パーキンソン病
監修医師原瀬 翔平亀田総合病院 脳神経内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/08/13
パーキンソン病とは
パーキンソン病は黒質のドパミン神経細胞が障害されることで発症し、運動緩慢、振戦(特に安静時の手足のふるえ)、筋強剛(体が固くなること)を中心とした運動症状が前景となる神経変性疾患です。非運動症状として、便秘、過眠・不眠、起立性低血圧、レム睡眠行動異常症(寝ている時に手足をばたつかせるなどの異常行動)、仮面様顔貌(表情が乏しい)等があります。運動症状としては、動作が遅くなり、静止時振戦、筋強剛に加え、小刻み歩行、転びやすくなるなどの症状を認めます。
パーキンソン病とはどのような病気ですか?
脳の神経細胞に異常が起こることで、体を自由に動かせなくなるなどの症状が次第に進んでいく病気です。
脳の、特に脳幹と呼ばれる部位にある神経細胞が変性することで、次第に体の動かしづらさなどの症状が現れてくる進行性の病気です。
しっかりと治療をすれば進行を遅らせることができ、10年前後の経過でゆっくりと介護が必要な状態になっていきます。
体の動きに障害が起こる運動症状だけでなく、精神症状を含む非運動症状も進行し、進行期には認知症もあわせて起こります。
パーキンソン病のパーキンソニズムとはなんですか?
筋肉のこわばり、動作が遅い、手足のふるえ、体のバランスが悪いなどのパーキンソン病特有の運動症状です。
パーキンソン病のパーキンソニズムとは、筋肉のこわばり、動作が遅い、手足のふるえ、体のバランスが悪いなどのパーキンソン病特有の運動症状のことです。パーキンソニズムは、パーキンソン病以外の病気でも出ることがあります。
パーキンソニズムが出る病気は、薬剤性パーキンソニズム、脳血管性パーキンソニズム、多系統萎縮症(MSA)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)などです。これらの病気の特徴は、パーキンソン病の薬が効きにくいことです。
パーキンソン病のホーエンヤール分類とはなんですか?
パーキンソン病の重症度の段階の分類です。
パーキンソン病のホーエンヤール分類とは、パーキンソン病の重症度の段階の分類です。この分類は数値が上がるにつれて、運動機能の障害や介助の必要性が高まります。
各段階の目安と状態は、以下の通りです。
- I度: 症状は体の片側のみ。日常生活への影響はほとんどありません。
- II度: 症状が両側の手足に現れるが、身体のバランス(姿勢反射)は保たれています。
- III度: ふらつきや姿勢反射障害(バランスがとりにくい)が出現し、小刻み歩行などがみられます。日常生活や仕事に支障は出ますが、介助なしで自立した生活が可能です。
- IV度: 立ち上がる・歩くなどの動作が困難になり、日常生活で部分的な介助が必要となります。
- V度: 自力での歩行・起立が困難になり、車椅子やベッド上での生活となります。
パーキンソン病のオンオフ現象とはなんですか?
薬の効果が突然切れて動けなくなるオフ状態と、再び効いて動けるオン状態が予測不能に切り替わる現象です。
パーキンソン病のオンオフ現象とは、薬の効果が突然切れて動けなくなる状態(オフ)と、再び効いて動ける状態(オン)が予測不能に切り替わる現象です。
パーキンソン病の病気の進行とともに、脳内の神経細胞が減少し、ドーパミンを補充する薬(L-ドパなど)の作用時間が不安定になることが主な原因とされています。
このような症状が出てきた場合の対応として、
- 薬の調整:服薬の回数を増やしたり、時間を細かく調整
- 他の薬剤の追加: ドパミンの分解を抑える薬などを併用する
- 外科的治療: 薬物療法でコントロールが難しい場合、脳深部刺激療法(DBS)
などの手術が検討されます。
パーキンソン病認知症とはなんですか?
パーキンソン病の運動症状が出現後、認知機能低下の1年以上経って出てくる認知症のことです。
パーキンソン病認知症とは、パーキンソン病の運動症状が出現後、1年以上経って出てきた認知症のことです。
よく違いが聞かれる病気としては、レビー小体型認知症があります。レビー小体型認知症は、認知症の症状がパーキンソン病の運動症状より先、または同時に現れます。どちらも、パーキンソニズムと認知症が出る病気です。
パーキンソン病の経過中に認知症が現れる割合は、診断後12年で60%、20年で80%に達するとされています。
パーキンソン病における認知症発症リスクは健常成人の6倍との報告もあり、また、認知症発症後は罹病期間や発症年齢にかかわらず、平均余命が3年程度であると報告されています。
パーキンソン病認知症の認知機能低下に対する治療としては、リバスチグミンやドネペジルで認知機能改善があると報告されています。
参考文献
武田篤. レビー小体型認知症 各論 Parkinson's disease with dementia (PDD). 日臨増刊号. 2011, 69, 350-5.
D Aarsland et al. Risk of dementia in Parkinson's disease: a community-based, prospective study. Neurology. 2001, 56, 730-6.
日本神経学会.“Lewy 小体型認知症 (Parkinson 病も含む)”..https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/sinkei_degl_2010_08.pdf,(参照 2026-07-08).
若年性パーキンソン病とは何ですか?
40歳以下で発症したパーキンソン病のことを指します。
若年性パーキンソン病とは、40歳以下で発症したパーキンソン病です。
この中には、家族性(遺伝性の)パーキンソン病が含まれており、家族性パーキンソン病は全患者のうちの10%程度いるのではないかと言われています。
基本的な症状は孤発性(遺伝性でない)パーキンソン病と同じですが、随伴して起こる症状に特徴があることがあります。治療は基本的には同じですが、長く付き合っていくための治療を検討すべきであり、できればパーキンソン病の専門医の診療を受けるのが良いでしょう。
パーキンソン病の症状
口をもぐもぐする癖は遅発性ジスキネジアの症状ですか?
