流行性耳下腺炎(おたふく風邪)
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/01/16
- 公開日
- 2020/09/03
おたふく風邪とは
耳の下の唾液腺が腫れて痛む病気です。ウイルス感染症であり、潜伏期間が長いのが特徴ですので、周囲の人への感染が起こっている可能性があります。治療法はありません。通常1-2日ほどで耳の下の腫れはおさまります。髄膜炎を合併し重症化したり、まれに後遺症として難聴になる可能性があります。
おたふく風邪とはどのような病気ですか?
おたふく風邪は、ムンプスウイルスによる感染症で、耳下腺が腫れる病気です。
おたふく風邪の正式名称は流行性耳下腺炎(ムンプス)です。広く一般的には、おたふく風邪という名称で知られています。
おたふく風邪は、ムンプスウイルスによる感染症で、主に唾液からの飛沫を吸い込んだり、唾液で汚染されたものと接触したりすることで感染します。
おたふく風邪の特徴は、耳下腺という耳の下にある唾液を作る臓器に炎症が起こって腫れ上がることです。通常は1週間程度で治ります。
子供が感染することが多いですが、大人でも感染することがあり、重症化しやすい傾向があります。.png?w=534&h=272)
おたふく風邪の症状
おたふく風邪と症状が似ている他の病気はありますか?
片側の耳下腺の腫れを繰り返す、反復性耳下腺炎と症状が似ています。
片側の耳下腺の腫れを繰り返す、反復性耳下腺炎(はんぷくせいじかせんえん)という病気があります。耳下腺が腫れる症状が、小児に患者が多いおたふくかぜとよく似ています。
反復性耳下腺炎の特徴は、口の中の常在菌が耳下腺に感染を起こすことで耳下腺炎を繰り返すことです。おたふくかぜは一度かかると抗体が産生され、基本的には再度感染しませんが、反復性耳下腺炎は繰り返すところに違いがあります。
おたふく風邪の初期症状としては、どのようなものが見られますか?
発熱や片側の耳の下の腫れが見られます。
おたふくかぜの発症初期は、片側の耳の下の急激な腫れや発熱症状があることが多いです。その後は両側が腫れることが多いですが、約25%の方は片側のみの腫れに留まります。
おたふく風邪では、どのような症状が見られますか?
片側または両側の耳の周りにある耳下腺の腫れと、発熱が主な症状です。
おたふくかぜの主な症状は、発熱と耳下腺の腫れです。
発熱
約80%の方に発熱がありますが、3~4日程度で解熱することが多いです。
耳下腺の腫れ
耳下腺が片側から腫れ、次第に両側が腫れてきます。両側が腫れることが多いですが、約25%の方が片側のみ腫れます。
腫れは3~4日でピークを迎え、1週間ほどで腫れが引きます。
なお、頻度は多くありませんが、以下の症状がある場合、髄膜炎や膵炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴などの合併症が疑われます。
髄膜炎の症状
強い頭痛、吐き気
膵炎の症状
強い吐き気、腹痛、下痢
睾丸炎の症状
睾丸の腫れや痛み
卵巣炎の症状
腹痛
難聴の症状
片側の難聴
おたふく風邪の検査・診断
おたふく風邪の診断の際には、どのような検査を行いますか?
採血でムンプスウイルスの抗体価を測定します。
採血で以下の項目を測定することがあります。
ムンプスウイルスの抗体価
IgMとIgGという2種類のムンプスウィルスの抗体価を調べることで、以前おたふくかぜにかかったことがあるか、あるいは現在かかっているかどうかを判断します。
血清アミラーゼ
耳下腺に炎症があるかどうかを確認する目的で、測定することがあります。
また、耳の下が腫れる別の病気が考えられる場合には、耳下腺の超音波検査などを行うことがあります。
おたふく風邪は、どのようにして診断しますか?
問診と、耳下腺の腫れなどの身体診察を行った上で、採血で抗体の確認をして診断します。
問診と身体診察を行った上で、採血で抗体の確認を行い、診断します。
問診
以下のような項目について聞き取りを行います。
- 耳下腺の腫れがあるかどうか
- その他の症状はどのようなものがあるか
- これまでおたふくかぜにかかったことがあるか
- ムンプスウイルスのワクチン(おたふくワクチン)を接種したことがあるか
- 周囲でおたふくかぜが流行していないか
身体診察
以下のようなポイントを目視でチェックします。
- 耳下腺の腫れ具合
- 口の中の様子
採血
採血を行って、以下のような数値をチェックして診断の参考にします。
- ムンプスウイルスの抗体価(免疫があるかどうかを判断する値)
- 血清アミラーゼの値(唾液腺や耳下腺の炎症があるかどうかを判断する値)
おたふく風邪の治療・対処法
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)への対処法は?
痛み止めなどで対応します。とくに酸っぱいものを食べると痛みがひどくなることが多いので、避けると良いでしょう。痛みのせいで水分が取れないなどの場合は、受診を検討してください。また感染力が強く、出席停止の期間が決まっています。症状が改善しても、登園・登校の前には必ず診察を受けてください。
治療を開始してから治るまでの流れが知りたいです。
3~4日で熱が引き、1週間程度で腫れが治まることがほとんどです。
医療機関でおたふくかぜの診断を受けた後、症状が改善するまで自宅で安静に過ごします。
耳の下の腫れは3~4日ほどでピークとなり、1週間程度で改善することが多いです。
熱は約3~4日で引くことがほとんどです。
おたふく風邪に対しては、一般的にどのような治療を行いますか?
