
熱中症の応急処置はどう行う?体の冷やし方と経口補水液の使い分けを教えてください。
監修者富士在宅診療所 一般内科
涼しい場所への移動・衣服をゆるめて体を冷やす・水分とミネラルの補給が基本の3ステップで、意識の状態に応じて対応を変えることが大切です。
熱中症が疑われるとき、最初の対応が回復を大きく左右するとされています。「何をすればいいかわからない」と慌てないために、応急処置の基本ステップを覚えておくことが大切です。
熱中症の応急処置|まず行うべき3つのステップ
熱中症が疑われる人を見かけたら、以下の3つのステップで対応します。
ステップ1:涼しい場所に移動する
エアコンの効いた室内が理想ですが、すぐに室内に入れない場合は日陰で風通しのよい場所を選びます。アスファルトの照り返しを避けるため、地面から離れた場所(ベンチなど)に座らせることがポイントです。
ステップ2:衣服をゆるめて体を冷やす
ネクタイやベルトをゆるめ、ボタンを外して体にこもった熱を逃がしやすくします。同時に、首の横・脇の下・足の付け根の3か所を集中的に冷やします。これらは太い血管が皮膚の近くを通る場所で、ここを冷やすと体全体の温度を効率よく下げられるとされています。冷たいペットボトル・保冷剤・濡れタオルなど、その場にあるものを活用します。
水をかけながら、うちわや扇風機で風を当てる方法も有効とされています。水が蒸発するときに体の熱を奪うしくみ(気化熱)を利用した冷却法です。複数の冷却法を比較した研究では、水に浸す方法(冷水浸漬)が最も速く体温を下げたと報告されています[Resuscitation. 2020;148:173-190.]。
ステップ3:水分とミネラルを補給する
意識がはっきりしていて自力で飲める場合に限り、経口補水液を少量ずつ飲ませます。一度に大量に飲むと吐き気を誘発する可能性があるため、ひと口ずつ様子を見ながら補給します。
意識の状態で対応を切り替える|「飲めるかどうか」が判断ライン
応急処置で最も重要な判断は「自力で水分が飲めるかどうか」です。
- 飲める場合: ステップ1〜3を行い、30分間は涼しい場所で安静にする。症状が改善すれば経過観察が可能
- 飲めない場合・意識がもうろうとしている場合: すぐに119番通報し、救急車を待つ間もステップ2(体を冷やす)を続ける。意識が低下した状態で水を飲ませると、誤嚥(ごえん=水分が気管に入ること)の危険があるため避ける
2024年に改訂された診療ガイドラインでは、「冷却は搬送よりも優先」という方針が示されており、救急隊の到着前から、できる限り体を冷やすことが推奨されています。
経口補水液とスポーツドリンクの使い分け|脱水の程度で選ぶ
経口補水液とスポーツドリンクは成分バランスが異なり、場面によって使い分けることが推奨されています。
- 経口補水液: ミネラルナトリウム濃度が高く、糖分は控えめ。脱水が進んだ場面(大量の汗・下痢・嘔吐)での水分・ミネラル補給に適している
- スポーツドリンク: ナトリウム濃度はやや低く、糖分がやや多い。日常の水分補給や軽い発汗時に飲みやすい
熱中症の応急処置では経口補水液が第一選択です。手元にない場合は、水1リットルに塩3g(小さじ半分)と砂糖40g(大さじ4杯半)を溶かした簡易版で代用できます。ただし、市販品と比べて味のバランスが異なるため、飲みにくいと感じる場合はスポーツドリンクでも構いません。
応急処置に備えた準備|あくまで補助的な手段として
外出時やスポーツ時に経口補水液と保冷剤を携帯しておくと、いざというときに素早い対応が可能です。最近はゼリータイプの経口補水液もあり、飲みこみやすさの面で活用が広がっています。携帯型のWBGT計(暑さ指数を測る機器)があれば、数値で危険度を把握できます。
ただし、これらはあくまで応急処置を補助する手段であり、症状が改善しない場合は速やかに医療機関への受診をご検討ください。なお、効果には個人差があります。
熱中症の応急処置に備えるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点
特に重要とされるのは、「事前の準備」と「ためらわずに119番」の2つと考えられています。

ここだけは伝えたいメッセージ
熱中症の応急処置で最も大切なのは「すぐに冷やすこと」です。冷やす手段が完璧でなくても、「涼しい場所に移動する」「濡れタオルを当てる」といった身近な方法で構いません。まず行動することが重要です。
意識がもうろうとしている・受け答えがおかしい・自力で水が飲めない場合は、ためらわずに119番への通報をご検討ください。救急車を待つ間に体を冷やし続けることが、回復の可能性を高めるとされています。
まとめ:熱中症の応急処置は「涼しく→冷やす→補給」の3ステップで

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