口をもぐもぐする癖は、遅発性ジスキネジアの症状のうちのひとつです。
遅発性ジスキネジアとは、ジスキネジアの原因が、抗精神病薬やドーパミン治療薬の副作用である場合のことを言います。
これは、薬の服用期間が長くなってから症状が現れてくるため、遅発性と呼ばれています。
遅発性ジスキネジアの症状の多くは口周囲のものが多いです。具体的には、繰り返し唇をすぼめる、舌を左右に動かす、口をもぐもぐさせる、口を突き出す、歯を食いしばるなどといった症状が出ます。
しかし、勝手に手を動かしてしまう、足が動いてしまって歩きにくいなどといった、口周囲以外の症状も現れることがあります。
参考文献
水野 美邦. 神経内科ハンドブック 第5版. 医学書院. 2016
梶龍兒. 不随意運動の診かた. 臨床神経生理学. 2015, 43, p.122-141.
監修 日本神経学会. パーキンソン病診療ガイドライン2018. 医学書院. 2018
日本定位・機能神経外科学会.“パーキンソン病とは”.日本定位・機能神経外科学会.https://jssfn.org/patient/disease/parkinson.html#:~:text=%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E7%97%85%E3%81%AE4%E5%A4%A7%E7%97%87%E7%8A%B6&text=%E6%8C%AF%E6%88%A6%E6%89%8B%E8%B6%B3%E3%81%AB%E4%BD%95,%E5%BC%B7%E5%89%9B%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%8C%E3%81%93%E3%82%8F%E3%81%B0%E3%82%8B%E3%80%82,(参照 2024-09-19).
パーキンソン病の末期症状について教えてください。
パーキンソン病の「末期」の定義は難しいですが、長期間患っている場合、ジスキネジアなどが見られるようになります。
「パーキンソン病の末期症状」とのことですが、がんとは異なるため、末期がどこからかは定義が難しいところです。
なお、長期間パーキンソン病を罹患していると、徐々に薬が効く時間が短くなるウェアリングオフや、薬の血液中の濃度が高くなるときに不随意運動(勝手に体が動いてしまう)が起こってしまうピークドーズジスキネジアなど、治療に難渋する(物事がはかどらず苦しむ)ことが増えてきます。
ご本人の認知機能や体の具合、年齢などによって適応は判断されますが、手術で脳に刺激を与える機会を埋め込む治療や、胃瘻(皮膚から胃まで穴をあけ、胃に直接アクセスできるようにしたもの)を作りそこから持続的に薬を入れる治療を行うこともあります。
いずれもパーキンソン病専門医に相談した方が良いでしょう。
パーキンソン病の症状に手のふるえはありますか?
はい、あります。
パーキンソン病の症状に手のふるえはあります。パーキンソン病の特有の症状として、筋肉のこわばり、動作が遅い、手足のふるえ、体のバランスが悪いなどの運動症状が出ます。それ以外に、便秘や起立性低血圧、幻覚などの症状が出ることが知られています。
50歳以上で起こることが多い病気です。まれに40歳以下で起こる方もあり、若年性パーキンソン病と呼んでいます。パーキンソン病は全体で1000人に1人~1.8人ぐらいの割合と言われ、65歳以上では100人に約1人となり、高齢者で多くなっています。人口の高齢化に伴い、パーキンソン病の患者さんは増加しています。
パーキンソン病の非運動症状とは何ですか?
運動症状以外に起こる自律神経症状、精神症状、睡眠障害、感覚障害などの症状です。
パーキンソン病の非運動症状とは、運動症状以外に起こる自律神経症状、精神症状、睡眠障害、感覚障害などの症状です。
具体的には以下のようなものがあります。
- 自律神経症状:便秘、排尿障害(頻尿、尿閉など)、発汗異常、起立性低血圧(立ちくらみ)など
- 精神症状:うつ、不安、幻覚、認知機能低下(認知症)など
- 睡眠障害:不眠、日中の過眠、レム睡眠行動障害(睡眠中に大声を出す、暴れるなど)
- 感覚障害:嗅覚障害(においが分かりにくい)、痛みの感じ方の変化など
非運動症状は運動症状が現れる前から現れる場合もあり、パーキンソン病の早期発見や治療のきっかけとなることもあり得ます。
もし、これらの症状に気づいたら、早めに医師に相談することが大切です。
パーキンソン病の症状に幻視はありますか?
パーキンソン症状で幻視が起こることはあり得ます。
パーキンソン病の非運動症状として、幻視が起こる可能性があります。
病気の進行に伴って脳の機能に変化が生じることなどが原因と考えられており、頻度は約30~60%です。
また、薬物療法を受けている患者さんには薬の副作用として幻視が現れることもあります。
最初は気のせいのように感じ、だんだんはっきりとした幻視が現れ、さらに妄想へ進行すると言われています。
もし、パーキンソン病の症状として幻視が現れた場合は、自己判断で薬の量を調整したりせずに、必ず医師に相談してください。
医師が幻視の原因を特定し、適切な治療を行います。
パーキンソン病の錐体外路症状とは何ですか?
脳の大脳基底核~大脳皮質にある神経回路が障害されて起こる症状です。
パーキンソン病の錐体外路症状は、脳の大脳基底核から大脳皮質にかけての神経回路が障害されて起こる症状です。
原因は、脳内のドパミン不足によって大脳基底核と大脳皮質の連携が乱れるためだと考えられています。
主に以下のような運動症状が起こります。
- 振戦(しんせん):安静時に手足が小刻みに震える症状です。初期は片側から始まり、時間とともに全身に広がります。
- 筋強剛:他人が手や足などを動かそうとしたときに感じる抵抗です。
- 無動(むどう)・動作緩慢:動きが極端に遅くなり、歩行時に足が地面に張り付いたような「すくみ足」や、表情が乏しい「仮面様顔貌」が見られます。食事や着替え、文字を書くといった日常動作にも時間がかかるようになります。
参考文献
松本 英之ほか.“錐体外路症状”..https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%8C%90%E4%BD%93%E5%A4%96%E8%B7%AF%E7%97%87%E7%8A%B6,(参照 2025-04-17).
日本神経学会.“パーキンソン病の運動症状と非運動症状”..https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdgl/parkinson201807.pdf,(参照 2025-04-17).
厚生労働省 難治性疾患政策研究班.“パーキンソン病(指定難病6)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/169,(参照 2025-04-17).
パーキンソン病には初期症状はありますか?
