パーキンソン病

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パーキンソン病はどんな症状ですか?

亀田総合病院 脳神経内科

原瀬 翔平 監修

体の動きに関係しない症状がまず現れ、そのあと動きが関わる症状が現れて、次第に強まっていきます。

解説

体の動きが関わる症状(運動症状)と運動に関係しない症状(非運動症状)が、病気が進行するともに出現してきます。
病気の初期には、

  • 便秘
  • 嗅覚障害
  • うつ傾向
  • 睡眠中に叫んだり手足を動かしたりすること(REM睡眠行動異常症)

などの非運動症状がまず現れることが知られています。
その後、

  • 安静時の手・足・あごなどのふるえ(振戦)
  • 動作が遅くなる、動けない(無動・寡動)
  • 筋肉のこわばり(筋強剛)
  • 倒れやすさ、転びやすさ(姿勢保持障害)

といった運動症状が進行し、次第に強くなってきています。
一般的にこれらの運動症状は、片手もしくは片足から出現し、次第に反対側にも進行していきます。
また、歩行も「小刻み歩行」と呼ばれる、前傾姿勢でちょこちょこと歩く特徴的な歩き方になります。

パーキンソン病でみられる主な運動症状を表した図

おすすめのQ&A

心筋シンチ検査だけで診断され、本当にパーキンソン病でしょうか?

パーキンソン病と診断されて1年が経ちましたが、心筋シンチ検査だけで決められました。ドパコールを1日3回飲んでいますが、副作用だけでパーキンソン病の症状はありません。本当にパーキンソン病なのでしょうか?

質問者のイラスト

80代 / 男性

この度は、ユビーかんたん医師相談でご相談いただきありがとうございます。

パーキンソン病の診断は、通常、臨床症状と神経学的な評価を基に行われます。心筋シンチ検査は、パーキンソン病の診断に直接関与するものではありません。パーキンソン病の主な症状には、震え(振戦)、筋肉の硬直(筋強剛)、動作の遅れ(運動緩慢)、姿勢の不安定性などがあります。これらの症状が見られない場合、他の診断を考慮する必要があるかもしれません。 ドパコール(レボドパとカルビドパの合剤)は、パーキンソン病の治療に用いられる薬ですが、副作用が強く、効果が見られない場合は、再評価が必要です。副作用としては、吐き気、めまい、低血圧などが挙げられます。

パーキンソン病の診断が疑わしい場合、神経内科の専門医による再評価を受けることが重要です。

特に、以下のような状況が見られる場合は、早めの受診をお勧めします。

  • 症状が進行している
  • 新たな症状が出現している
  • 現在の治療が効果を示していない
  • 副作用が強く、日常生活に支障をきたしている

これらの状況が重要なのは、適切な診断と治療が行われないと、症状が悪化し、生活の質が低下する可能性があるためです。また、パーキンソン病以外の疾患が原因である場合、早期に適切な治療を受けることが重要です。

まとめ

パーキンソン病の診断が疑わしい場合、神経内科の専門医による再評価を受けることが重要です。特に、症状が進行している、新たな症状が出現している、現在の治療が効果を示していない、副作用が強い場合は、早めの受診をお勧めします。 お大事になさってください。

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パーキンソン病の診断に疑問があり、体のこわばりと足の震えが悪化しています。マドパーが効かない場合の対処法はありますか?

手の震えはないが、足の震えがあります。顔から肩にかけての強ばりがひどいです。最初は、びっこから始まり両足の股関節の筋肉のつっぱりがでました。その後つっぱりをとる手術を受け、足の震えや顔の強ばり、体全体の強ばりが出てきました。マドパーがだんだん効かなくなってます。薬のほかに何か対処法はありませんか?

質問者のイラスト

60代 / 女性

ご相談ありがとうございます。パーキンソン病の診断を受けておられるとのことですが、症状が進行しているようで心配ですね。いくつかの点についてお答えいたします。

パーキンソン病について

まず、パーキンソン病は脳内のドーパミンという物質が不足することで起こる病気です。主な症状としては、手足の震え(振戦)、筋肉のこわばり(筋強剛)、動作が遅くなる(運動緩慢)、姿勢の不安定などがあります。手の震えがない場合でも、足の震えや体のこわばりが見られることはあります。

マドパーが効かなくなってきていることについて

現在、マドパー(レボドパ)が効かなくなってきているとのことですが、これはパーキンソン病の進行に伴う現象の可能性があり、薬の効果が減少することがあります。この場合、他の治療法を検討することが重要です。

