iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の研究の内容について教えてください。
iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の研究には、細胞移植療法と創薬研究の2つが挙げられます。
iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の研究は、主に細胞移植療法と創薬研究の2つの方向性で進められています。
最新の臨床治験では、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が2025年4月に画期的な成果を報告しています。
1. 細胞移植療法
パーキンソン病は、脳内のドーパミンを作る神経細胞が減ってしまう病気です。そこで、iPS細胞から作ったドーパミン神経細胞を患者さんの脳に移植し、失われた機能を補おうというのが細胞移植療法です。
京都大学の髙橋淳教授らは、2018年からiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いた医師主導治験を実施しています。7名のパーキンソン病患者さん(50〜69歳)に対して、健常成人由来のiPS細胞を脳の被殻という部位に移植し、24ヶ月間追跡調査しました。
主な成果
- 安全性の確認:重篤な有害事象や腫瘍形成は認められませんでした。
- 運動機能の改善:6例中4例で運動機能評価スコアが改善しました。
- ドーパミン産生の証明:PET(ポジトロン断層法)を用いた検査で、被殻でのドーパミン神経の活動増加が確認されました。
2. 創薬研究
iPS細胞を使うことで、パーキンソン病患者さんの神経細胞を試験管内で再現し、病気の原因や進行のメカニズムを詳しく調べることができます。
また、iPS細胞で作った神経細胞を使って、新しい薬の効果を試したり、病気の進行を抑える物質を見つけたりします。
iPS細胞技術は、従来の薬物療法では対処困難な患者さんへの根本治療として期待されており、実用化に向けて研究が進んでいます。
東日本橋内科クリニック 一般内科
平松 由布季 監修
(参考文献)
R. Takahashi, et al.「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を⽤いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」において安全性と有効性が⽰唆.京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ),https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/250417-000000.html(参照 2025-04-17)
順天堂大学. iPS細胞を用いたパーキンソン病の病態解明と創薬. ゲノム・再生医療センター(再生医療研究室)|順天堂大学, https://research-center.juntendo.ac.jp/genome/research/r1/(参照 2025-04-17)
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