静止時振戦、運動緩慢、筋強剛、嗅覚の低下、レム睡眠行動障害などが起こります。
パーキンソン病では、初期に以下のような症状が現れることがあります。
運動症状
静止時振戦(じっとしている時の震え):初期の69%の患者さんに現れるとされています。例えば、座っている時に膝の上に置いた手がリズミカルに震え、何か動作を始めると止まる特徴があります。
- 運動緩慢:特に上肢が動きにくくなり、ボタン掛けや字を書く動作が不自由になるケースが多く見られます。
- 筋強剛:他人が手や足などを動かした時に感じる抵抗です。自分では感じにくいと言われています。
非運動症状
- 嗅覚の低下:自覚がないことが多いですが、発症の数年前から「嗅覚障害」が約70~80%の患者に先行して現れることが知られています。
- レム睡眠行動障害:睡眠中に大声を出す・暴れるといった異常行動が起こることです。
その他、便秘やうつ症状、頻尿などが知られています。
参考文献
日本神経学会.“パーキンソン病の運動症状と非運動症状”..https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdgl/parkinson201807.pdf,(参照 2025-04-17).
厚生労働省 難治性疾患政策研究班.“パーキンソン病(指定難病6)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/169,(参照 2025-04-17).
頼高 朝子.“見逃したくないParkinson病の初期症候”.J-Stage.https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/8/103_1854/_pdf,(参照 2025-04-17).
パーキンソン病はどんな症状ですか?
体の動きに関係しない症状がまず現れ、そのあと動きが関わる症状が現れて、次第に強まっていきます。
体の動きが関わる症状(運動症状)と運動に関係しない症状(非運動症状)が、病気が進行するともに出現してきます。
病気の初期には、
- 便秘
- 嗅覚障害
- うつ傾向
- 睡眠中に叫んだり手足を動かしたりすること(REM睡眠行動異常症)
などの非運動症状がまず現れることが知られています。
その後、
- 安静時の手・足・あごなどのふるえ(振戦)
- 動作が遅くなる、動けない(無動・寡動)
- 筋肉のこわばり(筋強剛)
- 倒れやすさ、転びやすさ(姿勢保持障害)
といった運動症状が進行し、次第に強くなってきています。
一般的にこれらの運動症状は、片手もしくは片足から出現し、次第に反対側にも進行していきます。
また、歩行も「小刻み歩行」と呼ばれる、前傾姿勢でちょこちょこと歩く特徴的な歩き方になります。
パーキンソン病の検査・診断
どうやってパーキンソン病と診断するんですか?
最初に問診を行い、そのあと神経学的診察と、必要に応じて画像検査を行います。最終的な診断は、治療中の経過を見たうえで下します。
まず、体の動きが関わる症状(運動症状)と運動に関係しない症状(非運動症状)について、時系列に沿ってお話を聞いていきます。
その後、神経学的診察と、MRIなどの画像検査を行います。
神経学的診察とは、医師が患者さんの腕や足を動かして、筋肉のこわばりや体の反射的な動きを見ていくものです。
パーキンソン病の診断条件は、
- 神経学的診察でパーキンソン病らしさが見られる
- 頭の画像検査で他の原因が見当たらない
- パーキンソン症状を起こす薬を飲んでいない
- パーキンソン病の治療がよく効く
という4つがいずれも当てはまることです。
ただし、発症初期には(場合によっては発症後期になっても)パーキンソン病とパーキンソン症候群を明確に区別しづらく、確定診断を下すことが難しい場合が多いです。
どうやってパーキンソン病の検査をするのでしょうか?
CTやMRI、DaTスキャン、MIBG心筋シンチグラフィーなどの検査を行います。
頭のCTやMRIを撮影して、パーキンソン症候群(パーキンソン病そのものではないがよく似た症状を起こす病気)がないかどうか、画像を用いて検査します。
また、DaTスキャンやMIBG心筋シンチグラフィーといった検査を補助的に行うこともあります。
DaTスキャンとは、脳の線条体という部位がドパミンを取り込む量を調べる検査です。
ドパミンは神経伝達物質の一種で、パーキンソン病の特徴的な症状はこのドパミンが減少することで現れます。
そのため、線条体がドパミンを取り込む量が、同年代の平均と比べて明らかに低下していたり、2つある線条体のうち片側だけ取り込みが低下していたりした場合、パーキンソン病の可能性が高いと考えられます。
MIBG心筋シンチグラフィーとは、心臓の自律神経の活動を観察する検査です。
パーキンソン病になると早いうちから自律神経が障害をきたすため、この検査の結果を用いて補助診断ができます。
ただし、以前に心筋梗塞を発症していたり、抗うつ薬を内服していたりすると、正しく検査結果が出ないので注意が必要です。
パーキンソン病の治療・対処法
パーキンソン病への対処法は?
緊急性はありませんが、診断のためにはやめに脳神経内科医がいる病院での診察が必要です。問診と診察である程度あたりをつけることができますが、パーキンソン症候群(パーキンソン病を含むパーキンソン症状を呈する疾患群)との鑑別を行うには、詳しい画像検査等を行う必要があります。
パーキンソン病は治りますか?
