

監修者おだかクリニック 循環器内科 副院長
WBGTは湿度・輻射熱・気温の3要素から算出される熱中症予防の指標で、数値に応じた行動の目安が定められています。
WBGTとは?暑さ指数の意味と3つの温度要素
WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)は、日本語で「暑さ指数」や「湿球黒球温度」と呼ばれる指標です。1954年にアメリカで熱中症の予防を目的として開発されました[環境省熱中症予防情報サイト]。
WBGTは、人の体に影響を与える3つの温度要素から計算されます。具体的には、湿度を反映する「湿球温度」、日差しや地面からの照り返しを反映する「黒球温度」、そして通常の「気温(乾球温度)」です。屋外での計算式は「WBGT=湿球温度×0.7+黒球温度×0.2+乾球温度×0.1」とされています[環境省熱中症予防情報サイト]。湿度の比率がもっとも大きいことが特徴です。つまり、気温がそれほど高くなくても湿度が高ければWBGTは上がり、熱中症の危険が高まる可能性があります。
1982年には国際基準(ISO)にも採用されました。日本では2006年から環境省がWBGTの情報を公開しています。2021年には「熱中症警戒アラート」、2024年には「熱中症特別警戒情報」の運用が始まり、WBGTを活用した注意喚起の体制が整えられています[環境省熱中症予防情報サイト]。
暑さ指数の数値別行動目安|日常生活の4段階
日常生活でのWBGT数値別の行動目安は、4つの段階に分けられています[日本生気象学会. 日常生活における熱中症予防指針 Ver.4. 2022.]。
- 危険(WBGT 31以上):外出はなるべく避け、涼しい室内に移動することが推奨されています
- 厳重警戒(WBGT 28〜31):外出時は炎天下を避け、室内でも室温の上昇に注意が必要とされています
- 警戒(WBGT 25〜28):運動や体を使う作業をする場合は、定期的に十分な休憩をとることが推奨されています
- 注意(WBGT 25未満):一般的に危険性は少ないとされていますが、激しい運動や重い作業をする際には熱中症が起こる可能性があります
この指針は、WBGTの数値に応じて行動を調整することで熱中症を防ぐことを目的としています。環境省の熱中症予防情報サイトなどで当日のWBGT予測値を確認し、外出や作業の計画に役立てることが推奨されています。
暑さ指数の運動時の行動目安|スポーツ活動の5段階
スポーツや運動をする場合の行動目安は、日常生活より細かく5段階に分けられています[公益財団法人日本スポーツ協会. スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック. 2019.]。
- 運動は原則中止(WBGT 31以上):特別な場合を除いて運動を中止する。特に子どもの場合は中止が求められています
- 厳重警戒(WBGT 28〜31):熱中症の危険性が高いため、体温が上がりやすい激しい運動や持久走は避け、10〜20分おきに休憩をとって水分と塩分を補給することが推奨されています
- 警戒(WBGT 25〜28):熱中症の危険が増すため、積極的に休憩をとり、こまめに水分と塩分を補給することが推奨されています
- 注意(WBGT 21〜25):熱中症による死亡事故が起こる可能性があるため、熱中症の兆候に注意しながら運動の合間に水分と塩分を補給することが推奨されています
- ほぼ安全(WBGT 21未満):通常は熱中症の危険は小さいとされていますが、こまめな水分と塩分の補給は必要です
日常生活の指針と比べると、運動時は全体的により低いWBGT値から注意が求められている点が特徴です。WBGT 21未満でも「ほぼ安全」という表現が使われており、完全に安全とはされていません。
WBGTが高いほど熱中症のリスクが上がることを示す調査結果
日本全国の救急搬送データを分析した調査では、その日の最高WBGTが高いほど熱中症で搬送される人の数が増加することが報告されています[Environ Res. 2023;216(Pt 3):114666.]。この結果は、WBGTの数値が熱中症リスクの目安として有用であることを裏付けるものといえます。
また同じ調査では、普段から気温が高い地域では同じWBGT値でも熱中症の相対的なリスクが低い傾向が見られました[Environ Res. 2023;216(Pt 3):114666.]。これは暑熱順化(しょねつじゅんか=体を暑さに慣らすこと)の効果を示唆するものと考えられています。暑さに少しずつ体を慣らしておくことが、熱中症予防に役立つ可能性を示す知見です。
暑さに慣れていない時期はWBGTの基準を厳しめに
日本の中学・高校のスポーツ部活動における熱中症の発生状況を調べた調査があります。この調査では、春から初夏にかけての暑熱順化が十分でない時期や、涼しい地域で急に気温が上がった場合に熱中症のリスクが高まることが報告されています。こうした条件のもとでは、現行のWBGT安全基準を1段階(約3度)引き下げて運用することが提案されています[Int J Biometeorol. 2025;69(2):343-355.]。
この知見は、同じWBGT値でも体が暑さに慣れているかどうかによってリスクが異なることを示しています。特に梅雨明け直後や涼しい日が続いたあとに急に暑くなった日は、WBGTの数値以上に注意が必要と考えられます。
WBGTを活用するうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、WBGTの数値だけでなく自分の体が暑さに慣れているかどうかも考慮に入れることと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
WBGTは気温だけではわからない暑さの危険度を数値で示してくれる指標です。日頃からWBGTをチェックする習慣をつけることで、暑い日の行動計画を立てやすくなります。
一方で、WBGTの数値が低めでも暑さに慣れていない時期や、激しい運動をしている場合には熱中症が起こる可能性があります。体調に異変を感じた場合は涼しい場所で休み、症状が改善しない場合は医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:WBGTの数値を活用した暑さ対策
- WBGTとは: 湿度・輻射熱・気温の3要素から算出される暑さの指標で、気温だけではわからない熱中症の危険度を示す
- 日常生活の目安: WBGT 31以上は「危険」で外出を控え、28〜31は「厳重警戒」、25〜28は「警戒」、25未満は「注意」の4段階で行動を調整する
- 運動時の目安: WBGT 31以上は「原則中止」、28〜31は「厳重警戒」、25〜28は「警戒」、21〜25は「注意」、21未満は「ほぼ安全」の5段階が定められている
- 暑熱順化の影響: WBGTが高いほど熱中症リスクは上がるが、暑さに慣れた地域では同じ数値でもリスクが低い傾向がある
- 時期による注意: 梅雨明けや急な気温上昇の時期は暑さに慣れていないため、通常より慎重な行動が推奨される
あなたは大丈夫?まずは肥満症かセルフチェック
STEP1
1 / 6・約30秒
20歳のころと比べて、体重は10kg以上増えましたか?
このチェックでわかること
- あなたのBMI(自動計算)
- 「肥満症」にあてはまる可能性の目安

