
監修者精神科・心療内科
ペットを亡くしてつらいのは自然なことです。確かな方法はまだありませんが、話せる相手を持ち、無理せず自分のペースで過ごしましょう。
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ペットロスのつらさは自然な反応です
飼い主の体験を聞き取った研究を集めて整理した報告があります。ペットを亡くして強い悲しみや喪失感を抱く飼い主がいることが整理されており、罪悪感もテーマのひとつに挙げられています[Death Stud. 2022;46(9):2167-78.]。
48の研究をまとめた報告(総説)では、ペットロスの悲しみは周りにわかってもらいにくく、孤独を感じやすいとされています[J Appl Anim Welf Sci. 2023;26(3):285-99.]。つらさを感じているのは、あなただけではありません。
ペットを亡くしたあとの心の不調を調べた日本の調査
日本の動物火葬施設を利用した飼い主に、調査票で答えてもらった研究があります。解析の対象は37人で、比べる群を置いていない小規模な観察研究です。心の不調のおそれがあると判定された人は、亡くした直後に約60%、2か月後も約55%、4か月後にも約40%いました[獣医疫学雑誌. 2016;20(1):59-65.]。この判定は病気の診断ではありません。調査票の回収率は2割で、回答者は途中で37人から27人に減っています。時期ごとの差を統計で確かめた結果でもなく、誰にでも当てはまるとは言えません。悲しみの波は人によって違うので、ほかの人と比べず、自分のペースを大切にしてください。
ペットロスで眠れない・食べられないときの過ごし方
主に人との死別を扱った85本の研究をまとめた報告があります。死別のあとは眠りが乱れやすく、悲しみが強い人ほど睡眠の問題も多いという関連がみられたとされています[Sleep Med Rev. 2020;53:101331.]。ペットロスを調べた結果ではありませんが、ペットとの別れでも起こりうると考えられます。
ただし、この報告の時点では、睡眠の乱れを整える方法の効果を確かめた研究はまだないとされています[同上]。眠れない日も自分を責めず、横になって体を休めるなど、できることから試してみてください。食事の整え方を確かめた研究も、確認できた範囲では見当たりませんでした。食欲がないときは、食べられるものを少しずつ口にするなど、研究で確かめられた方法ではありませんが、一般的な工夫として試してみてください。
気持ちを整理する方法:話す・思い出を大切にする
先ほどの総説では、飼い主が実際にとった対処として、ひとりで過ごす、周りの人に支えてもらう、亡くしたペットとのつながりを保つ、追悼(お別れの儀式など)などが報告されています。これは報告された行動の一覧で、すすめられる方法の一覧ではありません。どの方法が効くかも、まだ確かめられていません[J Appl Anim Welf Sci. 2023;26(3):285-99.]。
ペットとのつながりを保つことについて研究を体系的に整理した、別の報告もあります。自分に合った形のつながりが支えになった人もいるとされています。一方、悲しみを周りに軽く扱われるときは、つながりがかえってつらさを強めることもあり、結果は研究によってばらつきがあります[Omega (Westport). 2025;90(4):1666-84.]。対象は主に米国など海外の成人女性で、日本の飼い主に当てはまるかはわかっていません。つらさが増すと感じたら、無理に続けなくてかまいません。
ペットロスと向き合ううえで日常生活の工夫として検討が推奨される点
次の表は、効果が確かめられた方法ではなく、日常でできる工夫です。

ここだけは伝えたいメッセージ
深く悲しむのは、それだけ大切な存在だったからです。自分のペースで毎日を過ごしてください。眠れない・食べられない状態が長く続き、日常生活に支障が出るときは、医療機関や相談窓口への相談をご検討ください。
まとめ:ペットロスのつらさと付き合いながら過ごすために
- つらさは自然な反応: ペットを亡くして強い悲しみを感じたり、罪悪感を抱いたりする人もいるとされています
- 亡くしたあとの心の不調: 37人の小規模な調査ですが、直後に約6割、4か月後にも約4割に心の不調のおそれがみられたという報告があります
- 睡眠と食事: 主に人との死別の研究では眠りが乱れやすいとされますが、整え方の効果を確かめた研究は、確認できた範囲では見当たりませんでした
- 話す・思い出を大切にする: 周りの支えや追悼などの対処が報告されていますが、どの方法が効くかはまだ確かめられていません
- 合う形は人それぞれ: 亡くしたペットとのつながりは支えにもつらさにもなりうるとされています
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(参考文献)
Cleary M, West S, Thapa DK, Westman M, Vesk K, Kornhaber R. Grieving the loss of a pet: A qualitative systematic review. Death Stud. 2022;46(9):2167-2178.
Park RM, Royal KD, Gruen ME. A Literature Review: Pet Bereavement and Coping Mechanisms. J Appl Anim Welf Sci. 2023;26(3):285-299.
Hughes B, Lewis Harkin B. The Impact of Continuing Bonds Between Pet Owners and Their Pets Following the Death of Their Pet: A Systematic Narrative Synthesis. Omega (Westport). 2025;90(4):1666-1684.
Lancel M, Stroebe M, Eisma MC. Sleep disturbances in bereavement: A systematic review. Sleep Med Rev. 2020;53:101331.
木村祐哉, 金井一享, 伊藤直之, 他. ペットロスに伴う死別反応から医師の介入を要する精神疾患を生じる飼主の割合. 獣医疫学雑誌. 2016;20(1):59-65.