現在、パーキンソン病の根本的な治療法はありません。症状をやわらげる治療が行われています。
パーキンソン病の根本治療はできないのが現状です。困っている症状に合わせて、さまざまな飲み薬を調整して治療を行なっていきます。
パーキンソン病では、レヴィ小体という物質が神経に蓄積していることがわかっており、これが発症に関連していると考えられています。レヴィ小体が関連し、脳のドパミン性神経細胞が変性(本来の機能を果たせなくなってしまう)してしまい、ドパミンという神経伝達物質が不足している状態となり、各種の症状が起こっていると考えられています。
しかし、これだけでは説明できない部分もあり、現在も研究が進められています。
現在の治療は主に、このドパミンを補充することで症状をやわらげる、といったものです。適切な治療を行うことで、寿命には影響しないとも言われていますので、医師と相談しながら治療を受け、病気と付き合っていきましょう。
iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の研究の内容について教えてください。
iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の研究には、細胞移植療法と創薬研究の2つが挙げられます。
iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の研究は、主に細胞移植療法と創薬研究の2つの方向性で進められています。
最新の臨床治験では、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が2025年4月に画期的な成果を報告しています。
1. 細胞移植療法
パーキンソン病は、脳内のドーパミンを作る神経細胞が減ってしまう病気です。そこで、iPS細胞から作ったドーパミン神経細胞を患者さんの脳に移植し、失われた機能を補おうというのが細胞移植療法です。
京都大学の髙橋淳教授らは、2018年からiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いた医師主導治験を実施しています。7名のパーキンソン病患者さん(50〜69歳)に対して、健常成人由来のiPS細胞を脳の被殻という部位に移植し、24ヶ月間追跡調査しました。
主な成果
- 安全性の確認:重篤な有害事象や腫瘍形成は認められませんでした。
- 運動機能の改善:6例中4例で運動機能評価スコアが改善しました。
- ドーパミン産生の証明:PET(ポジトロン断層法)を用いた検査で、被殻でのドーパミン神経の活動増加が確認されました。
2. 創薬研究
iPS細胞を使うことで、パーキンソン病患者さんの神経細胞を試験管内で再現し、病気の原因や進行のメカニズムを詳しく調べることができます。
また、iPS細胞で作った神経細胞を使って、新しい薬の効果を試したり、病気の進行を抑える物質を見つけたりします。
iPS細胞技術は、従来の薬物療法では対処困難な患者さんへの根本治療として期待されており、実用化に向けて研究が進んでいます。
参考文献
R. Takahashi, et al.「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を⽤いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」において安全性と有効性が⽰唆.京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ),https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/250417-000000.html(参照 2025-04-17)
順天堂大学. iPS細胞を用いたパーキンソン病の病態解明と創薬. ゲノム・再生医療センター(再生医療研究室)|順天堂大学, https://research-center.juntendo.ac.jp/genome/research/r1/(参照 2025-04-17)
パーキンソン病はどうやって治療をするのでしょうか?
脳内で不足しているドパミンを薬で補う薬物療法が中心です。
脳内で不足しているドパミンを補充するために、L-dopa(脳に取り込まれやすい種類のドパミン)を中心としたさまざまな薬を使います。
L-dopaは発症初期は効き目を発揮しやすいですが、次第に効きにくくなってくるので、その場合は量を増やしたり、飲む回数を増やしたりします。
加えて、脳内のドパミン量を維持するために、さまざまな飲み薬や貼り薬を投与します。
なお、ドパミンの血中濃度が上昇すると、体が勝手にくねくねと動いてしまう運動(ジスキネジア)が出現することがあります。
薬をいくら調整をしてもまったく体を動かせない、もしくはジスキネジアが強すぎて生活ができないといった状態を繰り返す場合は、L-dopa持続経腸栄養療法や脳深部刺激療法といった治療法の適応となることがあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
パーキンソン病の名医の探し方を教えてください。
神経内科専門医でパーキンソン病を専門に診ている病院の医師を探すようにしましょう。
神経内科専門医で、パーキンソン病を専門に診ている病院の医師を探すようにしましょう。
パーキンソン病の診断には、神経内科の専門医が行う診察と、診断の精度をさらに上げるため、脳のMRI検査やドパミン神経の働きを調べる特殊な核医学検査(MIBG心筋シンチ、DATスキャンなど)が用いられます。診断の補助となる頭部MRIや特殊な検査をするには、大きな病院での検査をすることがすすめられます。
Ubieでは以下の「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。
パーキンソン病は何科を受診したらよいですか?
脳神経内科、神経内科を受診しましょう。
診療に専門的な知識が必要な、脳の神経に関わる難病ですので、脳神経内科・神経内科を受診するようにしましょう。
パーキンソン病の専門医がいる近くの病院はありますか?
パーキンソン病の専門医がいる病院を見るパーキンソン病の経過・予後
パーキンソン病で歩行障害がある場合、いつまで歩けますか?
個人差が大きいため、一概に言えません。
パーキンソン病による歩行障害の進行は個人差が大きいため、一概に言えません。
「いつまで歩けるか」を予測することは難しいと言えるでしょう。
しかし、症状を緩和したり、進行を遅らせたりするための治療法があります。
レボドパ製剤やドパミンアゴニストといった治療薬には歩行障害の改善効果が期待できるほか、散歩やストレッチなども運動機能の維持には大切です。
症状で気になることが出てきたら、担当医に伝えるようにしましょう。
すくみ足やちょこちょこ歩きが見られたら、歩行障害が進行しているサインです。
パーキンソン病で寝たきりの場合、余命はどれくらいですか?
全身状態によって大きく異なります。
パーキンソン病で寝たきりの状態になってからの余命は、全身の状態によって大きく異なります。
パーキンソン病そのものが直接命に関わることはまれですが、生命予後は寝たきりになってからの合併症によって左右されます。
病気の進行に伴って起こる誤嚥性肺炎などの感染症が直接の死因となる場合が多いでしょう。
一方で、パーキンソン病の平均余命は一般よりも2~3年短いだけだとされています。
診断後から死亡までの平均期間は6.9年から14.3年という分析結果もありますが、加齢と認知症が死亡率の上昇に影響していると考えられるため、一概には言えないでしょう。
参考文献
厚生労働省 難治性疾患政策研究班.“パーキンソン病(指定難病6)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/169,(参照 2025-04-17).
Angus D. Macleod MRCP et al.“Mortality in Parkinson's disease: A systematic review and meta-analysis”.International Parkinson and Movement Disorder Society.https://movementdisorders.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mds.25898,(参照 2025-04-17).
パーキンソン病の進行速度について教えてください。
人によって異なるため、一概には言えません。
パーキンソン病の進行速度は人によって異なるため、一概には言えません。
進行が速い場合や、進行しないように見える場合もあるでしょう。
年齢や生活習慣、治療への反応性などが進行の早さに影響すると考えられています。
また、治療によって症状を緩和して進行を遅らせることは可能ですが、完治は難しい病気です。
一般的に、初期には手足の震えや筋肉のこわばり、動作の緩慢さなどが現れます。
嗅覚症状やうつ状態などの非運動性の症状も起こることがあります。
病気が進行すると、歩行や姿勢維持の困難、嚥下障害、発語障害なども現れてきます。
パーキンソン病の予防
パーキンソン病の予防法はありますか?
