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脊柱管狭窄症で手術を行うのはどのような場合ですか?
山田記念病院 整形外科 整形外科部長
濱畑 智弘 監修
保存療法で効果が得られず、日常生活にも大きな支障が出ているような場合には手術を行います。また、重度の神経障害では早急な手術が必要になる場合があります。
日常生活に注意を払い、薬の服用や運動療法、装具の使用などを行っても、腰や足の痛み・しびれが改善されず、数ヶ月にわたって日常生活に支障が続く場合、手術が検討されます。
ただし、この病気が原因で明らかに足の力が落ちてしまったり、尿や便が出しにくいなどの重度の神経障害が見られる場合は、早急な手術が必要な場合もあります。
手術はすべての症状を確実に改善するわけではなく、手術の方法によって体にかかる負担も異なります。そのため、年齢や体力、これまでの病歴などを考慮しながら、担当の医師と相談し、手術を受けるかどうかを決めましょう。
右足のしびれが、立ち上がると悪化して座ると和らぎます。この場合は何科を受診すべきでしょうか?
右足がしびれます。椅子に座っている時は特に問題はありません。立ち上がってしばらくすると、右足がしびれてきます。歩いていると、しびれが徐々にひどくなります。腰を下ろすと、しびれは和らぎます。どの診療科を受診すればよいか、ご教示いただけますでしょうか。
80代 / 男性
右足のしびれについてご相談いただきありがとうございます。お話を伺う限り、いくつかの原因が考えられますので、以下に説明いたします。
考えられる病気と診療科について
まず、疑わしいのは腰部脊柱管狭窄症です。これは、腰のあたりの脊髄が通っている脊柱管が狭くなることで、脊髄神経が圧迫され、しびれや痛みが生じる状態です。特に、椅子に座っている時は症状が出ず、立ち上がって歩くとしびれがひどくなるというのは、腰部脊柱管狭窄症に典型的な症状です。脊柱管が狭くなる原因に、腰椎椎間板ヘルニアや変形性腰椎症、後縦靭帯骨化症など、さまざまな病気があります。
この場合は、整形外科が専門になります。
似たような症状を呈する疾患に、「閉塞性動脈硬化症」もあります。この病気は、腹部大動脈から脚の方へ枝分かれする動脈が、動脈硬化により細く狭くなり、足へ流れる血流が悪くなることで、痛みを生じる病気です。喫煙されている方や、高血圧や糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症)にかかっている方は、この病気を発症するリスクが高まります。歩行中に足が痛くなるがしばらく 休むとまた歩けるようになるという症状は、「閉塞性動脈硬化症」でも特徴的な症状です。進行すると、足の血流がさらに悪化して、皮膚の血色が悪くなったり、冷たくなったり、じっとしていても痛みが出るようになります。最重症化した場合は、細菌感染を起こしたり、足が壊死したりして、切断手術を要することもあります。
この場合は、循環器内科や血管外科が専門になります。
受診の目安について
これらの症状が続く場合や、しびれがひどくなって日常生活に支障をきたす場合は、早めに受診することをお勧めします。特に、以下のような場合はすぐに受診してください。
- しびれが急にひどくなった
- 足の力が入らなくなった
- じっとしていても痛くなってきた
- 足先が冷たい、血色が悪い
これらの症状は、神経が強く圧迫されている可能性や、血流が急に悪化している可能性があり、早急な治療が必要です。
まとめ
歩行時に生じるが休むと改善する右足のしびれは、一般的に、腰部脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症などが考えられます。特に、歩くとしびれがひどくなり、休むと和らぐという症状はこれらの疾患の特徴です。ご相談いただいた内容だけでは、どちらの疾患の可能性が高いかは判断が難しいです。しかし、「閉塞性動脈硬化症」の方が、より重篤な病状の可能性があるため、まず循環器内科または血管外科(いずれもお近くになければ、一般内科でも構いません)を受診することをお勧めします。そちらで異常がなければ、次に整形外科を受診してみてください。お近くの循環器内科、血管外科、整形外科は、こちらから検索できますのでご活用ください。
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