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クラミジア感染症の場合、男性ではどのような症状が見られますか?
東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科
秋元 隆宏 監修
男性では、排尿時の痛みや尿道の痒みなどの尿道炎が多く見られます。自覚症状がない場合もあります。
60~80%以上の方が無症状と言われますが、排尿時に痛みを伴うような尿道炎になることもあります。症状は軽度で無症状の方もいます。尿道炎が放置され、前立腺炎や精巣上体炎でも見つかることがあります。稀ですが直腸炎や咽頭炎での報告もあります。
尿道炎
性行為などの感染しうる行為をしてから1~3週間後に、排尿時に尿の出口付近が痛むことや透明でサラサラとした分泌液が尿の出口から少し出ることがあります。
前立腺炎
熱が生じ、ペニスの付け根や下腹部に違和感が生じることや、排尿時に痛むことがあります。
精巣上体炎
熱が生じ、片方の陰嚢が腫れて痛むことがあります。
直腸炎
無症状のことが極めて多いですが、便の出口付近に炎症を起こすため、便の異常や排便時の痛み、異常な便意などを起こす可能性があります。
咽頭炎
無症状のことが極めて多いですが、喉に炎症を起こすため、喉の痛みや腫れ、喉の違和感などを起こす可能性があります。
下腹部痛と過去の高熱、クラミジアの可能性はありますか?
下腹部に重たい感じやチクチクした痛みが3日前からあります。おりものは普通です。5月に2回高熱が出て、首のリンパが腫れました。インフルやコロナは陰性でした。クラミジアの可能性はありますか?
20代 / 女性
ご相談いただきありがとうございます。 下腹部の痛みや重たい感じが続いているとのこと、心配ですね。
下腹部の痛みの原因について
まず、下腹部痛の原因として考えられるものにはいくつかあります。例えば、消化器系の問題、泌尿器系の問題、婦人科系の問題などが挙げられます。特に女性の場合、卵巣や子宮に関連する問題が原因となることがあります。 クラミジア感染症についても考慮する必要があります。
クラミジアについて
クラミジアは性行為を通じて感染することが多く、症状としては下腹部痛や異常なおりもの、排尿時の痛みなどが現れることがあります。また、上腹部痛が見られる場合肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)と呼ばれる状態の可能性があります。その場合、不妊症や異所性妊娠の原因となる可能性があるため受診が必要です。ただし、クラミジア感染症は無症状であることも多いので、症状だけで判断するのは難しいです。
5月に高熱が2度も出たことや、首のリンパの腫れがあったことも気になります。これらの症状が関連している可能性もありますので、医療機関で詳しく相談することをお勧めします。炎症数値が高かったことも、体内で何らかの感染や炎症が起きていたことを示しています。
以下の点について医療機関で確認すると良いでしょう。
- 下腹部痛の原因として考えられる他の可能性(消化器系、泌尿器系、婦人科系の問題)
- クラミジア感染症の検査の必要性
- 5月の高熱とリンパの腫れが現在の症状と関連しているかどうか
重篤な疾患を示唆する兆候としては、持続的な高熱、激しい腹痛、異常なおりもの、排尿時の痛み、体重減少などがあります。これらの症状が現れた場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。これらの症状は、感染症や炎症、さらには腫瘍などの重篤な疾患の可能性を示すことがあるためです。
まとめ
クラミジア感染症の可能性については、医療機関で相談し、必要な検査を受けることをお勧めします。また、5月の高熱とリンパの腫れが現在の症状と関連しているかどうかも確認してください。 お近くの婦人科は、こちらから検索できますのでご活用ください。
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(参考文献)
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