明確な対策は今のところわかっていません。
「これをやればパーキンソン病を予防できる」という対策は、残念ながら今のところ見つかっていません。
ただし、加齢とともに有病率が大きくなることははっきりわかっています。
発症してからの進行を少しでも抑える方法としては、専門医に通院して薬物療法を受けること、リハビリなどの運動をしっかりと行うことが有効です。
対処法・セルフケア
パーキンソン病で息苦しい場合の対処法を教えてください。
深呼吸を楽な姿勢で行うこと、肺炎になっていないかの確認をするために病院受診することが必要です。
深呼吸を楽な姿勢で行うこと、肺炎になっていないかの確認をするために病院受診することが必要です。
パーキンソン病で息苦しさが出る原因としては、筋肉のこわばりや姿勢障害によるものと肺炎によるものの可能性があります。
筋肉のこわばり、姿勢異常
パーキンソン病は筋肉のこわばりや首下がり・腰曲がりなどの姿勢異常が出ることがあります。この場合、呼吸筋がうまく使えなくなり、呼吸をしにくくなり、呼吸が浅くなります。
腰曲がりや首下がりを改善するような姿勢(椅子の背もたれにしっかり背中を付けたり、ベッドに横たわる)でリラックスし、深呼吸をするようにしましょう。
呼吸筋に対するリハビリテーションを行うことも有効です。
また、内服薬の調整をすることで症状が緩和することもあるので、医師に相談しましょう。
誤嚥性肺炎
パーキンソン病の人は喉の動きが悪くなるため、嚥下障害による誤嚥性肺炎になりやすくなります。
発熱などを伴う息苦しさが出ている場合は、それが肺炎によるものである可能性があるので、すぐに病院を受診するようにしましょう。
パーキンソン病に関連するその他の質問
ジスキネジアとジストニアの違いについて教えてください。
ジスキネジアの症状は、全身の不規則に繰り返す運動、ジストニアの症状は、体の硬直、痙攣が多いです。
ジスキネジアは運動の障害という意味で、広い意味では不随意運動(意図せず起きてしまう運動)全般を指します。
このため、ジストニアはジスキネジアに含まれるという捉え方もできます。狭い意味でのジスキネジアとは、主に不規則に繰り返す運動を指していると考えます。ジストニアは意図せず、筋肉が常に緊張している状態になってしまうものです。
具体的には、ジスキネジアでは、繰り返し唇をすぼめる、舌を左右に動かす、口をもぐもぐさせる、口を突き出す、歯を食いしばる、手が勝手に不規則に動く、体幹がくねくね動いてじっとしていられない、などのような不規則に繰り返す運動が症状として多いです。
一方で、ジストニアでは、姿勢異常や、体の一部もしくは全身が硬直(ぎゅーっとこわばり固まってしまう)や痙攣を起こすといった症状が多いです。
このように現れる症状に違いはあるものの、ジスキネジア、ジストニアのいずれにおいても、原因は錐体外路という脳の神経回路が障害を受けることです。
参考文献
水野 美邦. 神経内科ハンドブック 第5版. 医学書院. 2016
梶龍兒. 不随意運動の診かた. 臨床神経生理学. 2015, 43, p.122-141.
監修 日本神経学会. パーキンソン病診療ガイドライン2018. 医学書院. 2018
日本定位・機能神経外科学会.“パーキンソン病とは”.日本定位・機能神経外科学会.https://jssfn.org/patient/disease/parkinson.html#:~:text=%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E7%97%85%E3%81%AE4%E5%A4%A7%E7%97%87%E7%8A%B6&text=%E6%8C%AF%E6%88%A6%E6%89%8B%E8%B6%B3%E3%81%AB%E4%BD%95,%E5%BC%B7%E5%89%9B%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%8C%E3%81%93%E3%82%8F%E3%81%B0%E3%82%8B%E3%80%82,(参照 2024-09-19).
パーキンソン病の仮面様顔貌について教えてください。
顔の表情がなくなり、仮面を被ったような顔貌になることです。
パーキンソン病の仮面様顔貌とは、顔の表情がなくなり、仮面を被ったような顔貌になることです。
パーキンソン病は、全身で筋肉のこわばりの症状が出るため、顔の表情筋もこわばり、表情がなくなるため、仮面をかぶったような顔貌(仮面様顔貌)になります。
それ以外のパーキンソン病の特有の症状として、動作が遅い、手足のふるえ、体のバランスが悪いなどの運動症状が出ます。また、運動症状以外には便秘や起立性低血圧、幻覚などの症状が出ることが知られています。
パーキンソン病の筋固縮や筋強剛について教えてください。
伸ばす、曲げるの筋肉の調整が悪くなり、関節の動きがぎこちなくなり、筋肉のこわばりが出ることです。
パーキンソン病の筋固縮や筋強剛とは、伸ばす、曲げるの筋肉の調整が悪くなり、関節の動きがぎこちなくなり、筋肉のこわばりが出ることです。
パーキンソン病は、脳内の「黒質」と呼ばれる部位のドパミン神経細胞が減少し、神経伝達物質のドパミンが不足することで、さまざまな運動症状が起きます。
筋肉のこわばり以外のパーキンソン病の特有の症状として、動作が遅い、手足のふるえ、体のバランスが悪いなどの運動症状が出ます。
また、運動症状以外には、便秘や起立性低血圧、幻覚などの症状が出ることが知られています。
パーキンソン病で意識がなくなる原因は何ですか?
病気の症状として低血圧が起こる、または薬の副作用として低血圧が起こる可能性などが考えられます。
パーキンソン病で意識がなくなる理由には、病気の症状として低血圧が起こる、または薬の副作用として低血圧が生じる可能性などが考えられます。
- 起立性低血圧: パーキンソン病では、自律神経系の機能が低下して起立性低血圧が起こりやすくなると言われています。一時的な脳への血流が減少し、意識消失の原因となる可能性があります。
- 薬剤の影響:パーキンソン病の治療薬の中には、血圧を下げる作用を持つものがあり、起立性低血圧と同様に、意識消失を引き起こす可能性があります。
意識消失が頻繁に起こる場合は、担当医に相談しましょう。原因を特定して適切な対策をとることが重要です。
高齢者のパーキンソン病の場合、注意することはありますか?
