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朝ランは夏こそ効果的?|早朝ランニングの始め方と注意点
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朝ランは夏こそ効果的?|早朝ランニングの始め方と注意点

濵﨑 秀崇監修者

はまさき医院 糖尿病・内分泌科

濵﨑 秀崇

夏の早朝は気温が低く朝ランを始めやすい季節です。脂肪燃焼や血圧低下などの効果が期待されますが、熱中症予防のための段階的な体づくりとこまめな水分補給が欠かせません。

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朝ランニングのメリット|脂肪燃焼や血圧への効果

朝の運動と心臓・血管の健康については、研究の結果が一致していません。約8万人を対象にした大規模な研究では、早朝や午前中に体を動かす習慣がある人は、心血管疾患(心臓や血管に関わる病気)の発症リスクが低い傾向にあったと報告されています[J Phys Act Health. 2023;20(6):547-554.]。

一方で、2,059人を中央値約46か月追跡した研究では、これとは逆の結果が報告されました。活動のピークが10〜14時にある人で心血管の病気が最も少なく、7〜12時にピークがある早朝型の人ではむしろ多いという結果です。ただし、この研究は病気が起きた件数が少なく推定の精度が低いことを、研究者自身が限界として挙げています[JACC Adv. 2024;3(11):101324.]。

現時点では「朝に走れば心臓や血管の病気を防げる」と言い切れる段階ではありません。時間帯にこだわるよりも、続けられる時間帯を選んで運動習慣そのものを保つことが大切と考えられます。

朝食前に運動を行うと、1日を通じた脂肪の燃焼量が増えることも示されています。健常な若年男性を対象とした研究では、朝食前の運動でのみ、24時間の脂肪燃焼量が増加しました[EBioMedicine. 2015;2(12):2003-9.]。この結果は、夏の朝ランを朝食前に行うことで脂肪燃焼の面でもメリットが期待できることを示唆しています。

さらに、朝の運動には血圧を下げる効果も確認されています。座りがちな高齢の過体重・肥満の方を対象とした研究では、朝の運動後に8時間にわたって血圧が低下しました[Hypertension. 2019;73(4):859-867.]。この知見は、朝ランが血圧管理にも役立つ可能性を示しています。

夏の朝ランの始め方|暑さに体を慣らすステップ

夏に朝ランを始める際は、いきなり長時間走るのではなく、1〜2週間かけて段階的に体を暑さに慣らすことが重要です。この過程は暑熱順化(しょねつじゅんか)と呼ばれています。多くの専門家の見解をまとめた報告では、最初は短い時間・低い運動強度から始め、徐々に運動時間と強度を上げていく方法が推奨されています[Br J Sports Med. 2015;49(18):1164-73.]。段階的に取り組むことで体の暑さへの適応力が高まり、熱中症のリスクを減らすことが期待されます。

暑い時期には涼しい時間帯に運動することが望ましいとされています[環境省. 熱中症環境保健マニュアル2022.]。日の出前後の早朝は1日のうちで最も気温が低い時間帯にあたるため、夏の朝ランに適したタイミングといえます。最初の数日はウォーキングや軽いジョギングを短時間にとどめ、体調をみながら少しずつ距離や時間を延ばしていくのが安全な進め方です。

夏の朝ランの注意点|熱中症予防と水分補給

夏の朝ランでは、早朝であっても熱中症への注意が欠かせません。WBGT(暑さ指数=気温・湿度・輻射熱を組み合わせた指標)が28以上の場合は激しい運動を控え、積極的に休憩を取ることが推奨されています。気温が35度以上(WBGT31以上)では、運動は原則中止とされています[環境省. 熱中症環境保健マニュアル2022.]。朝の時間帯でも、湿度が高い日や猛暑日には無理をしないことが大切です。

水分補給も重要なポイントです。暑い環境での運動に関するレビューでは、発汗によって体内の水分や電解質(ナトリウムやカリウムなどのミネラル)が失われると、体温調節がうまく働かなくなり、熱中症のリスクが高まることが報告されています[Physiol Rev. 2021;101(4):1873-1979.]。この知見を踏まえると、走る前・走っている最中・走り終わったあとのこまめな水分補給が、夏の朝ランを安全に行ううえで欠かせない習慣といえます。

夏の朝ランを安全に楽しむうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、暑熱順化・水分補給・環境への配慮をバランスよく取り入れることと考えられています。

夏の朝ランを安全に楽しむために日常生活で検討したい3つのコツと理由をまとめた表です。 1つ目は「段階的な暑熱順化」で、1〜2週間かけて運動時間と強度を少しずつ上げることです。理由は、体の暑さへの適応力が高まり、熱中症リスクの軽減が期待されるためです。 2つ目は「こまめな水分補給」で、走る前・最中・後に水分を補給することです。理由は、発汗によるミネラルの損失を補い、体温上昇を抑える可能性があるためです。 3つ目は「涼しい時間帯の活用」で、日の出前後の早朝に走ることです。理由は、1日で最も気温が低い時間帯であり、暑さによる体への負担が軽減されると考えられているためです。

ここだけは伝えたいメッセージ

夏の早朝は気温が低く、朝ランを始めるのに適した季節です。暑熱順化で段階的に体を慣らし、こまめな水分補給を心がけることで、脂肪燃焼や血圧への効果を安全に得ることが期待されます。

一方で、暑さ指数(WBGT)が高い日や体調がすぐれない日は、無理せず休むことが大切です。体調に異変を感じた場合は、すぐに運動を中止して涼しい場所で休み、症状が改善しない場合は医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:夏の朝ランを安全に始めるために

  • 朝ランニングのメリット: 脂肪燃焼の促進や血圧低下への寄与が報告されている。心血管疾患の予防については研究結果が一致しておらず、現時点では言い切れない
  • 暑熱順化の重要性: 1〜2週間かけて段階的に運動時間と強度を上げ、体を暑さに慣らすことが推奨されている
  • 水分補給: 走る前・最中・後にこまめに水分を補給し、ミネラルの損失を防ぐことが大切
  • 暑さ指数(WBGT)の確認: WBGT28以上では激しい運動を控え、気温35度以上(WBGT31以上)では運動を原則中止とされている
  • 体調管理: 体調に異変を感じたらすぐに運動を中止し、症状が改善しない場合は医療機関への相談を検討する

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(参考文献)

Tongyu Ma et al.Association of Time-of-Day Physical Activity With Incident Cardiovascular Disease: The UK Biobank Study.J Phys Act Health. 2023;20(6):547-554.
Kaito Iwayama et al.Exercise Increases 24-h Fat Oxidation Only When It Is Performed Before Breakfast.EBioMedicine. 2015;2(12):2003-9.
Michael J Wheeler et al.Effect of Morning Exercise With or Without Breaks in Prolonged Sitting on Blood Pressure in Older Overweight/Obese Adults.Hypertension. 2019;73(4):859-867.
S Racinais et al.Consensus recommendations on training and competing in the heat.Br J Sports Med. 2015;49(18):1164-73.
環境省. 熱中症環境保健マニュアル2022.https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_full.pdf,(参照 2026-08-27).
Julien D Périard et al.Exercise under heat stress: thermoregulation, hydration, performance implications, and mitigation strategies.Physiol Rev. 2021;101(4):1873-1979.
Fabrizio Cominetti et al.Associations Between Physical Activity Patterns and Cardiovascular Events and Risk Factors: Cross-Sectional and Prospective Studies.JACC Adv. 2024;3(11):101324.

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