耳垂裂の原因は何がありますか?
耳垂裂の原因は、生まれつき(先天性)と、外傷やピアスによる裂傷(後天性)の2つに大別されます。
【耳垂裂の原因の分類】
耳垂裂(じすいれつ)は、耳たぶ(耳垂)が裂けたり、形が崩れたりする変形のことで、顔全体の見た目において重要な部分です。この変形は聴力には通常問題ありませんが、患者さんの心理的な健康に影響を与えるため、矯正が必要だとされています。原因は主に「先天性」と「後天性」に分けられます。
【1. 先天性の原因】
これは生まれつきの変形(先天性耳介変形)です。
- 発生の仕組み:お母さんのお腹の中で耳たぶが形成される過程で、もとになる組織(丘疹)の結合(融合)がうまくいかなかったこと(融合不全)が、原因として知られています。
- 種類:
- 耳たぶが完全にない「欠損」。
- 一部が不完全に裂けている「低形成耳垂裂」などがあります。
- 先天性のケースは、一般的に保険診療の対象として扱われます。
【2. 後天性の原因】
成長してから、事故や日常的な習慣によって力が加わり生じます。
- ピアスによる裂傷:ピアスを開けた耳たぶにイヤリングが引っ張られる力(牽引)が加わることで、完全または不完全な裂け目ができます。ピアス穴の修復は、多くの場合「美容的修正」と見なされ、原則として保険適用外(自費診療)となります。
- 外傷:交通事故、動物や人による噛みつき、転倒、スポーツ外傷など、強い外力により耳たぶの一部が欠けたり、引きちぎられたりすることがあります。
- その他の変形:傷跡が治る過程で皮膚が縮むこと(瘢痕拘縮)による大きな変形や、ケロイド(特に耳たぶに発生しやすい)も後天性の変形として挙げられます。
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(参考文献)
Takatoshi Yotsuyanagi et al. Reconstruction of congenital and acquired earlobe deformity. Clin Plast Surg. 2002, 29, 249-55.
Siyuan Cai et al. Repair of Congenitally Defective Type of Earlobe Clefts With Residual Lobular Tissue: A Convenient and Effective Surgical Technique. Aesthet Surg J. 2023, 43, NP729-NP736.
一般社団法人 日本形成外科学会.耳垂裂|日本形成外科学会.一般社団法人 日本形成外科学会,https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/mimi/jisuiretsu.html(参照 2025-12-26)
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日本医科大学付属病院形成外科 形成外科
初岡 佑一 監修
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