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最近抜け毛が増えた気がします。「抜け毛」と「薄毛」の違いはなんですか?1日何本までが正常なのか、注意すべきサインを教えてください。
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最近抜け毛が増えた気がします。「抜け毛」と「薄毛」の違いはなんですか?1日何本までが正常なのか、注意すべきサインを教えてください。

髙岡 真梨子監修者

平塚市民病院 皮膚科

髙岡 真梨子

抜け毛は毛が自然に抜け落ちる現象そのものを指し、薄毛は髪の密度が減って頭皮が透けて見える状態を指します。1日100〜150本程度の抜け毛は正常範囲とされ、本数だけでなく髪の質(細さ)の変化も見分けの手がかりになります。

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抜け毛とは?毛周期と正常な抜け毛の本数

髪の毛には「毛周期」と呼ばれる成長サイクルがあります。毛周期は、髪が伸びる「成長期」、成長が止まる「退行期」、髪が抜け落ちる準備をする「休止期」、そして実際に髪が抜ける「脱落期」の4つの段階で構成されています[J Clin Med. 2023;12(3):893.]。

健康な人でも、休止期を終えた髪は1日に100〜150本ほど自然に抜けるとされています[J Clin Med. 2023;12(3):893.]。別の報告では、1日最大100本程度の抜け毛が正常範囲であり、頭髪全体のうち約9%が休止期にあるとされています[Dtsch Arztebl Int. 2016;113(21):377-86.]。また、1日100本までの抜け毛を正常範囲とする報告もあります[Indian J Plast Surg. 2021;54(4):399-403.]。つまり、シャンプー時や枕に抜け毛が付いていても、この範囲内であれば毛周期による自然な生え変わりと考えられます。

薄毛の定義と抜け毛との違い

薄毛とは、髪の密度が低下して頭皮が目立つ状態を指します。頭皮が透けて見えるようになった段階では、髪全体のおよそ50%が失われている可能性があると報告されています[Indian J Plast Surg. 2021;54(4):399-403.]。

薄毛の代表的なパターンとして、男性では前頭部や頭頂部の髪が細く軟らかくなる変化が、女性では頭頂部を中心に髪が広範囲に薄くなる変化が知られています[日皮会誌. 2017;127(13):2763-2777.]。このように、抜け毛が「髪が抜ける現象」を指すのに対し、薄毛は「髪の密度や太さが変化した結果の状態」を指す点が大きな違いです。

セルフチェック① ヘアプルテストで抜け毛の程度を確認

自分の抜け毛が正常範囲かどうかを確認する簡易的な方法として「ヘアプルテスト」があります。これは、約60本の毛束を指でつまんで軽く引っ張り、抜けた本数を数えるものです。抜けた毛が3本以下であれば正常範囲とされ、6本以上抜ける場合は活動性の脱毛が疑われるとされています[Clin Cosmet Investig Dermatol. 2011;4:101-106.]。

セルフチェック② 洗髪時の本数と髪質で見分ける

洗髪時の抜け毛の本数にも目安があります。健康な人の洗髪時の抜け毛は平均27.9本であるのに対し、薄毛の傾向がある人(男性型脱毛症・AGA)では平均52.2本と約2倍に増えることが報告されています[Clin Cosmet Investig Dermatol. 2022;15:117-126.]。

本数だけでなく、抜けた毛の質にも注目が必要です。健康な人では細く短い軟毛(なんもう=十分に成長していない毛)の割合が1.0%であるのに対し、AGAの方では8.3%と高くなることが示されています[Clin Cosmet Investig Dermatol. 2022;15:117-126.]。抜け毛の中に細く短い毛が増えてきた場合は、毛の成長サイクルが乱れているサインと考えられます。

軟毛化とは?薄毛につながるメカニズム

髪が細く短くなる現象は「軟毛化(なんもうか)」と呼ばれます。AGAでは毛包(もうほう=髪の毛をつくる組織)が徐々に縮小し、成長期が短くなることで、太く長い髪が育ちにくくなります。やがて髪は細く短いまま抜け落ちるようになり、最終的には頭皮の表面に現れないほど短い毛になっていくとされています[日皮会誌. 2017;127(13):2763-2777.]。このプロセスは緩やかに進むため、本人が気づきにくいという特徴があります。

さらに詳しいセルフチェックとして、抜けた髪の太さにばらつきがないかを確認する方法もあります。毛髪の太さ(径)のばらつきは、AGAの方の94%に見られる特徴です。男性では毛髪径のばらつきが20%を超える場合、女性では10%を超える場合が、AGAの診断基準の一つとされています[J Clin Med. 2024;13(7):1962.]。

