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コスメを選ぶときに配合成分濃度や処方設計はどう見ればいいですか?
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コスメを選ぶときに配合成分濃度や処方設計はどう見ればいいですか?

髙岡 真梨子監修者

平塚市民病院 皮膚科

髙岡 真梨子

成分名だけでなく、配合濃度やpHなどの処方設計まで意識すると、自分の肌に合ったコスメを選びやすくなります。

食事や市販のケアで届かないと感じたときは、医師に相談して処方を受けるという選択肢もあります。

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有効成分が配合されているかどうかで、肌印象への効果に差が出る

化粧品の効果を調べた研究では、有効成分を「配合したもの」と「配合していないもの」を比べる方法がよく使われます。肌のくすみや小じわが気になる40〜60代の女性50人を対象にした研究があります。5%の濃度でナイアシンアミドを配合した保湿剤を12週間使ってもらいました。有効成分を含まない保湿剤を使ったグループと比較したところ、5%配合グループでは小じわ・シミ・肌のくすみ・赤みの改善が報告されています[Int J Cosmet Sci. 2004;26(5):231-238.]。同じ「保湿剤」という名前の商品でも、効果が確認された成分が配合されているかどうかで、肌印象への効果に差が出ると考えられます。また、この研究のように効果は特定の濃度[この場合は5%)で確認されているため、濃度の表示は商品を知る手がかりのひとつになります。

濃度は高いほどよいとは限らず、効果と肌への負担のバランスが変わる

では、同じ成分なら濃度が高いほど効果も大きいのでしょうか。レチノールの異なる濃度を直接比べた研究があります。37人の女性の顔の左右に、0.3%と0.5%のレチノール配合美容液をそれぞれ12週間使ってもらい、比較しました。しわやハリなどの肌の状態はどちらの濃度でも改善した一方、2つの濃度の間で統計学的に有意な(意味のある)差は見られませんでした。むしろ、赤みやかさつきなどの肌トラブルは、濃度の高い0.5%側でより多く報告されています[Skin Pharmacol Physiol. 2020;33(2):102-116.]。つまり、濃度が高いほど効果が大きいとは限らず、濃度によって変わるのはむしろ肌への負担とのバランスだと考えられます。

また、レチノールは光や酸素で壊れやすい成分のため、安定化の工夫をした処方が使われることがあります。0.1%という比較的低い濃度で安定化させたレチノールを1年間使い続けた試験では、紫外線による肌のダメージのサイン(しわなど)が、時間とともに徐々に改善したことが報告されています。肌の内部を調べた分析でも、ハリに関わる成分のもとになる物質が増えていたことが確認されました[J Drugs Dermatol. 2015;14(3):271-280.]。効果を感じるまでに必要な期間は、このように研究によって数週間から1年程度まで幅があります。

浸透性を左右するのは濃度だけでなくpHなどの処方設計

ビタミンC(L-アスコルビン酸)は、処方設計によって肌への浸透しやすさが大きく変わる成分として知られています。研究では、酸性度を示すpHが3.5より低く作られていないと、肌に浸透しにくいことが確認されました。浸透に適した濃度は、およそ20%程度であることも報告されています[Dermatol Surg. 2001;27(2):137-142.]。つまり、配合濃度の数字だけでなく、どのようなpHで作られているかという処方設計まで確認することが、成分の働きを見極める参考になります。

同じ配合濃度でも、pH調整によって効果と肌への負担のバランスが変わる

グリコール酸などのピーリング成分は、配合濃度が同じでも、pHの調整方法によって肌への作用の仕方が変わることが報告されています。グリコール酸をpH4に部分的に中和した処方を使った研究があります。濃度が高いほど、肌のハリに関わる成分の生成や肌表面の生まれ変わりが促されることが確認されました。一方で、肌荒れにつながる炎症性の物質の増加は見られなかったことも示されています[J Cosmet Dermatol. 2021;20(2):513-521.]。この結果から、配合濃度だけでなく、pHの調整によって効果と肌への負担のバランスが変わってくることがわかります。

保湿成分は角層への浸透性を高める処方技術次第で効果に差が出る

セラミドに似た働きを持つ疑似セラミドという保湿成分があります。これをスプレータイプで4週間使用した研究では、肌のバリア機能(乾燥や外部刺激から肌を守るはたらき)の改善が見られました。その改善の度合いは、疑似セラミドが肌の一番外側にある角層(かくそう)にどれだけ浸透したかと関連していたことが報告されています[J Cosmet Dermatol. 2025;24(1):e16655.]。この知見は、保湿成分は配合されているだけでなく、角層へ届きやすくする処方設計の工夫によって効果に差が出ることを裏付けるものと考えられます。

