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保冷剤・冷却シートの安全な使い方と冷やしすぎを防ぐポイントを教えてください。
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保冷剤・冷却シートの安全な使い方と冷やしすぎを防ぐポイントを教えてください。

本間 雄貴監修者

富士在宅診療所 一般内科

本間 雄貴

保冷剤はタオルで包んで10〜20分を目安に使い、同じ場所に長時間当て続けないことが大切です。冷却シートは清涼感がありますが、深部まで冷やす効果は限定的とされています。

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保冷剤と冷却シートの冷却効果の違い

保冷剤(氷嚢やジェルパック)と冷却シート(メントール含有タイプ)は、冷たく感じるしくみや実際の冷却効果が異なります。

研究では、氷を使った冷却では筋肉の内部温度が約5.7℃低下したのに対し、メントールを含むジェルでは約1.9℃の低下にとどまったことが報告されています[Int J Sports Phys Ther. 2018;13(3):483-492.]。一方で、メントールジェルは氷よりも主観的に冷たく感じられたという結果も示されています。この知見は、冷却シートが「冷たく感じる」効果を持つ一方で、保冷剤のように体の深部まで実際に冷やす効果は小さい可能性を示唆しています。

保冷剤を使う場合は、実際に皮膚や深部の組織の温度を大きく下げるため、時間や使い方に注意が必要です。

体格による冷却速度の違いと冷やしすぎリスク

保冷剤を当てたときに体がどの程度速く冷えるかは、皮下脂肪の厚さによって大きく異なることがわかっています。

研究では、皮下脂肪が薄い人(0〜10mm)は約8分で筋肉内部の温度が7℃低下したのに対し、皮下脂肪が厚い人(31〜40mm)では同じ温度低下に約59分かかったと報告されています[Arch Phys Med Rehabil. 2002;83(11):1501-5.]。この結果は、痩せ型の人ほど短時間で深部まで冷えやすく、冷やしすぎのリスクが高いことを示しています。

そのため、保冷剤を使う際には「決まった時間冷やせば安全」と一律に考えるのではなく、自分の体格に合わせて冷却時間を調整することが大切です。

保冷剤による皮膚損傷を防ぐための注意点

保冷剤を不適切に使うと、皮膚に損傷が起こることがあります。

スポーツの場面で保冷剤をふくらはぎに直接当てた結果、皮膚に表層の凍傷(やけどのような皮膚損傷)を負った事例が報告されています[Br J Sports Med. 1999;33(4):278-9.]。この事例は、保冷剤を直接肌に当てることのリスクを示唆しているといえます。

また、日本の消費者向け情報では、市販の保冷剤の中にはマイナス10℃以下を長時間保つ製品があり、直接肌に当てると凍傷のリスクがあることが注意喚起されています。鶏肉を用いた試験では30分で凍結部分が確認されたとの報告もあります[東京都消費生活総合センター. 保冷剤での凍傷に注意!. 東京くらしWEB. 2019年6月18日公開.]。予防策として、タオルで包んで直接肌に触れさせないこと、同じ場所に長時間当てないこと、製品の注意表示を確認することが推奨されています。

保冷剤・冷却シートの使い分けで知っておきたいこと

保冷剤と冷却シートは用途が異なるため、目的に合わせて使い分けることが大切です。

打撲やねんざなどで患部を冷やしたいときは、保冷剤や氷嚢をタオルで包んで10〜20分当てるのが一般的な使い方です。ただし、前述のとおり体格によって冷え方が大きく異なるため、痩せ型の人はより短い時間で切り上げるか、こまめに皮膚の状態を確認することが重要です。

一方、冷却シートは主にメントールの清涼感によって「冷たい」と感じさせるものであり、実際に深部まで冷やす効果は限定的と考えられています[Int J Sports Phys Ther. 2018;13(3):483-492.]。そのため、発熱時に額に貼る冷却シートは快適さの面では役立つ可能性がありますが、体温そのものを大きく下げる手段としては十分ではない点に留意が必要です。

保冷剤・冷却シートを使ううえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

保冷剤・冷却シートを使ううえでの3つのコツと理由をまとめた表です。1つ目は「保冷剤はタオルで包んで使う」で、直接肌に当てず薄手のタオルや布で包んでから当てることです。理由は市販の保冷剤にはマイナス10℃以下になるものがあり、直接当てると皮膚損傷につながる可能性があるためです。2つ目は「1回の冷却は10〜20分を目安にする」で、同じ場所に長時間当て続けず10〜20分で一度外して皮膚の状態を確認することです。理由は20分の冷却で皮膚温が大きく低下することが報告されており、長時間の冷却は皮膚損傷のリスクを高める可能性があるためです。3つ目は「痩せ型の人は冷却時間を短めにする」で、皮下脂肪が薄い人はより短い時間で深部まで冷えるため冷却時間を短めに設定することです。理由は皮下脂肪が薄い人は約8分で筋肉内部の温度が7℃低下したとの報告があり、冷やしすぎのリスクが高いと考えられているためです。

ここだけは伝えたいメッセージ

保冷剤も冷却シートも、それぞれの特性を理解して使えば日常のセルフケアに役立つ手段です。保冷剤はタオルで包む、10〜20分で一度外すといったちょっとした工夫で、安全に活用できます。

一方で、冷やした部分の皮膚が白くなっている、感覚がなくなっている、強い痛みが続くといった場合は、皮膚に損傷が起きている可能性があります。そのような症状が見られた場合は、医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:保冷剤・冷却シートを安全に使うためのポイント

  • 保冷剤と冷却シートの違い: 保冷剤は実際に皮膚や深部の温度を下げるのに対し、冷却シート(メントール含有タイプ)は清涼感はあるものの深部への冷却効果は限定的とされています
  • 保冷剤の使用時間: 10〜20分を目安とし、同じ場所に長時間当て続けないことが推奨されています
  • 直接肌に当てない: 市販の保冷剤にはマイナス10℃以下になるものがあり、タオルで包んでから使うことが推奨されています
  • 体格差への配慮: 皮下脂肪が薄い人は短時間で深部まで冷えやすいため、冷却時間を短めにすることが望ましいと考えられています
  • 皮膚の異変に注意: 冷やした部分の皮膚が白くなったり感覚がなくなったりした場合は、医療機関への相談をご検討ください

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(参考文献)

Chesterton LS, Foster NE, Ross L. Skin temperature response to cryotherapy. Arch Phys Med Rehabil. 2002;83(4):543-9.
Otte JW, Merrick MA, Ingersoll CD, Cordova ML. Subcutaneous adipose tissue thickness alters cooling time during cryotherapy. Arch Phys Med Rehabil. 2002;83(11):1501-5.
O'Toole G, Rayatt S. Frostbite at the gym: a case report of an ice pack burn. Br J Sports Med. 1999;33(4):278-9.
Hunter AM, Grigson C, Wade A. Influence of Topically Applied Menthol Cooling Gel on Soft Tissue Thermodynamics and Arterial and Cutaneous Blood Flow at Rest. Int J Sports Phys Ther. 2018;13(3):483-492.
東京都消費生活総合センター. 保冷剤での凍傷に注意!. 東京くらしWEB. 2019年6月18日公開.

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