ガストリノーマ

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ガストリノーマは指定難病ですか?

医療法人財団コンフォート コンフォート豊平クリニック 内科 消化器科

石川 翔理 監修

指定難病ではありません。

解説

指定難病とは法律的に国に定められている難病のことです。ガストリノーマは指定難病の対象にはなっていません。
なお、指定難病とは国による医療費助成の対象とする病気を指します。難病や指定難病は次のように定義されています。

難病の要件

  • 発病の機構が明らかではない
  • 治療方法が確立していない
  • まれな病気である
  • 長期の療養が必要

指定難病の要件

上記の4つに、次の2つが加わります。

  • 患者数が人口の約0.1%未満
  • 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立している
おすすめのQ&A

萎縮性胃炎と十二指腸潰瘍の再発、ピロリ菌の除菌後の治療について教えてください。

数年前、胃潰瘍と十二指腸潰瘍を同時に発症しました。胃カメラと組織生検の結果、ピロリ菌の陰性でした。その後、胃薬を服用し、一時的に回復しましたが、昨年から再び胃痛に悩まされるようになりました。 再度、胃カメラ検査を受けたところ、萎縮性胃炎と診断されました。また、尿素呼気法による検査をピロリ菌検査受けた結果、陽性反応でした。 その後、ピロリ菌の除菌治療を受け、一応成功したとされています。しかし、最近受けた胃カメラ検査では、萎縮性胃炎と十二指腸潰瘍の再発が確認されました。一年間胃薬を服用しても改善が見られず、不安を感じて処方を拒否したところ、医師からは「治らないので薬は続けるように」と言われ、別の薬を処方されました。 しかし、納得がいかず、ガストリノーマを疑っています。また、ピロリ菌の除菌が本当に成功したのかどうかについても不安があります。

質問者のイラスト

60代 / 女性

ご相談ありがとうございます。

まず、ピロリ菌除菌について説明します。

ピロリ菌除菌について

ピロリ菌は基本的に幼少期に口から入った食べ物や水から感染します。胃・十二指腸潰瘍になりやすい、長年感染していると胃がんのリスクが上がる、ということがわかっています。

ピロリ菌が陽性か調べるためには、いくつかの方法がありますが、現時点感染しているか(あるいは除菌成功したか)を知るためには、尿素呼気検査あるいは便中ピロリ菌抗原検査が有用です。ただし、尿素呼気検査は検査時の注意が必要で、タケキャブなどの胃酸を抑える薬を飲んでいるとうまく検査が反応しないため、少なくとも検査2週間前から休薬が必要です。

初めに胃の生検組織で陰性と診断されたのは、採った組織にピロリ菌がたまたま居なかったことが推察されます。

ちなみに、血液検査でわかるピロリ菌抗体の検査は、一度ピロリ菌にかかったことがある方は除菌後もしばらく陽性になりますので、除菌確認には適していません。

確かに、除菌が不成功の場合は、潰瘍が再発することが考えられます。

萎縮性胃炎について

萎縮性胃炎は、ピロリ菌感染で起こる胃の粘膜の変化であり、一度萎縮した粘膜は元に戻ることはありません。つまり除菌後も胃炎は残ってしまいます。ピロリ菌の感染期間が長ければ長いほど萎縮する粘膜の範囲が広がり、胃がんのリスクとなるため、早めの除菌が推奨されています。

ガストリノーマについて

次にガストリノーマについてです。ガストリンというホルモンを過剰に分泌する腫瘍で、ガストリンが胃酸の分泌を増加させるため、再発性の潰瘍を引き起こすことがあります。十二指腸潰瘍の1%にみられると言われている稀な病気です。診断には、血中ガストリン値の測定と、画像検査での腫瘍の有無の確認が必要です。ガストリンの値はタケキャブなど胃酸を抑える薬を飲んでいると、薬の影響で高く出ることがあるので、正確に測定するためにはこちらも休薬が必要です。画像検査は、CT・MRIのほかに、超音波内視鏡という特殊な胃カメラを使って検査することがあります。場合によって超音波内視鏡下で生検(組織を採取)して顕微鏡で確認し、診断をつけることもあります。

なかなか治らない胃潰瘍・十二指腸潰瘍について

難治性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍ということですが、除菌成功にも関わらず、繰り返してしまう方がいらっしゃるのは事実です。1%未満と稀ですが、報告例はあります。また、ガストリノーマ以外の原因としても、薬剤性(とくに痛み止めによるもの)、喫煙、アルコール摂取、ストレス、他の腫瘍なども関与している可能性はあります。

次にすべきことについて

まず、次にすべきこととしては、主治医に除菌が成功しているかは確認する必要があると思われます。上記に挙げたように、その時の薬の内服の有無などによって判定が正しいかどうかもかわります。また、成人してからの再感染がまれに起こるので、現時点で感染がないか再度検査するのも手段です。

十二指腸潰瘍の再発リスクは現時点でもあるため、できれば胃酸を抑える薬を飲んでいることをお勧めします。今の胃薬に抵抗があるようであれば、主治医が処方してくれているほかの薬があります。潰瘍が重症化して、腸に穴があいてしまい、腹膜炎という重症な状態になってしまう危険性もあるので、飲んでいた方が少しはリスクが下がります。

ガストリノーマがないかどうかも含め、他の病院で調べたい場合は、まずは紹介状をもらう必要がありますので、主治医へ依頼しましょう。現在通われているところがクリニックの規模の医療機関であれば、胃カメラ以外の検査(CTや超音波内視鏡など)をやってみたい、と申し出るとスムーズです。

詳しく調べるためには、消化器内科を掲げている総合病院であれば基本的には問題ないですが、できれば超音波内視鏡検査を行なっているところを選ぶと確実です。多数ありますので具体的な病院名は挙げられませんが、大学附属病院の規模であれば基本的には検査可能です。

まとめ

現在ピロリ菌感染がないかを再度確認する必要があります。

ガストリノーマも含め、他の原因がないかどうか、詳しい検査を検討してください。主治医にその旨を伝え、検査を追加してもらう、あるいは紹介状を作成してもらってください。

薬はなるべく飲むことを推奨しますが、どの種類を選ぶかも主治医とよく相談することが望ましいです。

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(参考文献)

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