配合濃度・処方設計を踏まえたうえで、コスメ選びの工夫として検討が推奨される点

配合濃度・処方設計を踏まえたコスメ選びの3つのコツと理由をまとめた表です。 1つ目は「配合濃度の表示を確認する」で、パッケージや公式サイトに濃度の記載がある場合は、選び方の目安として確認することです。理由は、同じ成分名でも、配合濃度によって肌印象への効果の現れ方が異なる可能性があるためです。 2つ目は「高濃度ほど効果的とは考えない」で、濃度が高い商品を選べばよいとは限らないことを念頭に置くことです。理由は、研究で効果が確認されているのは特定の濃度・処方であり、濃度同士を比べた研究では、効果は同等でも肌への負担は高濃度側で増えたことが報告されているためです。 3つ目は「効果を感じるまでの期間に余裕を持つ」で、数週間から1年程度、無理のない範囲で使い続けてみることです。理由は、研究では改善の確認までに12週間から1年程度を要しており、短期間では判断しにくいためです。

ここだけは伝えたいメッセージ

配合成分の濃度や処方設計に目を向けることで、成分名だけでは見えてこない、コスメ選びの新しい視点が広がります。あせらず、自分の肌の様子を確かめながらじっくり試していくことをおすすめします。ただし、使用中に肌の赤みやかゆみなどの変化を感じた場合は、使用を中止し、皮膚科医に相談することをご検討ください。今回ご紹介した配合濃度や処方設計の考え方は化粧品ごとに異なる場合があるため、すべてのコスメに当てはまるわけではない点にもご留意ください。

まとめ:成分名だけでなく濃度と処方設計まで見て選ぶ

  • 配合濃度: 効果が確認された有効成分が配合されているかどうかで、肌印象への効果に差が出ることが報告されています。一方、異なる濃度同士を直接比べた研究では、濃度が高いほど効果が大きいとは限らず、肌への負担が増える場合があることも示されています。
  • 安定化技術: レチノールのように壊れやすい成分では、安定化させた処方を長期間使うことで効果が確認されています。効果を感じるまでの期間には、数週間から1年程度まで幅があります。
  • pHなどの処方設計: ビタミンCやグリコール酸のように、配合濃度だけでなくpHの設計によって浸透性や肌への負担のバランスが変わる成分もあります。
  • 浸透性を高める工夫: 保湿成分は、角層へ届きやすくする処方設計の工夫によって効果に差が出ることが示されています。
  • 選び方の視点: 特定の商品を比較して優劣を判断するのではなく、成分名・配合濃度・処方設計を総合的に確認する視点を持つことが、コスメ選びの参考になります。

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(参考文献)

Bissett DL, Miyamoto K, Sun P, Li J, Berge CA. Topical niacinamide reduces yellowing, wrinkling, red blotchiness, and hyperpigmented spots in aging facial skin.[Int J Cosmet Sci. 2004;26(5):231-238.]
Zasada M, Budzisz E, Erkiert-Polguj A. A Clinical Anti-Ageing Comparative Study of 0.3 and 0.5% Retinol Serums: A Clinically Controlled Trial.[Skin Pharmacol Physiol. 2020;33(2):102-116.]
Randhawa M, Rossetti D, Leyden JJ, Fantasia J, Zeichner J, et al. One-year topical stabilized retinol treatment improves photodamaged skin.[J Drugs Dermatol. 2015;14(3):271-280.]
Pinnell SR, Yang H, Omar M, Monteiro-Riviere N, DeBuys HV, Walker LC, Wang Y, Levine M. Topical L-ascorbic acid: percutaneous absorption studies.[Dermatol Surg. 2001;27(2):137-142.]
Narda M, Trullas C, Brown A, Piquero-Casals J, Granger C, Fabbrocini G. Glycolic acid adjusted to pH 4 stimulates collagen production.[J Cosmet Dermatol. 2021;20(2):513-521.]
Akahane T, Watanabe D, Shimizu E, Tanaka K, Kaizu K. Efficacy of Pseudo-Ceramide Absorption Into the Stratum Corneum.[J Cosmet Dermatol. 2025;24(1):e16655.]

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