また、パーキンソン病に似た経過をたどる病気もいくつかあります。脳血管性パーキンソニズム、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症(MSA-P)、薬剤性パーキンソニズムなどです。これらをまとめてパーキンソン症候群と呼ぶ場合がありますが、それぞれ原因が異なり、パーキンソン病に使われるお薬への反応(薬の効果)は様々です。マドパーが効かなくなってきている場合、パーキンソン病以外の病気ではないか、詳しく調べることも検討されます。

他の対処法について

  1. 薬物療法の見直し
  • 薬のタイミングや量を調整することで改善が得られることがあります。
  • 他の薬剤(ドーパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬など)を追加することで症状の改善が期待できる場合があります。
  1. リハビリテーション
  • 専門の理学療法士によるリハビリテーションは、筋肉のこわばりや動作の改善に役立ちます。
  • ストレッチや運動療法を取り入れることで、筋肉の柔軟性を保つことができます。
  1. 外科的治療
  • 深部脳刺激療法(DBS)は、十分な薬物療法でも症状のコントロールが困難、もしくは副作用が強い場合に考慮される治療法です。脳に電極を埋め込み、電気刺激を与えることで症状を緩和します。(パーキンソン病の方全員に適応できる治療法ではありません。詳細は専門医にご確認ください。)

まとめ

パーキンソン病の進行に伴い、現在の薬が効果が減少している可能性が考えられます。現在内服している薬剤の調整、他の薬物療法やリハビリテーション、外科的治療などの選択肢がありますので、専門医と相談して最適な治療法を見つけることが大切です。症状の急激な悪化や薬の効果が減少した場合は、パーキンソン病に似た他の病気の可能性も検討されます。まずはかかりつけの医師に相談されるのが良いでしょう。もし別の医療機関でのご相談を希望される場合も、かかりつけの医師からの紹介状(情報提供書)があると、その後の診療がスムーズです。お近くの脳神経内科については、こちらから検索できますのでご活用ください。

どうぞお大事になさってください。

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滑舌の悪化と顔面の痙攣があり、パーキンソン病の初期症状でしょうか?脳神経内科で診てもらうべきですか?

最近、しばらく話していると滑舌が悪くなり、言葉がうまく出なくなることが増えています。今年に入ってから、耳鼻科では加齢による声帯の萎縮だといわれました。また、対面で話しているときに、顔がこわばったり、痙攣したり、歪んだりすることが多くなっています。 これが精神的なものなのか、神経的なものなのか、耳鼻科的な病気なのか、あるいはパーキンソン病の初期症状なのか、よくわかりません。ご助言をいただければ幸いです。

質問者のイラスト

70代 / 女性

お話を伺う限り、いくつかの病気の可能性が考えられます。

ご症状から考えられる疾患

まず、滑舌が悪くなり、ろれつが回らなくなる症状や顔面のこわばり、痙攣、歪みなどの症状は、脳神経内科領域の問題が疑われます。可能性としては、眼瞼痙攣、顔面を中心とした本態性振戦などです。パーキンソン症候群などの変性疾患の可能性に関しては専門医による診察を受ける必要があります。

また、甲状腺機能低下症も考えられます。甲状腺の機能が低下すると、全身の代謝が低下し、疲労感や集中力の低下、筋肉のこわばりなどが現れることがあります。甲状腺機能の検査を受けることをお勧めします。

さらに、精神的なストレスや肉体的な疲労も症状の一因となることがあります。適応障害や貧血なども考えられますので、これらの可能性も排除するために、総合的な診察が必要です。

耳鼻科で声帯萎縮と診断されたことがあるとのことですが、これは高齢によるものの可能性もあり、直接的な原因とは考えにくいです。一般的に声帯萎縮ではろれつの回りにくさなどの症状は出ません。しかし、耳鼻科的な問題も完全には排除できませんので、再度耳鼻科での診察も検討してください。

受診の目安として

以下の状況が重要です。

1. 症状が進行している場合:特に、ろれつが回らない、顔面のこわばりや痙攣が頻繁に起こる場合。

2. 日常生活に支障が出ている場合:食事や会話が困難になるなど。

3. 他の症状が現れる場合:手足のふるえや筋力低下など。

これらの状況は、重篤な疾患の兆候である可能性があるため、早急に専門医の診察を受けることが重要です。

まとめ

滑舌が悪くなり、ろれつが回らなくなる症状や顔面のこわばり、痙攣、歪みなどの症状は、神経系の問題や甲状腺機能低下症、精神的なストレスなどが考えられます。突然ろれつ困難などの症状が出現している場合は脳梗塞の可能性も考えられるのですぐに医療機関の受診が必要です。また、症状が比較的ゆっくり進行している場合や日常生活に支障が出ている場合も、専門医の診察を受けてください。お近くの脳神経内科や内分泌科は、こちらから検索できますのでご活用ください。

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手足の震えはあるものの、MRI異常なしで治療も手探り状態です。どう対処すれば良いでしょうか?

