手足の震えはあるものの、MRI異常なしで治療も手探り状態です。どう対処すれば良いでしょうか?

質問者のイラスト

70代女性のご相談

家族の一人が長期間にわたり手足の震えに悩まされており、最初はパーキンソン病の可能性があると疑われました。しかし、薬による治療は行われず、うつ病の治療に重点が置かれました。その結果、症状が悪化してしまいました。この半年で二度、脳神経内科を受診し、MRI検査を含む診察の結果、脳には異常が見つからないという判断でした。最初の受診時には薬の量を減らすなどの対応が行われましたが、二度目の受診時には副作用の出る薬は処方されていないとのことで、具体的な対応策が見つからない状況です。 症状は依然として改善せず、非常に困っています。どのように対処すれば良いか、ご助言をいただければ幸いです。
医師の回答

ご家族の症状についてお話しいただき、ありがとうございます。手足が意図せず動くという症状が薬を飲んでも良くならない状況とのことで、非常に不安を感じておられることと思います。以下にいくつかの可能性について説明いたします。

ご症状について

まず、手足が意図せず動く症状は、医学的には不随意運動と呼びますが、その動きの中でも「震える」という動作の場合を「振戦」と呼びます。振戦は、その発症様式によって大きく2つ、安静時振戦(じっと動かないでいる時に震える)と、動作時振戦(じっとしている時には震えないが、ある特定の姿勢を保ったり、手足を動かす時に震える)に分けられます。それぞれで疑う病気が異なってきます。

考えられる病気について

安静時振戦の場合、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群を疑うことがあります。しかし、抗パーキンソン病薬があまり効果がない場合は、パーキンソン病以外の病気(パーキンソン症候群を含む)を考えることになります。

本態性振戦

これは、特に高齢者に多い手足の震えの一つで、特定の動作をするときに震えが強くなることがあります。治療には薬物療法(パーキンソン病の薬ではなく、β遮断薬という高血圧や心臓の病気に使われる薬が効果があります)が一般的です。

薬剤性振戦、薬剤性パーキンソニズム

服用している薬が原因で手足が震えることがあります。特に精神科の薬は副作用として振戦を引き起こすことが多いですが、精神科の薬に限らず、副作用で振戦を起こす薬はいくつかあるため、現在の内服している薬のリストを医師あるいは薬剤師に確認してもらうのが良いでしょう。

パーキンソン症候群

パーキンソン症候群とは、パーキンソン病に似た症状を呈する、いくつかの疾患の総称です。例えば、脳血管性パーキンソニズム、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症などが挙げられます。これらの病気は、抗パーキンソン病薬の効果が乏しい場合があります。MRI検査では異常がなかったとのことですが、初期の場合は異常に気付きづらいこともあり、詳しい病歴(どのように症状が進行してきたか)や神経に関する診察が、診断の手掛かりになることが多いです。

小脳の病気

人間の脳は、大きく大脳と小脳とに分かれますが、小脳に異常がある場合は、手足を動かした時に振戦があらわれることがあります。手の動かす先をうまく定められずブレてしまう、といった症状です。その原因として、多発性硬化症、脳卒中、腫瘍、変性疾患、炎症性疾患、ウィルソン病などが挙げられます。しかし、MRIで異常がなかった場合は、これらの疾患の可能性は低くなってくるでしょう。

機能性振戦

精神的なストレスや不安が身体的な症状として現れることがあり、機能性振戦と呼ばれています。うつ病や不安障害を持つ方に見られる傾向があります。うつ病の治療が進むことで、手足の震えが改善する可能性もあります。他には、心理療法やリハビリテーションが有効な場合があります。

内分泌疾患による振戦

甲状腺機能亢進症などのホルモンの異常でも振戦が生じることがあります。他には、動悸や発汗、体重減少、黄疸、下痢など様々な症状を伴うことがあります。甲状腺の機能は血液検査で調べることができます。

これらの疾患を鑑別するためには、やはり脳神経内科医の診察が必要です。現在の主治医以外の専門医から意見を聞くことができる仕組みとして「セカンドオピニオン制度」があります。主治医に情報提供書を作成してもらい、別の医療機関のセカンドオピニオン外来を受診することをご検討ください。

まとめ

ご家族の手足の震えについて、いくつかの可能性を考慮しました。パーキンソン病以外にも、本態性振戦や薬剤性振戦、精神的な要因、他の神経疾患や内分泌疾患などが考えられます。お近くの脳神経内科は、こちらから検索できます。セカンドオピニオン外来を設けている医療機関は、大学病院やそれに準ずる規模の総合病院であることが多いです。

ご家族の健康が一日も早く改善されることをお祈りしております。

もっとくわしく調べるには

この記事では一般的な医療情報をご紹介しています。一方で、医療AIパートナー「ユビー」を使うと、あなたの病状や状況に合わせて、より具体的で役立つ情報をお伝えできます。

ユビーAIパートナー

手足の震えはあるものの、MRI異常なしで治療も手探り状態です。どう対処すれば良いでしょうか?の悩みにユビーが答えるよ🌱

まずは気になる項目を選んでください

利用規約プライバシーポリシーに同意のうえご利用ください。

公開日

相談日

初めての方へ

ユビー病気のQ&Aとは?

現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。

病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラ
無料で症状を調べる
医療AIに不調を相談

医療AIパートナー ユビー

24時間いつでも健康の悩みを気軽にチャットで相談できるあなただけの医療AIパートナー。なんとなく不調な時や人に相談しづらい悩みがあるときも、どんな相談もOKです

無料で症状を調べる
症状を調べる

症状検索エンジン「ユビー」

体調に不安がある、医療機関への受診を考えている方向けに、20〜30問程度の質問に答えることで、あなたに関連性のある病名や、適切な受診先を無料で調べられます。

医療機関を探す
医療機関を探す

お近くの病院をお探しの方へ

「受診科が分からない」「どの医療機関に行ったらいいか分からない」といった悩みは、ユビーの病院検索が便利です。近所の病院も探せるので、ぜひご利用ください。

治療法を調べる
治療法を調べる

治療案内ユビー

自身の治療情報を登録することで、治療の選択肢や使っている薬についてなど、あなたの参考になりそうな治療情報を調べられる機能です。

ネットで医師相談
ネットで医師相談

ユビーかんたん医師相談

病院にすぐに行くべきかなど悩んだタイミングですぐに相談。つらくて病院に行けないとき、時間がないとき、夜間や休日などに、いつでも医師に相談できます。