
認知症は薬で治りますか?
認知症の多くは薬で完治しませんが、進行を遅らせる薬は存在します。
認知症は年々進行する病気で、多くの場合、薬によって完全に治すことはできません。現在使われている薬は、症状の進行を遅らせたり、日常生活での支障を和らげたりすることを目的としています。
認知症の薬物療法の目的
認知症の治療薬は、病気を「治す」ためではなく、症状の進行をゆっくりにする、あるいはすでに起きている症状を和らげることを目的として使われています(日本神経学会 認知症疾患診療ガイドライン2017)。根本的に脳の変化を元に戻す薬ではないため、服薬を続けていても症状がゆるやかに進むことがあります。
認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害薬・NMDA受容体拮抗薬)の作用
アルツハイマー型認知症などでよく使われるのが、コリンエステラーゼ阻害薬(脳内の神経伝達物質を増やす薬)やNMDA受容体拮抗薬(神経細胞の過剰な興奮を抑える薬)です。これらは認知機能の低下速度をゆるやかにしたり、日常生活での混乱や不安といった症状を軽くしたりする対症療法として使われており、病気の原因そのものを取り除くものではありません(日本神経学会 認知症疾患診療ガイドライン2017)。
認知症の新しい治療薬(レカネマブ等)とその限界
近年承認されたレカネマブは、アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質(アミロイドベータ)に直接働きかけ、病気の進行自体を抑える薬として位置づけられています(厚生労働省)。ただし対象は軽度認知障害や軽度の認知症患者さんに限られ、効果も症状の進行をおよそ7.5ヶ月遅らせ、悪化を27〜37%抑制する程度にとどまるとされています(国立長寿医療研究センター)。副作用のリスクもあり、完治をもたらす薬ではありません。
認知症が薬で治らない場合の対応
薬だけで完治を目指すことは難しいため、リハビリや生活環境の工夫など、薬以外の関わり方を組み合わせることが大切です。ご本人やご家族だけで抱え込まず、症状の変化が気になるときは、医療機関への受診をご検討ください。
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(参考文献)
日本神経学会(監修). 認知症疾患診療ガイドライン2017. 医学書院, 2017.
厚生労働省『アルツハイマー病の新しい治療薬について』 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089508_00005.html.(参照 2026-09-18).
国立長寿医療研究センター『アルツハイマー病の新しい治療薬(前編)レカネマブについて』 https://www.ncgg.go.jp/ri/labo/14.html.(参照 2026-09-18).
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編集・監修基準について
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文京小石川クリニック 脳神経内科、 東京女子医科大学附属病院 東洋医学研究所クリニック 脳神経内科
越智 佳奈 監修

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