症状を和らげるような対症療法が基本になります。
おたふくかぜの原因であるムンプスウイルスそのものに対して使用可能な抗ウイルス薬は、現在のところありません。
発熱や痛みがある場合には、解熱鎮痛剤を使用するなどの対症療法を行うのが基本です。
受診の目安・何科を受診するべきか
おたふく風邪が疑われる時は、どの診療科を受診したらよいですか?
子供の場合は小児科、大人の場合は内科もしくは耳鼻咽喉科を受診してください。危険な合併症が疑われる際は、救急外来を受診しましょう。
子どもの場合は小児科、大人の場合は内科のかかりつけを受診しましょう。
ただし、耳下腺の詳しい検査が必要な場合は、耳鼻咽喉科の受診が適していることもあります。また、おたふくかぜにかかると1,000人に1人程度の確率で耳が聞こえにくくなることがあります。そのような場合は聴力の検査をする必要があるため、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
なお、頭痛や腹痛、吐き気などがある場合には、髄膜炎や膵炎など危険な病気を合併している可能性が高いため、救急外来を受診してください。
医療機関を受診する目安はありますか?
耳の下が全体的に腫れている場合には、なるべく早めに医療機関を受診してください。
耳の下が全体的に腫れる場合、おたふくかぜである可能性が高いです。
おたふくかぜは学校保険法における第二種の学校伝染病に指定されており、出席停止が必要な病気です。なるべく早めに医療機関を受診し、医師の診断を受けましょう。
おたふく風邪を放置するとどうなりますか?
自然に治ることが多いですが、早めに診断を受けて周囲に感染を広げないことが大切です。
おたふくかぜは1週間程度で自然に治ることが多い病気です。ただし、原因ウイルスが唾液などを介して周囲に感染するため、早めに診断を受けて、外出を避けるなどの感染防止対策をすることが大切です。
また、以下の症状がある場合にはさらに詳しい検査や治療が必要です。主治医の先生に必ず伝えるようにしてください。
- 激しい頭痛
- 腹痛
- 吐き気
- 睾丸の腫れ
- 難聴
参考文献
森山 寛. 今日の耳鼻咽喉科・頭頸部外科治療指針 第4版. 医学書院, 2018.
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の専門医がいる近くの病院はありますか?
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の専門医がいる病院を見るおたふく風邪の薬
一般的にどのような薬を飲んで治療しますか? 副作用はありますか?
発熱や痛みに対して解熱鎮痛剤を使用します。胃腸障害などの副作用を伴う薬があります。
おたふくかぜの原因ウイルスであるムンプスウイルスそのものに対する抗ウイルス薬は、現在のところありません。
対症療法として、発熱や痛みなどの症状を緩和するために、ロキソニンやカロナールなどの解熱鎮痛剤を使用することがあります。
なお、ロキソニンには胃腸障害の副作用があり、腹痛を起こすことがあるため注意が必要です。
おたふく風邪の予防
おたふく風邪を予防する方法はありますか?
おたふくかぜはワクチンで予防できる病気です。
おたふくかぜの原因ウイルスに対するワクチンを接種することで、100%ではありませんが、おたふくかぜの予防ができます。
また、ワクチンを接種していれば、もしおたふくかぜになってしまったとしても、膵炎や髄膜炎、難聴などの合併症のリスクを軽減できます。
日本小児科学会では「1歳になったら早めに」「小学校入学前の1年間」という2回のタイミングでのワクチン接種を推奨しています。
なお、大人でもワクチン接種は可能です。
対処法・セルフケア
おたふく風邪の治療中に、日常生活で気をつけることは何でしょうか?
周囲に感染を広げないためにも外出は避けましょう。耳下腺への負担を避けるため、食事の内容にも注意しましょう。
おたふくかぜの原因ウイルスであるムンプスウイルスは、唾液からの飛沫や接触により、周囲に感染が広がります。耳の下の腫れが改善するまでは外出を避け、自宅で安静に過ごしましょう。
また、耳下腺の負担を軽減することを目的として以下のような食生活を心がけましょう。
- 刺激物を避ける
- 消化によいものを選ぶ
- あまり噛まずに食べられるものを選ぶ
おたふく風邪に関連するその他の質問
おたふく風邪は、どのような人がなりやすい病気ですか?
3〜6歳くらいの子供がなりやすい病気です。
おたふくかぜ患者の85%は、15歳以下の子供と言われています。0歳は少ないですが、年齢とともに患者数が増加し、4歳がピークとなります。患者数の約60%を3~6歳が占めるとされています。
また、おたふくかぜの原因となるムンプスウイルスに対するワクチンを接種していない方は、ワクチン接種済の方と比べて、おたふくかぜになりやすいです。
なお、ワクチンによって約90%の方が抗体を獲得できますが、ワクチンを受けていても発症する方もいます。
参考文献
森山 寛. 今日の耳鼻咽喉科・頭頸部外科治療指針 第4版. 医学書院, 2018.
おたふく風邪について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「流行性耳下腺炎(おたふく風邪)」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 耳の下を押したときに痛みが悪化しますか?
- 体温は37.5℃以上ですか?
- 耳の前下部からあごにかけて腫れていると感じますか?
- 体の一部に熱をもっている部分がありますか?
- 頭痛がありますか?あるいは頭が重いですか?
おたふく風邪に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/01/16
- 公開日
- 2020/09/03