認知症の初期症状・予防・MCIなど徹底解説

認知症は、記憶や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態です。軽度認知障害(MCI)は認知症の前段階で、早期対応により進行を遅らせることが可能です。物忘れが気になったら、受診の目安や対処法を確認することが大切です。ここでは認知症の初期症状や予防、MCIとの違いなどを丁寧にまとめています。
3分でわかる!認知症(初期症状や予防、MCIとの違いなど)まとめ
🧠 認知症の主な種類とそれぞれの初期症状
認知症にはさまざまな種類がありますが、よく知られているのは次の4つのタイプです。それぞれ初期に現れやすい症状が異なります。認知症は種類によって症状の出方が異なるため、「物忘れ」以外の変化にも気づくことが大切です。
アルツハイマー型認知症
初期には、新しい出来事を覚えられないなどの記憶障害が目立ちます。
血管性認知症
脳梗塞を繰り返すことで進行します。記憶障害より先に、麻痺や感覚障害など、脳梗塞による症状が現れることがあります。
レビー小体型認知症
初期には記憶障害は目立ちにくく、睡眠中の異常な行動、幻覚、気分の落ち込みなどが見られることがあります。
前頭側頭型認知症
脳の前頭葉が萎縮することで、行動の変化、社会性の低下、性格の変化が早くから現れます。
🔍 MCI(軽度認知障害)と認知症との違い
MCIは 「軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment)」 の略で、MCIは認知症の前段階にあたる状態で、物忘れや判断力の低下はあるものの、日常生活には大きな支障がありません。病気と診断される段階ではなく、「正常」と「認知症」のあいだのグレーゾーンです。
一方、認知症は記憶や判断力の低下により、生活に支障が出る状態を指します。
MCI(軽度認知障害)の進行と回復の可能性
- MCIの人の 約5〜15%が1年で認知症に進行すると報告されています
- 一方で、早期に対応すると健常な状態に戻る人もおり(約16〜41%)、早めの気づきが大切です
MCI(軽度認知障害)の主な症状
日常生活は保たれているものの、次のような変化がみられます。
- 物忘れが増える、新しいことを覚えにくい
- 注意力や段取り力が落ちる
- 言葉が出てこない
- 計算や判断がしづらい
- 慣れた場所で道に迷う
- 感情のコントロールが難しくなる
これらは少しずつ進行するのが特徴です。
MCI(軽度認知障害)の受診の目安
「以前より物忘れが増えた」「自分でも心配になってきた」と感じたら、もの忘れ外来、脳神経内科、老年内科などの受診がおすすめです。MCIは、早期発見・早期対応で進行を防げる可能性がある状態です。気になる変化があれば、早めに専門医へ相談しましょう。
👱 認知症(アルツハイマー型)になりやすい人の特徴
認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症には、いくつかのリスク要因があります。アルツハイマー型認知症は、家族歴や生活習慣、既往歴、薬の影響などが関係しており、リスク因子がある場合は、生活習慣の改善や早めの医療相談が大切です。
家族歴がある場合
- 親・兄弟姉妹などの第一近親者に患者さんがいると、アルツハイマー型認知症になるリスクが約10〜30%高くなるとされています。
- 家族に複数の患者さんがいる場合は、リスクが約3倍になると言われています。
そのほかの主なリスク因子
- 高血圧・脂質異常症・2型糖尿病などの生活習慣病
- 強い頭部外傷(30分以上の意識障害を伴うもの)
- 特定の薬の長期使用(ベンゾジアゼピン系の睡眠薬など)
🌱 認知症を予防するためにできること
食事の工夫
WHOのガイドラインでは、栄養バランスの良い食事が認知症予防に重要とされています。
- 野菜・果物(1日400g以上)
- 玄米や雑穀などの全粒穀類
- 豆類・ナッツ類
一方で、以下のことも大切です。
- 甘いもの(単純糖質)は控えめ
- 脂肪は摂りすぎない
- 塩分は1日5g未満を目標
ゲームは効果がある?