転倒や誤嚥性肺炎、認知症の出現に注意する必要があります。
転倒や誤嚥性肺炎、認知症、薬の副作用の出現に注意する必要があります。
転倒
パーキンソン病に加え、高齢者になってくると、足腰の筋力が衰え、より転倒のリスクが増えていきます。
骨が弱くなり転倒による骨折のリスクも高くなるため、移動の際には注意が必要です。
誤嚥性肺炎
年齢とともに嚥下機能も低下しやすいため、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。飲み込みやすいように工夫した飲食物を取るようにしましょう。
認知症
パーキンソン病は発症経過年数とともに、認知症が出現するリスクが高くなります。また、パーキンソン病における認知症発症リスクは健常成人の6倍との報告もあるため、認知症が発症する可能性が高くなります。薬の管理や日常生活の介助が必要となります。
薬の副作用
パーキンソン病の薬は、高齢者が飲むと体の動きがスムーズになる反面、幻覚や立ちくらみ、日中の眠気などの副作用が出やすくなります。特にふらつきによる転倒には注意が必要です。
パーキンソン病で幻覚がひどい場合、介護者の対応方法を教えてください。
否定するだけではなく「幻覚を見ている」と本人に理解・納得してもらうように心がけましょう。
パーキンソン病で見えている幻覚は、本人は現実だと感じています。
否定するだけではなく「幻覚を見ている」と本人に理解・納得してもらうように心がけましょう。
幻覚によって困っていることを、診察時に忘れずに担当医に伝えてください。
パーキンソン病自体の症状のほか、薬の副作用の可能性があります。
薬物治療中の場合は種類や量の調整が検討されます。
パーキンソン病の治療薬は幻視や幻覚を起こす可能性があると知られており、特にアマンタジン、MAO-B阻害薬、ドパミンアゴニストで生じることが多いとされています。
厚生労働省がiPS細胞を用いた再生医療製品の製造販売を承認しましたが、パーキンソン病に対してどのような効果が期待できますか?
脳内にiPS細胞から作った細胞を移植し、不足したドパミンを補うことで、運動症状の改善が期待できます。
パーキンソン病は、脳の中で身体の動きをスムーズにする「ドパミン」という物質を作る細胞が減ってしまう病気です。これまでは、足りないドパミンを薬で補う治療が中心でしたが、病気が進むと薬の効果が不安定になる課題がありました。
今回承認された再生医療製品は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を利用して、ドパミンを作る「神経前駆細胞」を大量に作製し、それを患者さんの脳(線条体)に直接移植するものです。この治療には、主に以下の効果と特徴が期待されています。
- 運動機能の回復: 移植された細胞が脳内で成熟してドパミンを放出することで、震え、筋肉のこわばり、動作の遅れといった症状を改善します。
- 薬の効果の安定化: 脳内で持続的にドパミンが供給されるようになるため、薬が切れて動けなくなる「ウェアリング・オフ現象」などの軽減が期待できます。
- 長期的な効果の維持: 自分の細胞ではない「他人のiPS細胞」を使用していますが、免疫抑制剤を併用することで、移植した細胞を脳内に定着させ、長期間にわたって効果を持続させることを目指しています。
今回の承認は、京都大学などが実施した治験において、移植後の安全性と、運動機能の有意な改善が確認された(エビデンスに基づいた)結果によるものです。
参考文献
厚生労働省.再生医療・遺伝子治療等について.厚生労働省,https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html(参照 2026-04-10)
名古屋大学医学部附属病院パーキンソン病総合医療センター.お知らせ詳細.名古屋大学医学部附属病院パーキンソン病総合医療センター,https://www.med.nagoya-u.ac.jp/neurology/pdcenter/news/article.html?slug=2026-02-25-ips-transplant-amschepli(参照 2026-04-10)
京都大学医学部附属病院.パーキンソン病に対するiPS細胞由来ドパミン神経細胞治療についてのお知らせ.京都大学医学部附属病院,https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/info/20260306.html(参照 2026-04-10)
パーキンソン病の場合、薬を飲まないとどうなりますか?
薬を飲まないなど、自己判断で服薬を中止するとパーキンソン病の症状が悪化してしまいます。
パーキンソン病と診断されているにもかかわらず、適切に薬を飲まない場合は悪性症候群を起こす可能性があります。
悪性症候群を起こさずに済んだとしても、症状が悪化し動けなくなってしまうこともあります。
風邪をひいてご飯が食べられなくとも、薬は飲みましょう。自己判断での中断はせず、薬を飲むのが難しい時は必ずすぐに主治医に相談しましょう。
悪性症候群とは、高熱、意識障害(呼びかけへの反応が悪いなど)、興奮状態、強い筋肉の硬直(全身がガチガチに固くなる)、不随意運動(体が勝手に動いてしまう)などが起こるもので、パーキンソン病の薬を急激に減らしたりやめたりした場合にも起こることがあります。
パーキンソン病になりやすい性格はありますか?
真面目で几帳面な人に多いと言われますが、証明されているわけではありません。
パーキンソン病になりやすい性格として、真面目で几帳面な人に多い、融通の利かない人に多い、一人を好む人に多い、など色々言われていますが、証明されてはいません。
実際に患者さんを拝見していると、確かに真面目で几帳面な方は多い印象はあります。
脳の病気はそれぞれ、医師たちの間では「この病気らしい性格」というものがありますが、いずれも証明されているわけではありません。
また、喫煙者に少ない、カフェインを摂取している人に少ないなどの環境因子も研究されていますが、現時点では賛否両論といったところです。
パーキンソン病の場合、家族の対応方法を教えてください。
家の中の環境を調整し、内服の管理や見守り、気持ちに寄り添い、病院受診の付き添いをするようにしましょう。
家の中の環境を調整し、内服の管理や見守り、気持ちに寄り添い、病院受診の付き添いをするようにしましょう。
パーキンソン病の特有の症状として、筋肉のこわばり、動作が遅い、手足のふるえ、体のバランスが悪いなどの運動症状が出ます。それ以外に、便秘や起立性低血圧、抑うつ症状・幻覚などの症状が出ることが知られています。
運動症状により、動きが悪くなり、狭いところや足場の悪いところで転倒しやすくなるため、自宅や屋外での環境調整が必要となってきます。抑うつ症状も出ることがあるため、家族の方は精神的な寄り添いも必要となります。
また、パーキンソン病の薬をきちんと内服することも、症状の安定化には重要となってきますので、家族の方は病院受診に付き添い、医師に療養で重要なことを聞くようにしましょう。
パーキンソン病の場合、筋力低下が起こるのはなぜですか?
