
監修者富士在宅診療所 一般内科
加齢に伴う筋肉量の減少で基礎代謝が低下し、さらにテストステロンやエストロゲンなどのホルモンの変化で脂肪が蓄積しやすくなると考えられています。
40代以降の体の変化|筋肉量と基礎代謝の低下
「若いころと同じ食事をしているのに太る」──40代以降に多い悩みですが、これには明確な理由があります。加齢に伴い筋肉量は30代後半から徐々に減少し始め、何も対策をしなければ年に0.5〜1%ずつ失われていくとされています。この加齢による筋肉量の減少を「サルコペニア」と呼びます。
筋肉は安静時にもエネルギーを消費する組織です。筋肉量が減ると基礎代謝(何もしなくても消費するエネルギー量)が低下するため、同じ量を食べていても消費が追いつかず、余分なエネルギーが体脂肪として蓄積されやすくなります。
ホルモンの変化|テストステロンとエストロゲンの影響
筋肉量の減少には、ホルモンの変化も大きく関わっています。男性では、テストステロン(筋肉の合成を促すホルモン)が30歳以降、年に約1%ずつ低下するとされています。70歳以上の男性の40〜70%がテストステロン低値を示すという報告があります。女性では、閉経に伴いエストロゲン(女性ホルモン)が急激に低下し、筋力・筋量の低下が加速するとされています。これらのホルモンの減少は、筋タンパク合成の低下と中心性脂肪(お腹まわりの脂肪)の蓄積に関与すると報告されています[Cureus. 2022;14(9):e28787.]。
また、成長ホルモン(GH)やIGF-1(インスリン様成長因子)の分泌も加齢とともに減少し、筋肉の維持がさらに難しくなります。
40代以降の体脂肪対策|筋肉を守る生活習慣
40代以降でも、適切な運動と栄養で筋肉量の減少を遅らせることは可能です。筋力トレーニング(レジスタンス運動)は、加齢に伴う筋肉量減少への対策として最も推奨される方法のひとつです。タンパク質の摂取については、不十分な栄養は疲労やミトコンドリア機能低下に影響するとされており、加齢に伴いタンパク質の必要量が増える可能性が報告されています。1日に体重1kgあたり1.0〜1.2gのタンパク質摂取が推奨される場合があります[Nutrients. 2020;12(2):444.]。
40代以降の体脂肪管理のうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

▶特に重要とされるのは、食事量を減らすことよりも、筋肉量を維持するための運動とタンパク質を確保することと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
40代以降の体の変化は自然な現象であり、自分を責める必要はありません。「食べる量を減らす」のではなく、「筋肉を守る」という発想に切り替えることが、長期的な体脂肪管理のポイントかもしれません。
ただし、急に体重が増え続ける場合、著しい疲労感がある場合、更年期症状が日常生活に支障をきたしている場合は、ホルモン異常や甲状腺の病気の可能性があります。このような場合は、医療機関への受診をご検討ください。
まとめ:40代以降に体脂肪がつきやすくなる理由と対策
- 筋肉量の減少: 30代後半から筋肉は年0.5〜1%ずつ減少し、基礎代謝が低下すると報告されています
- ホルモンの変化: テストステロン・エストロゲン・成長ホルモンの減少が筋肉量減少と脂肪蓄積に関与すると考えられています
- 「食べない」より「筋肉を守る」: 筋力トレーニング(週2〜3回)とタンパク質の十分な摂取が推奨されます
- 有酸素運動も併用: 内臓脂肪の減少には有酸素運動の効果が期待されます
- 受診の目安: 急な体重増加、著しい疲労感、更年期症状の悪化がある場合は、医療機関への受診をご検討ください
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(参考文献)
Gupta P, Kumar S. Sarcopenia and Endocrine Ageing: Are They Related? Cureus. 2022;14(9):e28787.
Azzolino D, Arosio B, Marzetti E, Calvani R, Cesari M. Nutritional Status as a Mediator of Fatigue and Its Underlying Mechanisms in Older People. Nutrients. 2020;12(2):444.


