

監修者富士在宅診療所 一般内科
経口補水液は水・砂糖・塩で自宅でも作れますが、塩分や糖分の濃度を正確に量ることが重要です。
経口補水液とは?水やスポーツドリンクとの違い
経口補水液とは、水分と塩分(ナトリウムなど)・糖分をバランスよく配合した飲み物で、脱水状態のときに体へ水分を効率よく届けるために使われます。消費者庁では「特別用途食品(病者用食品)」に分類されており、一般的なスポーツドリンクよりもナトリウムやカリウムの含有量が多い点が特徴です[消費者庁. 経口補水液について. 2024年更新.]。
水分の吸収が効率よく進む理由は、小腸にあるナトリウムとブドウ糖を一緒に取り込む仕組みにあります。ナトリウム濃度45~60mEq/L、ブドウ糖濃度80~110mMの範囲で水分吸収が最も促進されることが報告されています[Sci Rep. 2020;10(1):7803.]。この仕組みを利用するため、経口補水液には砂糖と塩の両方が欠かせません。
自宅で作る経口補水液のレシピと分量の目安
経口補水液は、一例として、水1リットルに対して砂糖大さじ2~3杯(約20~40g)と食塩小さじ半分弱(約3g)を溶かす方法で簡易的に自宅でも作ることができます。WHOが推奨しているのは浸透圧を低く抑えたもので、この処方は従来のものと比べて体への水分補給がスムーズに進み、嘔吐の頻度も少なかったと報告されています[Cochrane Database Syst Rev. 2001;(2):CD002847.]。自宅で自作する場合も、砂糖と塩の分量を正確に守ることが望ましいと考えられます。
ただし、自作の経口補水液は市販品のように成分が厳密に調整されていないため、あくまで市販の経口補水液がすぐに手に入らない場合の応急的な手段として位置づけることが大切です。
自作の経口補水液で注意すべき計量ミスのリスク
自宅で経口補水液を作る際に最も注意が必要なのは、塩の入れすぎです。各国で推奨されている自家製経口補水液の処方を調査した報告では、「ひとつまみ」のような曖昧な計量方法や、大さじと小さじの取り違えによって、ナトリウム濃度が9~116mmol/Lと大きくばらつくことが指摘されています[Ann Trop Paediatr. 1988;8(1):35-37.]。塩分が多すぎる経口補水液を飲むと、かえって体に負担がかかる可能性があります。
また、自家製の経口補水液を日常的に作っている場合でも、正確に計量する技術はおよそ6か月で低下する傾向があると報告されています[Int J Epidemiol. 1988;17(3):655-65.]。この結果は、作り慣れたつもりでも毎回レシピを確認し、計量スプーンで正確に量ることの大切さを裏付けています。
経口補水液を飲むタイミングと飲みすぎのリスク
経口補水液は脱水状態のときに飲むものであり、予防目的で日常的に大量に飲むことは推奨されていません。消費者庁は、脱水状態でない人が経口補水液を日常的・大量に摂取すると、塩分過多による血圧への影響や心臓への負荷が懸念されると注意喚起しています[消費者庁. 経口補水液について. 2024年更新.]。
特に高血圧や腎臓の病気で塩分を控えている方は、経口補水液の使用前にかかりつけの医師へ相談をご検討ください。
経口補水液を自作するうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、塩の計量を正確に行うことと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
経口補水液は水・砂糖・塩という身近な材料で自宅でも作ることができ、市販品が手元にないときの心強い選択肢になります。ただし、分量を守ることが効果と安全性の両方にかかわるため、計量スプーンを使って正確に量ることを習慣にしてみてください。
嘔吐や下痢がひどく水分を摂れない場合や、ぐったりして意識がもうろうとしている場合は、自作の経口補水液での対応には限界があります。そのような場合は、速やかに医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:経口補水液の自作で押さえたいポイント
- 経口補水液の役割: 水分と塩分・糖分をバランスよく含み、脱水時に体へ水分を効率よく届ける飲み物です
- 自作の基本レシピ: 水1リットルに砂糖大さじ2~3杯、食塩小さじ半分弱が目安です
- 計量の正確さが重要: 塩の入れすぎは体に負担をかける可能性があるため、計量スプーンで正確に量ります
- 毎回レシピを確認: 作り慣れていても計量の正確さは時間とともに低下する傾向があるため、分量表を毎回確認します
- 飲むタイミング: 脱水状態のときに飲むもので、日常的な大量摂取は塩分過多のリスクがあります
- 市販品が手に入るなら市販品を: 自作はあくまで応急的な手段で、成分が厳密に調整された市販品の方が安心です
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(参考文献)
Buccigrossi V, Lo Vecchio A, Bruzzese E, et al. Potency of Oral Rehydration Solution in Inducing Fluid Absorption is Related to Glucose Concentration. Sci Rep. 2020;10(1):7803.
Kim Y, Hahn S, Garner P. Reduced osmolarity oral rehydration solution for treating dehydration caused by acute diarrhoea in children. Cochrane Database Syst Rev. 2001;(2):CD002847.
Chowdhury AM, Vaughan JP, Abed FH. Use and safety of home-made oral rehydration solutions: an epidemiological evaluation from Bangladesh. Int J Epidemiol. 1988;17(3):655-65.
Lukmanji Z. Formulae of sugar-salt solutions recommended for treatment of diarrhoeal dehydration at home in African countries. Ann Trop Paediatr. 1988;8(1):35-37.
消費者庁. 経口補水液(けいこうほすいえき)について. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/oral_rehydration_solution (2024年更新)








