れます。疲労が蓄積すると交感神経活動が高まり副交感神経活動が低下することが確認されており、この自律神経のアンバランスが秋バテの根底にある日常生活での疲れの原因となっていると考えられています[Behav Brain Funct. 2011;7:46.]。
先回り予防の考え方|「涼しくなれば治る」と油断しないために
「涼しくなれば治る」と思って8月を乗り切ろうとすると、秋口に不調がかえって悪化するケースが少なくありません。夏の間に低下した腸内環境・栄養状態・自律神経のバランスは、涼しくなっただけでは回復しないからです。
8月は「まだ暑い」時期だからこそ、体の立て直しを始める最適なタイミングです。秋バテは予防が最も効率的であり、以下の4つのポイントを8月中に意識することが推奨されます。
8月に始める秋バテ予防の4つのポイント
1つ目は腸内環境の立て直しです。プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)の継続摂取が腸管のバリア機能を強化し、炎症マーカーを低下させることが、26件のランダム化比較試験を統合した分析で報告されています[Front Immunol. 2023;14:1143548.]。ヨーグルトや乳酸菌飲料、味噌汁など、日常的に続けられる方法で取り入れることが推奨されます。
2つ目はたんぱく質の意識的な摂取です。夏バテで食事量が減ると、筋肉の維持や自律神経の回復に必要なたんぱく質が不足しがちです。1食あたり20g以上を目安に、卵・豆腐・魚・ヨーグルトなどで補うことが推奨されます。
3つ目は入浴習慣の復活です。夏はシャワーだけで済ませがちですが、38〜40℃のぬるめの湯に15分ほど浸かることで副交感神経が優位になり、自律神経のバランス回復が促されると考えられています。就寝1〜2時間前の入浴が睡眠の質にも寄与する可能性があります。
4つ目は睡眠リズムの安定化です。毎日同じ時刻に起床する習慣を維持することが、体内時計の調整と自律神経の安定に寄与すると考えられています。
ただし、これらは健康維持をサポートするものであり、病気を予防したり治したりするものではありません。
秋バテの先回り予防として日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、これらを「9月になってから」ではなく「8月中に」始めることと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
毎年、秋口まで調子が戻らないと感じている方は、今年こそ8月のうちから体の立て直しを始めてみてください。味噌汁を1杯加える、シャワーだけの日を1日減らしてぬるめの湯に浸かる——小さな変化の積み重ねが、9月以降の体調を大きく左右します。
ただし、9月を過ぎても倦怠感が改善しない、気分の落ち込みが続く、体重が大きく変動している場合は、甲状腺機能の異常やうつ病など別の疾患が隠れている可能性があります。自己判断で様子を見続けず、医療機関への受診をご検討ください。
まとめ:秋バテ予防は8月が勝負。4つの先回りケアで季節の変わり目を乗り越える
- 秋バテの原因: 夏の高体温+脱水による蓄積ダメージが、9月以降の気温変動で表面化
- 「涼しくなれば治る」は危険: 腸内環境・栄養状態・自律神経のバランスは自然回復しにくい
- 8月の4つのケア: ①乳酸菌食品で腸活 ②たんぱく質を毎食摂取 ③ぬるめの入浴 ④起床時間の固定
- プロバイオティクスの根拠: 26件のRCTメタ解析で腸のバリア機能強化と炎症マーカーの低下が報告
- 注意: 9月以降も改善しない倦怠感・気分の落ち込みは、医療機関への受診をご検討ください
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(参考文献)
Zheng Y, Zhang Z, Tang P, et al. Probiotics fortify intestinal barrier function: a systematic review and meta-analysis of randomized trials. Front Immunol. 2023;14:1143548.
Tanaka M, Mizuno K, Yamaguti K, et al. Autonomic nervous alterations associated with daily level of fatigue. Behav Brain Funct. 2011;7:46.
van den Heuvel AMJ, Haberley BJ, Hoyle DJR, et al. Hyperthermia and dehydration: their independent and combined influences on physiological function during rest and exercise. Eur J Appl Physiol. 2020;120(12):2813-2834.
Adams EL, Casa DJ, Huggins RA, et al. Heat Exposure and Hypohydration Exacerbate Physiological Strain During Load Carrying. J Strength Cond Res. 2019;33(3):727-735.







