前立腺肥大症ではどのような薬を使用しますか?
尿道や前立腺の緊張を緩める薬、前立腺を縮小させる薬などが症状に応じて使用されます。
前立腺肥大症の薬物療法は、症状に合わせて複数の種類から選ばれます。主に使われるのは、尿の通り道を広げるα1遮断薬とPDE5阻害薬、前立腺そのものを小さくする5α還元酵素阻害薬の3種類で、作用の仕組みや副作用が異なります。
前立腺肥大症の薬物療法とは
前立腺肥大症の治療薬は大きく分けて、前立腺やその周囲の筋肉を緩めて尿の通り道を広げるタイプと、前立腺そのものを縮小させるタイプに分けられます。このほか、漢方薬や、排尿症状に応じた補助的な薬剤が使われることもあります[1, 2]。
前立腺やその周囲の筋肉を緩めて尿の通り道を広げるタイプ
前立腺肥大症のα1遮断薬
α1遮断薬は、前立腺や膀胱の出口付近にある平滑筋(意識せずに動く筋肉)を緩め、尿道の圧迫をやわらげる薬です。内服開始から1週間以内に効果が現れることが多いです[1]。
主な副作用は下記の通りです。
眼科手術(白内障手術等)の際に手術しにくくなる可能性があるため、眼科の手術を受ける際は、服用中の薬を眼科医へ伝えましょう[2]。
前立腺肥大症のPDE5阻害薬
PDE5阻害薬は、血管を広げる物質(一酸化窒素)の働きを高めて前立腺・尿道の筋肉を緩める薬で、効果の実感には数週間程度かかることがあります[1]。PDE5阻害薬とα1遮断薬を併用すると、どちらか単独よりも排尿症状や生活の質の改善が大きい一方、副作用の頻度は高くなると報告されています[3]。
主な副作用は下記のとおりです。
- 消化器症状
- ほてり
- 血圧低下
- 頭痛
狭心症などの治療に使われる硝酸薬との併用は、血圧が下がりすぎるおそれがあるため使用できません。
前立腺そのものを縮小させるタイプ
前立腺肥大症の5α還元酵素阻害薬
5α還元酵素阻害薬は、前立腺の増殖に関わる男性ホルモンの働きを抑え、数ヶ月かけて前立腺を縮小させる薬です。効果が出るまでに1ヶ月〜半年程度かかるとされています [1] 。
主な副作用は下記の通りです。
- 勃起障害
- 射精障害
- 性欲の低下
- 女性化乳房 (男性の胸がふくらんだり、痛んだりすること)
服用中は前立腺がんの検査に使われる腫瘍マーカー(PSA)の値が、見かけ上おおむね半分に下がってしまうため、服用中に健診などでPSA検査をする際は医師に伝えましょう[2]。
その他の治療薬
上記のほか、八味地黄丸(はちみじおうがん)や牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などの漢方薬、生薬由来の薬剤が使われることもあります。また、頻尿や急な尿意を伴う場合は、過活動膀胱という膀胱の異常による可能性があり、膀胱の過剰な収縮を抑えるβ3刺激薬や抗コリン薬が併用されることもあります。薬の種類や組み合わせは症状や体質によって異なるため、気になる症状がある場合は泌尿器科を受診しましょう。
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(参考文献)
[1]. 日本泌尿器科学会(編)『男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン』リッチヒルメディカル、2017年(第1版)
[2]. Goueli R, Badlani GH, Welliver C, et al. Management of Lower Urinary Tract Symptoms Attributed to Benign Prostatic Hyperplasia: AUA Guideline (2026) Part II: Medical Management. J Urol. 2026;216(2):152-160.
[3]. Liu J, Zhou W, Zhang P, et al. Comparison of Monotherapies and Combination Therapy of Tamsulosin and Tadalafil for Treating Lower Urinary Tract Symptoms Caused by Benign Prostatic Hyperplasia with or without Erectile Dysfunction: A Meta-Analysis. Urol Int. 2024;108(2):89-99.
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編集・監修基準について
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東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科
秋元 隆宏 監修
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