編集・監修基準について
本記事は情報の正確性を担保するため、以下のフローを経て作成・公開されています。
コンテンツ制作・運営ポリシーについて
ユビーウェルネスをGoogleの優先ソースに登録
Googleの「優先ソース」に登録すると、Google検索やAIによる回答(AI Overviews / AI モード)で、ユビーウェルネスの記事が優先的に表示されるようになります。

(参考文献)
環境省熱中症予防情報サイト. 暑さ指数(WBGT)とは? https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php
環境省. 熱中症環境保健マニュアル Ⅰ-6 暑さ指数(WBGT):熱中症予防のための指標. https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_1-6.pdf
環境省. 熱中症環境保健マニュアル Ⅲ-3 表3-1 熱中症予防運動指針(出典:日本スポーツ協会). https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_3-3.pdf
日本生気象学会. 日常生活における熱中症予防指針 Ver.4. 2022. https://seikishou.jp/cms/wp-content/uploads/20220523-v4.pdf
公益財団法人日本スポーツ協会. スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック 第6版. 2025. https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid1437.html
環境省. 環境省熱中症予防情報サイトにおける暑さ指数等の情報提供について(報道発表資料). 2021年4月23日. https://www.env.go.jp/press/109512.html
環境省. 「熱中症警戒アラート」の全国での運用開始について(報道発表資料). 2021年4月23日. https://www.env.go.jp/press/109467.html
環境省. 「熱中症特別警戒アラート」等の運用を開始します(報道発表資料). 2024年4月16日. https://www.env.go.jp/press/press_03083.html
Oka K, Honda Y, Phung VLH, Hijioka Y. Potential effect of heat adaptation on association between number of heatstroke patients transported by ambulance and wet bulb globe temperature in Japan. Environ Res. 2023;216(Pt 3):114666.
Oyama T, Honda Y, Fujii M, Nakajima K, Hijioka Y. Proposing adjustments to heat safety thresholds for junior high and high school sports clubs in Japan. Int J Biometeorol. 2025;69(2):343-355.








