

監修者京都大学大学院医学研究科 総合内科
靴下を履いて寝るのは、試してみてもよい工夫です。足元だけでなく、布団やパジャマで体全体を冷やさない工夫も合わせて試してみましょう。
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足の冷えと寝つきの関係
眠りに入る前には、手足の血管が広がって体の熱を外に逃がし、体の中心の温度が下がっていきます。手足から熱がよく逃げているほど早く寝つく傾向がみられたという報告があります[Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2000;278(3):R741-748.]。ただし、これは両者の関係を調べた研究で、足を温めれば寝つけるという因果を示したものではありません。
また、スイスの20〜40歳の住民への調査では、手足の冷えを感じる人は、感じない人に比べて寝つきにくさを併せ持つ割合が約2倍でした[J Sleep Res. 2008;17(4):420-426.]。ある時点で尋ねたアンケート調査なので、冷えが原因で寝つけないとまでは言えません。
靴下を履いて寝ると寝つきは変わる?
少し涼しい部屋(23℃)で、靴下を履いて寝る実験が行われました。手首につける活動量計で測ったところ、履かないときより、寝つくまでの時間が平均7.5分短くなりました。眠っていた時間も長く、夜中に目が覚める回数も少なかったと報告されています[J Physiol Anthropol. 2018;37(1):13.]。ただし、これは若い健康な男性6人の小さな実験です。夜中に起きていた合計時間や、本人が感じる眠りの質には差がみられませんでした[同上]。
足の冷えを訴える人で調べた研究ではないため、効果は確かとは言えません。それでも、締めつけの少ない就寝用の靴下を履いて寝てみるのは、試してみてもよい工夫と考えられます。なお、今回確認した範囲では、靴下の素材や締めつけの強さを比べた研究や、寝る前に脱ぐのがよいかを調べた研究は見つかりませんでした。
足だけでなく体全体を冷やさない寝具の工夫
別の実験では、手足の皮膚の温度だけを変えても、寝つきは変わりませんでした。一方、体幹(胴体)に近い皮膚を、夜の普段の変動の範囲でわずかに(1℃弱)温めると、寝つくまでの時間が約3分短くなりました[Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2005;288(6):R1589-1597.]。健康な人8人が、温度を調節できる特別なスーツを使った小さな実験です。温めたときの心地よさは、むしろわずかに下がっていました[同上]。寝具で同じ効果が出るかは確かめられていませんが、足だけを温めればよいとは言い切れません。
また、寝具やパジャマを使う普段の生活では、寒い環境でも睡眠の段階(眠りの深さなど)は保たれやすいとする総説があります[J Physiol Anthropol. 2012;31:14.]。一方で、寒さは睡眠中の心臓の自律神経の反応に影響するとも述べられています[同上]。寝つきを直接調べたものではありませんが、足元に加えて寝具全体で体を冷やさない工夫も試す価値があると考えられます。
湯たんぽを使うときの注意点
足元を温めるために湯たんぽを使う場合は、やけどに注意が必要です。消費者庁には約5年間で108件の事故情報が寄せられ、そのうちやけどが68件、治療に1か月以上かかった重傷が31件でした[消費者庁. ゆたんぽを安全に正しく使用しましょう!. 2020.]。これは寄せられた報告の件数で、電気で温めるタイプや、破損・破裂によるやけども含みます[同上]。決められた温め方・温める時間を守り、長時間体に当てず、寝る前に布団から出すよう呼びかけられています[同上]。
足の冷えをやわらげて寝つくうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

ここだけは伝えたいメッセージ
靴下や寝具で足元を温める工夫は、今夜からでも試せます。ただし効果を調べた研究はまだ少なく、合う方法には個人差があります。冷えに加えて足の色の変化やしびれ・痛みがある場合や、眠れない日が続く場合は、医療機関への受診をご検討ください。
まとめ:靴下と寝具で足元から冷やさない
- 冷えと寝つき: 手足の冷えを感じる人は、寝つきにくさを併せ持つ割合が高かったという調査報告がある
- 靴下: 少し涼しい部屋で靴下を履くと寝つくまでの時間が短くなった小さな実験があるが、眠りの質の感じ方には差がなかった
- 寝具: 足だけでなく、掛け布団やパジャマで体全体を冷やさない工夫も試す価値がある
- 湯たんぽ: やけど事故が報告されており、決められた温め方を守って、寝る前に布団から出す
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(参考文献)
Ko Y, Lee JY. Effects of feet warming using bed socks on sleep quality and thermoregulatory responses in a cool environment. J Physiol Anthropol. 2018;37(1):13.
Kräuchi K, Cajochen C, Werth E, Wirz-Justice A. Functional link between distal vasodilation and sleep-onset latency? Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2000;278(3):R741-748.
Raymann RJ, Swaab DF, Van Someren EJ. Cutaneous warming promotes sleep onset. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2005;288(6):R1589-1597.
Okamoto-Mizuno K, Mizuno K. Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm. J Physiol Anthropol. 2012;31:14.
Kräuchi K, Gasio PF, Vollenweider S, et al. Cold extremities and difficulties initiating sleep: evidence of co-morbidity from a random sample of a Swiss urban population. J Sleep Res. 2008;17(4):420-426.
消費者庁. ゆたんぽを安全に正しく使用しましょう!-ゆたんぽの破損・破裂等によりやけど事故が発生しています-. https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_045/.(参照 2026-10-22).