囲碁、トランプ、パズル、クロスワードなど、頭を使うゲームは認知症予防に効果があると報告されています。研究では、こうしたゲームを行うことでアルツハイマー型認知症のリスクが約3割低下したという結果もあります。目安は1日1時間程度、週に合計6時間以上。
国のガイドラインでも、予防プログラムにゲームを取り入れることが推奨されています。
運動・トレーニングの効果
体を動かすことも認知症予防に有効です。
- ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動
- スクワットや腹筋などの筋力トレーニング
これらは脳の血流を良くし、認知機能の低下を防ぐと考えられています。さらに、体と頭を同時に使う「コグニサイズ」も効果的です。週に3回程度、継続して行うのが理想とされています。
💊 認知症の薬について
認知症は薬で治るのか
現在の医療では、認知症を完全に治したり、発症を防いだりする薬はありません。ただし、処方される薬には次のような役割があります。
- 認知症の進行をゆっくりにする
- 不安・興奮・記憶障害など、今出ている症状を和らげる
つまり、薬は「治す」ものではなく、症状や進行をコントロールするために使われます。認知症の薬は、「認知症にならない」ための薬ではなく、「発症や進行を遅らせ、症状を軽くする」ための薬です。早めに医師と相談し、適切な治療を続けることが大切です。
認知症の予防薬はある?
認知症そのものを防ぐ薬はありませんが、進行を遅らせる薬はあります。日本では、以下の抗認知症薬が承認されています。
- ドネペジル(アリセプト®)
- ガランタミン(レミニール®)
- リバスチグミン(イクセロン®/リバスタッチ®)
- メマンチン(メマリー®)
- レカネマブ(レケンビ®)
これらの薬は、脳の神経細胞の働きを助けることで、記憶障害などの中核症状の進行を抑える目的で使われます。
📖 認知症高齢者の日常生活自立度や支援について
認知症のある高齢者が、どの程度自立して生活できているかを示す指標です。厚生労働省が定めており、介護認定の審査やリハビリ計画などに使われます。
自立度のランク一覧(簡単に)
- ランクⅠ
認知症はあるが、日常生活はほぼ自立している。 - ランクⅡ
生活に支障が出ることはあるが、見守りがあれば自立可能。- Ⅱa:外出先など家庭外で症状が出る
- Ⅱb:家庭内でも症状が出る
- ランクⅢ
生活に支障が出ることがあり、介護が必要になることがある。- Ⅲa:主に日中に症状が出る
- Ⅲb:主に夜間に症状が出る
- ランクⅣ
支障が頻繁にあり、常に介護が必要。 - ランクM
強い精神症状や問題行動、重い身体の病気があり、専門的な医療が必要な状態。
この自立度は、「どのくらい介護や医療が必要か」を判断する目安です。数字が大きくなるほど、支援や介護の必要性が高くなります。
介護が必要になったら
介護が必要になった場合、日本には介護保険制度があります。
- 介護が必要になった場合、日本には介護保険制度があります。
- 申請は市区町村で行う
- 原則 40歳以上が対象
- 費用の 1〜3割負担でサービスが使える
申請後、要支援1・2/要介護1〜5 の認定が行われます。
また、介護が必要かもと思った段階の場合は、まずは身近な相談先に頼ることから始めても良いでしょう。
- 地域包括支援センター(本人・家族どちらからでも相談可)
- 市区町村の介護保険窓口
- かかりつけ医・もの忘れ外来
- 介護保険申請
- 認定後の場合はケアマネと一緒に支援内容の検討
- 在宅で利用できる訪問介護(ヘルパー)など
- 特別養護老人ホームといった施設サービスなど
- 介護休業・介護休暇制度といった家族向けの支援など
認知症だった場合、現在の医療では進行を止めることはできません。認知症も他の病気と同じく、早期発見、早期対応が大切となります。認知機能がある程度保たれている早い段階から、生活環境の調整や記憶支援システムを使う練習など、今後の生活に必要な準備をすることが重要です。
放置せずに受診を続けて、医師と一緒に今後のことを相談しましょう。
これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。AI によるまとめには間違いが含まれている場合があります。情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。
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