上手く体を動かすことができなくなった結果、筋力低下や筋の痩せが起きます。
上手く体を動かすことができなくなった結果、筋力低下や筋肉の痩せが起きます。
パーキンソン病では、筋肉のこわばり、動作が遅い、手足のふるえ、体のバランスが悪いなどの運動症状が出ます。このような症状が継続することで、全身の筋肉がうまく使えなくなり、その結果、筋肉が痩せ、筋力低下が起きます。
パーキンソン病の人は、筋力の維持をするために、リハビリテーションをすることが重要になります。リハビリテーションには、ストレッチ、筋力トレーニング、日常生活動作訓練などがあります。
パーキンソン病が治る時代はいつ来ますか?
現在、根本治療はありませんが、パーキンソン病の研究は常に進歩しています。
残念ながら、現在は根本治療はありませんが、パーキンソン病の研究は常に進行しているので、そのような時代が来ることを期待したいです。
現在、パーキンソン病の新薬として、アムシェプリⓇ(一般的名称:ラグネプロセル)という薬が、2026年3月に日本で製造販売を承認されました。アムシェプリは、他人由来のiPS細胞からつくった、ドーパミンを出す神経細胞のもとになる細胞です。
この薬を頭蓋骨に小さな穴を開け、体の動きを調節する脳の被殻と呼ぶ部位の複数箇所に注入します。注入した細胞がドーパミンを出す神経細胞になり、脳内で分泌が増えることで症状を改善する効果がある薬です。
パーキンソン病と自律神経障害の関係性を教えてください。
便秘や起立性低血圧症などの自律神経障害が、パーキンソン病では起きることがあります。
便秘や起立性低血圧症などの自律神経障害が、パーキンソン病では起きることがあります。
パーキンソン病は、自律神経の神経全体に障害をきたしていることが知られており、このため、起立性低血圧、便秘、排尿障害、発汗障害、性機能障害などが出ます。それぞれの症状に対して、個々に治療していくことになります。
パーキンソン病は脳内の「黒質」と呼ばれる部位のドパミン神経細胞が減少し、神経伝達物質のドパミンが不足することで、筋肉のこわばり、動作が遅い、手足のふるえ、体のバランスが悪いなどの運動症状が出ます。
パーキンソン病の薬にはどのようなものがありますか?
L-dopa製剤やドパミンアゴニストなどのパーキンソン病の症状を和らげる薬があります。
L-dopa製剤やドパミンアゴニストなどのパーキンソン病の症状を和らげる薬があります。
L-dopa製剤
脳内で不足している神経伝達物質「ドパミン」を補うための薬です。
ドパミンアゴニスト
脳内のドパミン受容体を直接刺激し、不足しているドパミンの働きを補う薬剤です。
ドパミンの分解を抑える薬
脳内や血液中でのドパミンの分解を遅らせ、効果を長持ちさせる薬です。
- MAO-B阻害薬: 脳内でドパミンの分解を抑えます(アジレクト、エフピーなど)。COMT阻害薬: 血液中でL-ドパが分解されるのを防ぎます(コムタンなど)
その他の補助的な薬
- ドパミン遊離促進薬
- アマンタジン塩酸塩:ドパミンの放出を助け、不随意運動(ジスキネジア)を抑えます(シンメトレルなど)
- 抗コリン薬:ドパミンと他の神経のバランスを整え、ふるえやよだれに効果的です(アーテン、パーキンなど)
- アデノシンA2A受容体拮抗薬:進行期の薬の効果が切れる時間(オフ時間)を減らす効果があります(ノウリアストなど)
パーキンソン病の場合、自動車の運転はできますか?
できますが、危険が伴う場合は中止せざるを得ないこともあります。
パーキンソン病の場合、自動車の運転はできますが、危険が伴う場合は中止せざるを得ないこともあります。
以下の場合、運転をすることを避けなければいけません。
- 認知機能低下がみられる場合
- 眠気が出るような薬を内服している場合
などです。
パーキンソン病における認知症発症リスクは健常成人の6倍との報告もあります。認知症になると、運転に必要な判断能力が低下し、危険運転を起こすこともあり得ます。
また、パーキンソン病の治療薬の中で、プラミペキソールやロピニロール、貼付薬のロピニロールやロチゴチン、自己注射薬のアポモルヒネは、運転中に突然入眠して事故を起こす「突発的睡眠」が起こることがあるため、服薬中は運転しないよう警告が出されています。
パーキンソン病とうつ病は併発しますか?
パーキンソン病とうつ病は、併発する可能性があります。
パーキンソン病とうつ病は併発する可能性があり、パーキンソン病患者さんの約40%にうつ病の症状がみられるという報告もあります。
原因としては、
- パーキンソン病による脳内の神経伝達物質の変化が、感情や意欲の調整にも影響を与えるため
- 病気の受容や症状の進行がなかなか受け入れられないため
- 大うつ病を合併しているため
などが考えられています。
パーキンソン病にうつ病を併発すると、運動症状だけでなく、意欲低下、気分の落ち込み、睡眠障害などが現れ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
パーキンソン病の治療にあたっては、運動症状の管理に加えてうつ病の症状にも注意しなければなりません。
うつ病の治療には薬物療法や精神療法などがありますが、パーキンソン病患者さんのうつ病治療の際は、パーキンソン病の症状に影響を与えないように、薬の種類や量を慎重に調整する必要があります。
参考文献
日本神経学会.“パーキンソン病の運動症状と非運動症状”..https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdgl/parkinson201807.pdf,(参照 2025-04-17).
村田 美穂ほか.“4.パーキンソン病とうつ”.J-Stage.https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/50/6/50752/pdf,(参照 2025-04-17).
厚生労働省 難治性疾患政策研究班.“パーキンソン病(指定難病6)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/169,(参照 2025-04-17).
