

監修者おだかクリニック 循環器内科 副院長
冷え性は体質的に手足などが冷えやすい状態で、冷房負けは冷房による急な温度差で体調を崩す一時的な不調です。
冷え性とは|体質的な冷えの特徴と有病率
冷え性とは、周りの人は寒いと感じていない環境でも、手足や腰、お腹などが冷たく感じる状態をいいます。病名ではありませんが、多くの人が悩んでいる症状のひとつです¹。
女性に多くみられ、女性の約60%、男性の約20%が冷え性を自覚していると報告されています¹。また、若い女性でも半数以上(55.6%)が冷えを自覚しているという研究もあります²。
冷え性は冬だけの問題ではありません。夏でも冷房の効いた室内で長時間過ごしたり、冷たい飲み物や食べ物をとり過ぎたりすると症状が悪化することがあります³。
ただし、「冷えは体質だから」と決めつけるのは避けましょう。冷えの背景には、貧血、甲状腺機能低下症、糖尿病、膠原病、血管の病気などが隠れていることもあります。これらは医療機関で原因を確認することがすすめられています³⁻⁵。
※引用文献
- 冷え性の定義・有病率:①
- 若年女性の有病率:②
- 二次性冷え(病気の鑑別):③④⑤
冷房負けとは|夏特有の冷えが起こる仕組み
冷房負けとは、冷房が効いた室内と暑い屋外を何度も行き来することで、自律神経(体温や血圧などを自動で調整する神経)の働きが乱れ、冷えやだるさ、頭痛などが起こる状態です³。
人の体は自律神経によって体温を一定に保っています。しかし室内外の大きな温度差を繰り返すと、その調節機能への負担が大きくなり、血流が低下して冷えを感じやすくなります³。
つまり、
- 冷え性=体質的・慢性的な冷え
- 冷房負け=環境による一時的な冷え
という違いがあります³。
もともと冷え性の人は血流が低下しやすいため、冷房負けにもなりやすいと考えられています¹³。
※引用文献
- 冷房負けの仕組み・対策:③
- 冷え性との関連:①③
冷え性のメカニズム|自律神経と血管の関係
冷え性では、交感神経(体を活動状態にする神経)が必要以上に働くことで、手足の血管が細くなり、血液が流れにくくなることが報告されています¹。
さらに近年では、冷え性の女性では血管そのものの働き(血管内皮機能)も低下していることが示されています⁶。
また、睡眠不足やストレス、運動不足、筋肉量の低下なども血流を悪くする要因となり、冷えを感じやすくすると考えられています¹³。
※引用文献
- 自律神経の異常:①
- 血管内皮機能:⑥
- 生活習慣との関係:①③
冷え性と冷房負けのセルフケア|温活と生活習慣の工夫
冷え対策では、毎日の生活習慣が重要です。
40℃前後のお湯で10〜15分程度足湯を行うと、足先の皮膚温が上昇し、副交感神経(リラックスする神経)の働きが高まることが報告されています⁷。
また、冷房対策として、
- カーディガンを着る
- ひざ掛けを使う
- 冷風を直接浴びない
などが推奨されています³。
さらに、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は血流を改善し、筋肉で熱を作る働きを高めるため、冷え対策として有効です³。
※引用文献
- 足湯:⑦
- 冷房対策:③
- 運動:③
冷え性を放置するリスク|体の不調との関連
冷え性は命に関わる病気ではありませんが、放置すると生活の質(QOL)が低下することがあります。
実際に、冷えが強い人ほど、
などを訴える割合が高いことが報告されています⁸。
また、症状が長く続く場合は、貧血や甲状腺機能低下症などの病気が隠れている可能性もあるため、必要に応じて医療機関を受診しましょう³⁻⁵。
※引用文献
- 冷えとQOL:⑧
- 病気の鑑別:③④⑤
冷え性・冷房負け対策のうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

ここだけは伝えたいメッセージ
冷え性と冷房負けは似ていますが、冷え性は体質的な冷え、冷房負けは夏の環境によって起こる一時的な不調という違いがあります。どちらも日頃の生活習慣を見直すことで改善が期待できます。
一方で、「冷えが急に強くなった」「夏でも厚着をしないと耐えられない」「体重増加や強い疲労感、息切れ、手足のしびれや色の変化がある」といった場合には、貧血や甲状腺機能低下症、血管の病気などが隠れていることがあります。冷えだけで判断せず、必要に応じて医療機関で相談し、原因となる病気がないか確認することも大切です。
まとめ:冷え性と冷房負けの違いとセルフケア
- 冷え性:季節を問わず手足などが冷えやすい体質で、自律神経や血流の低下が関係している。
- 冷房負け:夏の冷房による温度差で自律神経が乱れ、冷えやだるさ、頭痛などが起こる一時的な不調。
- セルフケア:足湯、冷房対策、適度な運動、バランスのよい食事が基本となる。
- 病気が隠れていることもある:貧血や甲状腺機能低下症、糖尿病、血管の病気などが原因の場合もあり、改善しないときは受診を検討する。
- 受診の目安:急に冷えが強くなった、手足の色の変化やしびれがある、強い疲労感や息切れなどを伴う場合は医療機関へ相談する。
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(参考文献)
① 日本女性医学学会. The Autonomic Nervous System. 2023;60(2):71-75.
② Wang L, et al. J Integr Med. 2016;14(1):36-43.
③ 厚生労働省研究班監修 女性の健康推進室ヘルスケアラボ「冷え」
④ 日本内分泌学会 甲状腺機能低下症に関する診療情報
⑤ 日本血液学会 貧血診療ガイドライン
⑥ Kondo M, et al. Tohoku J Exp Med. 2021;253:51-60.
⑦ Sharma R, et al. Cureus. 2025;17:e89470.
⑧ Kimura Y, et al. Sci Rep. 2024;14:1918.
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