

監修者文京小石川クリニック 脳神経内科、 東京女子医科大学附属病院 東洋医学研究所クリニック 脳神経内科
運動・食事・頭を使う活動を無理なく習慣にすることが、認知機能の維持と関連すると報告されています。今日からできる小さな一歩から始めてみましょう。
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認知症予防に生活習慣が関わるといわれるのはなぜ?
認知症の原因は完全には解明されていませんが、生活習慣を見直すことが認知機能を守るうえで役立つ可能性が注目されています。国際的な専門家委員会の報告では、難聴や高血圧、運動不足、喫煙、視力の低下など、自分で対処できる14の要因が挙げられており、これらにすべて対処できたとすれば、理論上は認知症の約45%を予防できたり、発症を遅らせられたりする可能性があるとされています[Lancet. 2024;404(10452):572-628.]。
認知症予防によい運動は?無理なく続けられる目安
国際的な指針では、認知機能が正常な大人に対し、認知機能の低下を防ぐために体を動かすことが強くすすめられており、65歳以上の方には、少し息がはずむ程度の運動を週に150分以上行うことが目安として示されています[WHO. 2019.]。ただしこの指針でも、根拠の確かさ自体は中程度と評価されています。
実際に、体をよく動かす人は、あまり動かさない人に比べて認知機能が低下しにくい傾向があり[BMC Public Health. 2014;14:510.]、運動をよくする人ほど認知症になりにくい傾向、特にアルツハイマー型で関連が見られたとも報告されています[Biomed Res Int. 2017;2017:9016924.]。ただし、これらは関連を観察した研究で、運動が認知症を確実に防ぐと言い切れるわけではありません。
認知症予防によい食事は?脳を守る食べ方のポイント
葉物野菜やベリー類、ナッツ、魚などを多く取り入れる食べ方は、MIND食と呼ばれています。高齢者960人を平均4.7年間追跡した研究では、よく実践していたグループは、あまり実践していなかったグループと比べて認知機能の低下がゆるやかで、その差は脳の働きが約7.5歳分若いことに相当したと報告されています[Alzheimers Dement. 2015;11(9):1015-1022.]。
一方、国際的な指針では、地中海食が認知機能の低下や認知症のリスクを減らす食事として、条件付きですすめられています[WHO. 2019.]。条件付きの理由は知見がまだ限定的であり、日本などの地中海沿岸以外の地域で、そのまま完全に再現・継続するのが文化や食材調達の面から容易ではないケースがあるためです。
また、これらの食事に関する知見は関連を観察した研究からであり、食事だけが原因と確定したものではありません。
今日からできる脳トレは効果がある?
65歳以上の方を対象に10年間追跡した研究では、推論や情報を処理する速さを鍛える訓練の効果が10年後まで保たれ、訓練を受けた人は日常生活の動作に困難を感じる割合が少ない傾向がありました。ただし、効果は主に訓練した能力に見られ、記憶の訓練の効果は10年の時点では保たれていませんでした[J Am Geriatr Soc. 2014;62(1):16-24.]。
市販の脳トレアプリを用いた研究でも、練習した課題そのものは上達する一方、その上達がほかの認知機能へ広がるとは限らないと報告されています[Psychol Res. 2025;89(2):75.]。国際的な指針でも、認知トレーニングは「取り入れてもよい」という条件付きの位置づけで、根拠の確かさは低いと評価されています[WHO. 2019.]。運動や食事を土台としたうえで、無理なく楽しめる範囲で取り入れてみるとよいでしょう。
認知症予防を意識するうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

ここだけは伝えたいメッセージ
毎日の散歩やバランスのよい食事など、今日から無理なく始められることばかりです。一方で効果には個人差があり、これらは認知症を確実に防ぐものではありません。もの忘れが以前より増えたなど、気になる変化がある場合は、医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:今日からできる認知症予防の生活習慣
- 運動: 少し息がはずむ程度の運動を週150分以上を目安に続けることが、国際的な指針で強くすすめられています
- 食事: 葉物野菜やベリー類、ナッツ、魚などを取り入れた食事が、認知機能の低下のゆるやかさと関連すると報告されています
- 脳トレ: 頭を使う活動は、鍛えた分野を中心に、認知機能の維持と関連すると報告されています
- 心がけ: これらは認知症を確実に防ぐものではないため、気になる変化があれば医療機関への相談をご検討ください
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(参考文献)
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Morris MC, Tangney CC, Wang Y, Sacks FM, Barnes LL, Bennett DA, Aggarwal NT. MIND diet slows cognitive decline with aging. Alzheimers Dement. 2015;11(9):1015-1022.
Blondell SJ, Hammersley-Mather R, Veerman JL. Does physical activity prevent cognitive decline and dementia? A systematic review and meta-analysis of longitudinal studies. BMC Public Health. 2014;14:510.
Guure CB, Ibrahim NA, Adam MB, Said SM. Impact of Physical Activity on Cognitive Decline, Dementia, and Its Subtypes: Meta-Analysis of Prospective Studies. Biomed Res Int. 2017;2017:9016924.
Rebok GW, Ball K, Guey LT, Jones RN, Kim HY, King JW, Marsiske M, Morris JN, Tennstedt SL, Unverzagt FW, Willis SL; ACTIVE Study Group. Ten-year effects of the advanced cognitive training for independent and vital elderly cognitive training trial on cognition and everyday functioning in older adults. J Am Geriatr Soc. 2014;62(1):16-24.
Sutton E, Catling J, van Zanten JJCSV, Segaert K. Practice makes perfect, but to what end? Computerised brain training has limited cognitive benefits in healthy ageing. Psychol Res. 2025;89(2):75.