パーキンソン病を介護する場合に注意することを教えてください。
転倒によるケガや他の病気を合併しないように気を配ります。
患者さんが転倒によるケガや他の病気を合併しないように気を配ります。
躓きそうなものを片付ける、家に手すりを取り付ける、といった工夫を取り入れましょう。
また、誤嚥を起こさないように飲み込みやすい食事を用意したり、できる範囲での散歩やストレッチを促せると良いです。
健康や姿勢の維持には、運動、睡眠、食事と服薬管理を適切に行う必要があります。
また、幻視や幻覚などの症状が起こっている場合、本人を否定するのではなく、「幻覚を見ている」と理解し、納得してもらえるように心がけましょう。
症状に変化がある場合は担当医に相談し、適切に対処できるようにします。
介護する人の負担もなるべく軽くなるように、適宜公的サービスの利用も検討しましょう。
ジスキネジアとパーキンソン病は関連していますか?
パーキンソン病そのものやパーキンソン病治療薬の副作用によって、ジスキネジアになることがあります。
ジスキネジアは、脳内で行われるドパミンによる運動調節がうまく行われていないことによって、勝手に体が動いてしまう症状のことです。
パーキンソン病そのものによっても、パーキンソン病治療薬の副作用によっても、ドパミンによる運動調節が障害を受けることがありますが、多くは治療薬の副作用によるものです。薬を服用した時間と症状が出るタイミングの関係は人によって異なります。
そのため、薬を入れてからすぐなのか、薬が切れかけている時かなど、どのようなタイミングで症状が出ているのかを確認することが必要です。
そのうえで、原因となっている薬の中止や減量、用量や服用回数の調整、薬の変更などを検討していきます。
参考文献
水野 美邦. 神経内科ハンドブック 第5版. 医学書院. 2016
梶龍兒. 不随意運動の診かた. 臨床神経生理学. 2015, 43, p.122-141.
監修 日本神経学会. パーキンソン病診療ガイドライン2018. 医学書院. 2018
日本定位・機能神経外科学会.“パーキンソン病とは”.日本定位・機能神経外科学会.https://jssfn.org/patient/disease/parkinson.html#:~:text=%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E7%97%85%E3%81%AE4%E5%A4%A7%E7%97%87%E7%8A%B6&text=%E6%8C%AF%E6%88%A6%E6%89%8B%E8%B6%B3%E3%81%AB%E4%BD%95,%E5%BC%B7%E5%89%9B%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%8C%E3%81%93%E3%82%8F%E3%81%B0%E3%82%8B%E3%80%82,(参照 2024-09-19).
パーキンソン病は難病指定されていますか?
パーキンソン病は難病指定されています。
はい、パーキンソン病は国の定める指定難病となっております。
症状がある一定以上と診断されている場合は、難病医療費助成を受けることができます。
また、介護保険でのサービスを利用していると本来はリハビリテーションも介護保険の範囲内でとされています。しかしパーキンソン病の場合はリハビリテーションがとても大切とされていることもあり、難病指定を受けることで医療保険でのリハビリテーションを受けることもできるようになります。
それぞれ細かな規定はありますので、主治医や市区町村・ソーシャルワーカーなどに相談してください。
パーキンソン病は遺伝しますか?
通常ほとんど遺伝しませんが、若年性のものの一部は家族で遺伝する場合があります。
パーキンソン病は基本的に遺伝する病気ではなく、遺伝性のものは5〜10%と言われています。
ただし、若年性のものの一部は、家族で遺伝することが知られています。
パーキンソン病の発病に関係する遺伝子として、PARK遺伝子をはじめとするさまざまな遺伝子が知られていますが、それらの遺伝子があったとしても全員が発症するわけではありません。
なぜパーキンソン病になるのでしょうか?
脳の黒質という部位にある神経細胞に異常が起き、脳内でドパミンという物質が不足することで発症します。
脳の黒質と呼ばれる部位の神経細胞が、なんらかの異常によって減少することが、パーキンソン病の原因と言われています。
脳の黒質から線条体という部位にかけて存在する神経細胞には、ドパミンという神経伝達物質をつくり出すはたらきがあります。
このドパミンが減少してしまうと、動きが遅くなったり体のこわばりが強くなったりといった症状が出ます。
パーキンソン病の治療は、このドパミンを補充することがメインになります。
パーキンソン病とパーキンソン症候群との違いはなんですか?
パーキンソン病と症状がよく似ているがパーキンソン病ではない病気を「パーキンソン症候群」と総称します。
パーキンソン症候群は、パーキンソン病とよく似た症状をきたす病気の総称で、さまざまな疾患を含みます。
なかにはパーキンソン病と区別することが困難な病気もあります。
パーキンソン症候群の代表的な病気としては、
- 正常圧水頭症
- 薬剤性パーキンソニズム
- 大脳基底核変性症
- 進行性核上性麻痺
- 多系統萎縮症
- レビー小体型認知症
が挙げられます。
最初の2つの疾患(正常圧水頭症、薬剤性パーキンソニズム)は、治療や薬の変更で治る可能性があります。
進行性核上性麻痺は、タイプによってはパーキンソン病とたいへんよく似ており、しばしば区別することが難しいです。
パーキンソン病について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「パーキンソン病」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 手指に細かいふるえがありますか?
- 最近、転倒しやすくなったと感じていますか?
- 手の指や全身の震えがありますか?
- 前より歩きにくくなったように感じますか?
- 筋肉が硬く、他人が肘や膝を曲げようとしても上手く曲げられないですか?
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この記事の監修医師
原瀬 翔平
亀田総合病院 脳神経内科・内科
University of Washington (理学部、分子細胞生物学) 卒業後、アップルジャパン株式会社勤務を経て、琉球大学医学部に入学。沖縄県立中部病院での初期臨床研修(2016, 2017年度最優秀研修医賞受賞)修了後、2018年4月に亀田総合病院に入職。同院脳神経内科ベスト指導医(2019, 2020)を受賞。2018年から亀田総合病院卒後研修センター長補佐も兼任しており、臨床だけでなく研修病院における医学教育にも力を入れている。2021年には国立循環器病研究センター脳血管内科で超急性期脳卒中診療を行う。 総合内科の視野を持ちながらの脳神経内科領域、特に脳卒中を専門とする。急性期だけでなく予防、慢性期脳卒中による症候性てんかん、高次脳機能評価、リハビリ、等にも精通。頭痛、しびれ、物忘れ等の主訴にも柔軟に対応できる。 日本語、英語(ネイティブ)、中国語(日常会話)での対応も可能。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/08/13