抜け毛・薄毛で注意すべきサインと受診の目安

以下のような変化が見られる場合は注意が必要です。急に大量の毛が抜ける、まだらに毛が抜ける、頭皮に赤みやかゆみなどの炎症がある場合は、早めの対応が推奨されています[Indian J Plast Surg. 2021;54(4):399-403.]。

抜け毛の増加には、炎症、ホルモンの変動、ストレス、栄養不足などが関係していることが示されています[J Clin Med. 2023;12(3):893.]。こうした要因に心当たりがある場合は、生活習慣を見直すことが髪の健康維持につながる可能性があります。

また、抜け毛の増加が6か月以上続く場合は、医療機関への相談をご検討ください[StatPearls. 2024.]。

髪と頭皮の健康を保つうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

髪と頭皮の健康を保つ工夫について5つのコツと理由をまとめた表です。1つ目は「抜け毛の本数を定期的に観察する」で、洗髪時に排水口にたまると毛を月に1回程度チェックすることです。理由は1日100本程度まで(報告により100〜150本まで)が正常範囲の目安とされており、普段の量との比較が変化に気づくきっかけになる可能性があるためです。2つ目は「ヘアプルテストで簡易チェックする」で、60本ほどの毛束を軽いつまんで引っ張り、抜けた本数を数えることです。理由は3本以下は正常範囲、6本以上は活動性の脱毛が疑われる目安とされているためです。3つ目は「抜けた髪の太さ・長さを確認する」で、排水口や枕の抜け毛に細く短い毛が混じっていないか見ることです。理由は軟毛の割合が高いことがAGAの特徴とされており、本数だけでなく質の変化も重要と考えられるためです。4つ目は「生活習慣を整える」で、バランスのよい食事、十分な睡眠、ストレスケアを意識することです。理由は栄養不足やストレスが抜け毛に関係すると報告されているためです。5つ目は「変化を感じたら早めに相談する」で、抜け毛の急増、まだらな脱毛、半年以上続く増加があれば医療機関へ相談することです。理由は早めの対応が推奨されているためです。

ここだけは伝えたいメッセージ

抜け毛は誰にでも起こる自然な現象です。1日100〜150本程度の抜け毛は毛周期による正常な生え変わりですので、過度に心配する必要はありません。大切なのは、普段の抜け毛の量や質を知っておくことです。急な変化や長期間の抜け毛の増加、頭皮の炎症など気になるサインがある場合は、医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:抜け毛と薄毛の違いを知り、本数・質のセルフチェックに役立てる

  • 毛周期による自然な抜け毛:健康な人でも1日100〜150本ほどの髪が自然に抜ける。これは毛周期の一部であり、正常な生え変わりの範囲とされている
  • 薄毛は髪の密度の低下:頭皮が透けて見える段階では髪全体のおよそ50%が失われている可能性がある。男性は前頭部・頭頂部、女性は頭頂部を中心に薄くなるパターンが知られている
  • セルフチェックは3方向で:①ヘアプルテスト(6本以上で要注意)②洗髪時の本数(健康27.9本 vs AGA傾向52.2本)③軟毛の割合(健康1.0% vs AGA傾向8.3%)
  • 軟毛化のしくみ:毛包が縮小し成長期が短くなることで、髪が太く長く育ちにくくなる。毛髪径のばらつき(男性20%超/女性10%超)もAGAの診断基準のひとつ
  • 受診の目安:急な大量の抜け毛、まだらな脱毛、頭皮の炎症、6か月以上続く増加が見られる場合は、医療機関への相談を検討する

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(参考文献)

Natarelli N et al. Dermatologic Conditions of the Scalp: A Review. J Clin Med. 2023;12(3):893.
Wolff H et al. The Diagnosis and Treatment of Hair and Scalp Diseases. Dtsch Arztebl Int. 2016;113(21):377-86.
Singh S et al. Indian J Plast Surg. 2021;54(4):399-403.
Gordon KA, Tosti A. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2011;4:101-106.
Li X et al. Daily Hair Shedding and Hair Diameter Variability in Healthy Young Men. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2022;15:117-126.
Kuczara A et al. Hair Diameter Diversity as a Diagnostic Tool in Androgenetic Alopecia. J Clin Med. 2024;13(7):1962.
Hughes EC et al. StatPearls. 2024.
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日皮会誌 2017;127(13):2763-2777.

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