「耳垂裂」とはどのような病気ですか？

【耳垂裂（じすいれつ）とは】

耳垂裂とは、耳たぶ（耳垂）の一部が裂けてしまったり、形が大きく崩れたりしている状態を指します。耳たぶの見た目や左右対称性は、顔全体の見た目（美容的な調和）を保つうえで重要な要素だと考えられています。

【原因による分類】

耳垂裂は、主に「先天性（生まれつき）」のものと、「後天性（成長後に起こる）」のものに分類されます。
1. 先天性耳垂裂

• これは生まれつきの耳たぶの形成不全（形が不完全な状態）です。
• 胎児の発生過程で、耳を形成する突起（丘疹）の融合がうまくいかなかったことが原因だと考えられています。
• 耳たぶが完全にない「欠損」や、一部が不完全な形で裂けている「低形成耳垂裂」などがあります。

2. 後天性耳垂裂

• 外傷：交通事故や動物による咬傷など、事故で耳たぶの一部が欠けたり、引きちぎられたりすることによって生じます。
• ピアスによる裂け：ピアスをつけた部分に強い力がかかり、耳たぶが裂けてしまうことがあります。
• 傷が治る過程で皮膚が縮むこと（瘢痕拘縮）によって、耳たぶが小さくなる大きな変形につながることもあります。

【治療と保険適用について】

耳垂裂の治療には、手術による修復（再建）が行われます。

• 基本的には、裂けた部分の傷跡や皮膚を取り除き、耳たぶの形が自然になるように縫い合わせます。
• 裂けた線が目立たないようにするために、Z字型やW字型に切開・縫合する「Z形成術」や「W形成術」という手法が用いられることもあります。
• 先天性の耳垂裂は、一般的に保険診療の対象となります。
• 後天性の場合、交通事故などの明らかな外傷によるものは保険適用になりやすいですが、ピアスによる裂け目の修復や穴を閉じたいという希望は「美容目的の修正」と見なされ、原則として保険適用外（自費診療）となる傾向があります。ただし、新鮮な裂傷やすでに疾病性・病的状態が認められる場合は、医師の判断で保険適用となる可能性もあります。