家族の一人が長期間にわたり手足の震えに悩まされており、最初はパーキンソン病の可能性があると疑われました。しかし、薬による治療は行われず、うつ病の治療に重点が置かれました。その結果、症状が悪化してしまいました。この半年で二度、脳神経内科を受診し、MRI検査を含む診察の結果、脳には異常が見つからないという判断でした。最初の受診時には薬の量を減らすなどの対応が行われましたが、二度目の受診時には副作用の出る薬は処方されていないとのことで、具体的な対応策が見つからない状況です。 症状は依然として改善せず、非常に困っています。どのように対処すれば良いか、ご助言をいただければ幸いです。

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70代 / 女性

ご家族の症状についてお話しいただき、ありがとうございます。手足が意図せず動くという症状が薬を飲んでも良くならない状況とのことで、非常に不安を感じておられることと思います。以下にいくつかの可能性について説明いたします。

ご症状について

まず、手足が意図せず動く症状は、医学的には不随意運動と呼びますが、その動きの中でも「震える」という動作の場合を「振戦」と呼びます。振戦は、その発症様式によって大きく2つ、安静時振戦(じっと動かないでいる時に震える)と、動作時振戦(じっとしている時には震えないが、ある特定の姿勢を保ったり、手足を動かす時に震える)に分けられます。それぞれで疑う病気が異なってきます。

考えられる病気について

安静時振戦の場合、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群を疑うことがあります。しかし、抗パーキンソン病薬があまり効果がない場合は、パーキンソン病以外の病気(パーキンソン症候群を含む)を考えることになります。

本態性振戦

これは、特に高齢者に多い手足の震えの一つで、特定の動作をするときに震えが強くなることがあります。治療には薬物療法(パーキンソン病の薬ではなく、β遮断薬という高血圧や心臓の病気に使われる薬が効果があります)が一般的です。

薬剤性振戦、薬剤性パーキンソニズム

服用している薬が原因で手足が震えることがあります。特に精神科の薬は副作用として振戦を引き起こすことが多いですが、精神科の薬に限らず、副作用で振戦を起こす薬はいくつかあるため、現在の内服している薬のリストを医師あるいは薬剤師に確認してもらうのが良いでしょう。

パーキンソン症候群

パーキンソン症候群とは、パーキンソン病に似た症状を呈する、いくつかの疾患の総称です。例えば、脳血管性パーキンソニズム、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症などが挙げられます。これらの病気は、抗パーキンソン病薬の効果が乏しい場合があります。MRI検査では異常がなかったとのことですが、初期の場合は異常に気付きづらいこともあり、詳しい病歴(どのように症状が進行してきたか)や神経に関する診察が、診断の手掛かりになることが多いです。

小脳の病気

人間の脳は、大きく大脳と小脳とに分かれますが、小脳に異常がある場合は、手足を動かした時に振戦があらわれることがあります。手の動かす先をうまく定められずブレてしまう、といった症状です。その原因として、多発性硬化症、脳卒中、腫瘍、変性疾患、炎症性疾患、ウィルソン病などが挙げられます。しかし、MRIで異常がなかった場合は、これらの疾患の可能性は低くなってくるでしょう。

機能性振戦

精神的なストレスや不安が身体的な症状として現れることがあり、機能性振戦と呼ばれています。うつ病や不安障害を持つ方に見られる傾向があります。うつ病の治療が進むことで、手足の震えが改善する可能性もあります。他には、心理療法やリハビリテーションが有効な場合があります。

内分泌疾患による振戦

甲状腺機能亢進症などのホルモンの異常でも振戦が生じることがあります。他には、動悸や発汗、体重減少、黄疸、下痢など様々な症状を伴うことがあります。甲状腺の機能は血液検査で調べることができます。

これらの疾患を鑑別するためには、やはり脳神経内科医の診察が必要です。現在の主治医以外の専門医から意見を聞くことができる仕組みとして「セカンドオピニオン制度」があります。主治医に情報提供書を作成してもらい、別の医療機関のセカンドオピニオン外来を受診することをご検討ください。

まとめ

ご家族の手足の震えについて、いくつかの可能性を考慮しました。パーキンソン病以外にも、本態性振戦や薬剤性振戦、精神的な要因、他の神経疾患や内分泌疾患などが考えられます。お近くの脳神経内科は、こちらから検索できます。セカンドオピニオン外来を設けている医療機関は、大学病院やそれに準ずる規模の総合病院であることが多いです。

ご家族の健康が一日も早く改善されることをお祈りしております。

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