
水だけ飲んでいれば大丈夫?電解質バランスと夏の水分補給で気をつけるべきことを教えてください。
監修者おだかクリニック 循環器内科 副院長
水だけでは汗で失われた電解質が補えず、体液バランスが崩れる可能性があります。塩分の補給も重要です。
水だけでは不十分な理由|電解質バランスと夏の水分補給
夏場に「水をたくさん飲んでいるのに体調がすぐれない」と感じる方がいます。その原因のひとつが、電解質(でんかいしつ=ナトリウムやカリウムなどのミネラル)の不足です。汗にはナトリウムが含まれているため、大量に汗をかいたあとに水だけを飲むと、体内のナトリウム濃度が薄まり、体液バランスが崩れる可能性があります。体重の1〜2%程度の脱水でも認知機能が低下することが報告されており[Med Sci Sports Exerc. 2018;50(11):2360-2368.]、水分だけでなく電解質も含めた補給が重要です。
汗に含まれる電解質|なぜ塩分補給が必要なのか
汗1Lあたりには約2〜3gのナトリウムが含まれるとされています。大量の発汗後に水だけを飲み続けると、血液中のナトリウム濃度がさらに低下し、頭痛・吐き気・筋肉のけいれんなどの症状が現れる場合があります。環境省の熱中症環境保健マニュアル2022では、暑い環境下での活動時に0.1〜0.2%の食塩水の摂取が推奨されています。日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2024でも、水分とあわせて塩分を補給することの重要性が示されています。
電解質を含む飲料の選び方|場面に応じた水分補給
日常的な水分補給には水やお茶で十分ですが、30分以上の運動や暑い環境での作業後には、電解質を含むスポーツドリンクや経口補水液(けいこうほすいえき=水分と電解質を効率よく補給できる飲料)の活用が推奨されます。運動時の脱水を比較した研究では、経口補水液がスポーツドリンクと同等以上の水分補給効果を示したことが報告されています[Wilderness Environ Med. 2018;29(2):185-193.]。食事からも塩分や電解質は摂取できるため、味噌汁や梅干しなども有効な補給源です。
電解質タブレットや塩飴など機能性食品の活用
外出先や運動時に手軽に電解質を補える電解質タブレットや塩飴も、補助として活用できます。これらは持ち運びがしやすく、水と一緒に摂ることで簡便に電解質を補給できます。ただし、高血圧など塩分制限が必要な方は、過剰摂取に注意が必要です。製品によってナトリウム含有量に差があるため、成分表示を確認して選ぶことが推奨されます。なお、効果には個人差があります。
夏の水分補給を考えるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、「水だけではなく電解質も一緒に補給する」という意識を持つことであると考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
夏の水分補給は「水をたくさん飲めばよい」と思われがちですが、大量の発汗時には電解質の補給も大切です。場面に応じて飲み物を選び、食事からも塩分を摂ることで、体液バランスを保ちやすくなります。
ただし、大量の汗をかいたあとに頭痛・吐き気・筋肉のけいれんが続く場合は、電解質バランスの崩れが疑われます。早めに医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:電解質バランスと夏の水分補給

編集・監修基準について
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(参考文献)
Wittbrodt MT, Millard-Stafford M. Dehydration Impairs Cognitive Performance: A Meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2018;50:2360-2368.
Schleh MW, Dumke CL. Comparison of Sports Drink Versus Oral Rehydration Solution During Exercise in the Heat. Wilderness Environ Med. 2018;29:185-193.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2026-05-29).


