

はまさき医院 糖尿病・内分泌科
運動後は糖質とたんぱく質を組み合わせて早めに摂ることが、筋肉の回復とエネルギーの補充に役立つと考えられています。
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運動後のリカバリー食が大切な理由
運動をすると、筋肉には細かな損傷が生じます。同時にエネルギー源である筋グリコーゲン(筋肉に蓄えられた糖質)も消費されます。運動後に適切な栄養を摂ることで、筋肉の修復とエネルギーの補充がスムーズに進むと報告されています[Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2010;20(6):515-532.]。特に夏は発汗量が多く、水分やミネラルの損失も大きくなるため、栄養補給とあわせて水分補給を行うことが重要です[Am J Clin Nutr. 2000;72(2 Suppl):564S-572S.]。
運動後のたんぱく質の摂り方|量とタイミングの目安
運動後のたんぱく質摂取は、筋肉の合成を促す働きがあると報告されています[Nestle Nutr Inst Workshop Ser. 2013;75:73-83.]。1回あたりの目安量は約20~40gで、運動直後またはできるだけ早いタイミングでの摂取が望ましいとされています[J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:20.]。
たんぱく質の中でも、ホエイプロテインは消化吸収が速く、筋肉の合成に必要なアミノ酸を豊富に含みます。そのため運動後の栄養補給に適していると考えられています[Nestle Nutr Inst Workshop Ser. 2013;75:73-83.]。日常の食事から摂る場合は、鶏むね肉・卵・豆腐・牛乳・ヨーグルトなども良質なたんぱく質源です。1日を通じて3~4時間ごとに分散して摂ることも推奨されています[J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:20.]。
糖質とたんぱく質の組み合わせ|エネルギー回復のポイント
運動で消費された筋グリコーゲンを効率よく回復させるには、糖質の摂取が最も重要な要素です[Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2010;20(6):515-532.]。糖質にたんぱく質を加えて摂ると、糖質だけを多量に摂った場合と同等のグリコーゲン回復が期待できます。さらに筋肉の修復も同時に進められると報告されています[Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2010;20(6):515-532.]。
具体的には、おにぎりとゆで卵、バナナとプロテインドリンク、サンドイッチなど、糖質とたんぱく質を組み合わせた食事が実践しやすいリカバリー食の例です。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)の効果と注意点
BCAA(分岐鎖アミノ酸=バリン・ロイシン・イソロイシン)は、筋肉の材料となるアミノ酸の一種です。複数の研究を統合した分析では、BCAAの摂取によって運動後の筋損傷の指標(クレアチンキナーゼ値)が低下したと報告されています[Nutrition. 2017;42:30-36.]。この結果は、BCAAが運動による筋肉へのダメージを軽減する可能性を示すものと考えられます。
筋肉痛については、報告が分かれています。2017年の分析では筋肉痛のスコアに明らかな差は認められませんでした[Nutrition. 2017;42:30-36.]。一方、より新しい分析では、BCAAの摂取が運動後の筋肉痛を和らげる可能性が示唆されています[Sports Med Open. 2024;10(1):42.]。この分析では、1日の摂取量や合計の摂取量が多いほど、また摂取する期間が長いほど、良い結果につながる傾向も示されています。
夏の運動後に欠かせない水分・電解質の補給
暑い環境で運動をすると、大量の汗をかくことで体内の水分と電解質(ナトリウムやカリウムなどのミネラル)が失われます。こうした水分の不足は有酸素運動のパフォーマンスを低下させることが報告されています[Am J Clin Nutr. 2000;72(2 Suppl):564S-572S.]。この知見は、夏場の運動後にはリカバリー食とあわせて十分な水分・電解質の補給を優先すべきであることを裏付けています。
なお、普段の食事をバランスよく摂っている場合は、電解質のサプリメントが必ずしも必要ではないことも示されています[Am J Clin Nutr. 2000;72(2 Suppl):564S-572S.]。まずは水やお茶でこまめに水分を補い、大量に汗をかいた場合はスポーツドリンクなどで塩分も一緒に補給するとよいでしょう。
運動後のリカバリー食を選ぶうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、運動後にできるだけ早いタイミングで糖質とたんぱく質を組み合わせた食事を摂ることと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
運動後の栄養補給は、日々のトレーニングの効果を高め、体の回復を助ける大切な習慣です。特別な食品やサプリメントがなくても、普段の食事の工夫で十分に対応できます。
ただし、運動後に強い吐き気やめまいが続く場合や、尿の色が極端に濃い状態が改善しない場合は、脱水や体調不良のサインである可能性があります。そのような場合は、医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:運動後のリカバリー食で押さえたいポイント
- たんぱく質の目安量: 1回あたり約20~40gが至適とされており、運動直後の摂取が推奨されている
- 糖質との組み合わせ: 糖質にたんぱく質を加えて摂ることで、エネルギー回復と筋肉の修復を同時に進められると報告されている
- BCAAの効果: 筋損傷の指標の低下が報告されており、より新しい分析では運動後の筋肉痛を和らげる可能性も示唆されている
- 夏場の水分補給: 暑い環境での運動後は水分と電解質の補給を優先し、大量発汗時はスポーツドリンクなどで塩分も補う
- 日常の食事で対応可能: おにぎり+ゆで卵、バナナ+プロテインドリンクなど、身近な食品の組み合わせで実践できる
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(参考文献)
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van Loon LJC. Role of dietary protein in post-exercise muscle reconditioning. Nestle Nutr Inst Workshop Ser. 2013;75:73-83.
Beelen M, Burke LM, Gibala MJ, van Loon LJC. Nutritional strategies to promote postexercise recovery. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2010;20(6):515-532.
Rahimi MH, Shab-Bidar S, Mollahosseini M, Djafarian K. Branched-chain amino acid supplementation and exercise-induced muscle damage in exercise recovery: A meta-analysis of randomized clinical trials. Nutrition. 2017;42:30-36.
Sawka MN, Montain SJ. Fluid and electrolyte supplementation for exercise heat stress. Am J Clin Nutr. 2000;72(2 Suppl):564S-572S.
Salem A, et al. Attenuating Muscle Damage Biomarkers and Muscle Soreness After an Exercise-Induced Muscle Damage with Branched-Chain Amino Acid (BCAA) Supplementation: A Systematic Review and Meta-analysis with Meta-regression. Sports Med Open. 2024;10(1):42.







