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脳の健康には脳トレアプリと運動、どちらが効果的で続けやすいですか?
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脳の健康には脳トレアプリと運動、どちらが効果的で続けやすいですか?

越智 佳奈監修者

文京小石川クリニック 脳神経内科、 東京女子医科大学附属病院 東洋医学研究所クリニック 脳神経内科

越智 佳奈

運動のほうが国際的な指針で強くすすめられていますが、脳トレアプリにもよい面があります。続けやすさは、自分に合うほうを選ぶことが大切です。

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脳の健康に運動が効果的とされるのはなぜですか

脳の健康を保つうえで、運動は続けたい習慣のひとつです。国際的な指針では、認知機能が正常な大人に対し、認知機能の低下を防ぐために体を動かすことが強くすすめられており、65歳以上の方には、少し息がはずむ程度の運動を週に150分以上行うことが目安として示されています。ただし「強くすすめられる」というのは推奨の強さを表すもので、根拠の確かさ自体は中程度と評価されています。しかし、それでも生活習慣のなかでは運動が最も脳の健康には確からしいとされています。[WHO. 2019.]。

定期的に体を動かすことは、高齢の方の認知機能を改善したと報告されています。また、この研究では、息が少しはずむくらいの有酸素運動と、筋肉に負荷をかける運動を、できるだけ多くの日に行うことがすすめられています。[Int J Environ Res Public Health. 2023;20(2):1088.]。

さらに、運動をすると脳の中の血流が増え、それにともなって注意力が改善することも、専門家による講演報告のなかで指摘されています。こうした仕組みは、運動が脳の働きを支える背景のひとつとして説明されています。[日本整形外科スポーツ医学会雑誌. 2020;40(2):141-145.]。

脳トレアプリにも脳の健康への効果はありますか

脳トレアプリにも、よい面があることがわかっています。認知機能に問題のない60歳以上の方を対象に、16件の研究(約1,500人)を統合した分析では、市販の脳トレアプリによって、情報を処理する速さ・短い間ものを覚えておく力・物事を計画して進める力・言葉を思い出す力が改善したと報告されています。一方で、注意力や、空間を把握する力については、はっきりした改善は認められませんでした。[Sci Rep. 2020;10(1):15276.]。

ただし、国際的な指針では、脳トレアプリのような認知トレーニングは「取り入れてもよい」という条件付きの位置づけにとどまっており、根拠の確かさも低いと評価されています[WHO. 2019.]。しかし、運動と比べると、根拠の確かさには差があります。

脳トレアプリの効果には限界がありますか

脳トレアプリを使ううえで知っておきたいのは、効果の広がり方に限界がある点です。健康な高齢者103人を対象に3か月間行われた研究では、アプリで練習したゲームそのものは上達したものの、その上達は練習していない別の課題には引き継がれず、比べる相手のグループと比べて認知機能の改善は認められませんでした[Psychol Res. 2025;89(2):75.]。

この知見は、脳トレアプリの効果が「やったゲームが上手になる」という範囲にとどまりやすく、日常の幅広い脳の働きへ広がるとは限らないことを示すものと考えられます。ただし、これはひとつの研究による結果であり、先ほどの分析とは結論が分かれている点にも留意が必要です。

続けやすいのは脳トレアプリと運動のどちらですか

続けやすさは人によって異なり、どちらがよいと一概には言えません。大切なのは、自分が楽しめて生活に取り入れやすい方法を選ぶことです。運動については、続けて行うことで認知機能の維持に役立つ可能性が示唆されています[日本整形外科スポーツ医学会雑誌. 2020;40(2):141-145.]。

根拠の確かさでは運動が中心となりますが、脳トレアプリを気分転換や補助として楽しむのもひとつの方法です。無理なく続けられる形を見つけることが、脳の健康を保つうえでの近道と考えられます。

脳の健康を保つうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

脳の健康を保つうえで日常生活の工夫として検討したい3つのコツと理由をまとめた表です。 1つ目は「運動を軸にする」で、息が少しはずむ有酸素運動や筋肉に負荷をかける運動を、週150分以上を目安に、無理のない範囲でできるだけ多くの日に行うことです。理由は、国際的な指針で、認知機能の低下リスクを減らすために強くすすめられているためです。 2つ目は「脳トレアプリは補助として楽しむ」で、情報を処理する速さや記憶などで改善が報告される一方、効果はやったゲームに偏りやすいことを理解して取り入れることです。理由は、幅広い脳の働きへの広がりは限定的とする報告もあるためです。 3つ目は「続けられるほうを選ぶ」で、自分が楽しめて、生活に取り入れやすいほうを選ぶことです。理由は、運動は続けることで認知機能の維持に役立つ可能性があると考えられているためです。

ここだけは伝えたいメッセージ

運動も脳トレアプリも、無理なく続けられる範囲で生活に取り入れることが、脳の健康を保つ助けになると考えられます。まずは自分が楽しめるものから始めてみましょう。なお、効果には個人差があります。物忘れが気になるなど、不安な状態が続く場合は、医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:運動を軸に脳トレアプリは補助として

  • 運動: 国際的な指針で、認知機能の低下リスクを減らすために強くすすめられています(根拠の確かさは中程度と評価されています)
  • 脳トレアプリ: 情報を処理する速さや記憶などで改善が報告される一方、効果はやったゲームに偏りやすい面があります
  • 続けやすさ: 自分が楽しめて生活に取り入れやすいほうを選ぶことが継続につながります
  • 基本の考え方: 運動を軸にし、脳トレアプリは補助として取り入れるのがおすすめです

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(参考文献)

World Health Organization. Risk reduction of cognitive decline and dementia: WHO guidelines. Geneva: World Health Organization; 2019. Xu L, Gu H, Cai X, Zhang Y, Hou X, Yu J, Sun T. The Effects of Exercise for Cognitive Function in Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Int J Environ Res Public Health. 2023;20(2):1088. Bonnechere B, Langley C, Sahakian BJ. The use of commercial computerised cognitive games in older adults: a meta-analysis. Sci Rep. 2020;10(1):15276. Sutton E, Catling J, van Zanten JJCSV, Segaert K. Practice makes perfect, but to what end? Computerised brain training has limited cognitive benefits in healthy ageing. Psychol Res. 2025;89(2):75. 藤本繁夫. 高齢者の生涯スポーツ―運動は認知障害を予防する?―. 日本整形外科スポーツ医学会雑誌. 2020;40(2):141-145.

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