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子どもの夏風邪と「プール熱」の違い|予防と家庭ケア
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子どもの夏風邪と「プール熱」の違い|予防と家庭ケア

井上 信明監修者

埼玉医科大学総合医療センター 小児科

井上 信明

夏風邪にはプール熱・ヘルパンギーナ・手足口病などがあり、それぞれ原因ウイルスや症状が異なります。

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夏風邪とは|子どもに多い3つの感染症

夏風邪とは、主に夏に流行するウイルス感染症の総称です。代表的なものに、プール熱(咽頭結膜熱)ヘルパンギーナ手足口病の3つがあります。このうち手足口病とヘルパンギーナは、いずれも患者さんの約9割が5歳以下の子どもです[IASR. 2017;38(10).]。原因ウイルスや症状がそれぞれ異なるため、違いを知っておくと家庭でのケアに役立ちます。

プール熱・ヘルパンギーナ・手足口病の症状の違い

プール熱(咽頭結膜熱)はアデノウイルスが原因です。39〜40℃の高熱喉の痛み、目の充血(結膜炎)が主な症状で、3〜7日間ほど続きます。主な症状が治まったあとも2日経過するまでは保育園や学校を休む必要があります(出席停止)[日本小児科学会. 予防すべき感染症の解説. 2025.]。

ヘルパンギーナは、主にコクサッキーウイルスのA群やB群が原因です。突然38〜40℃の高熱が出て1〜3日間続きます。口の奥(口蓋=こうがい)に1〜5mmの小さな水ぶくれができるのが特徴です。1歳台の子どもに最も多く、毎年5月頃から増え始め7月頃にピークを迎えます[国立健康危機管理研究機構. ヘルパンギーナ(詳細版).]。

手足口病は、コクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71などが原因です。口の中、手のひら、足の裏に2〜3mmの水ぶくれが現れます。発熱は約3分の1の子どもにみられる程度で、あっても38℃以下と軽いことがほとんどです。4歳くらいまでの幼児に多く、2歳以下が半数を占めます[国立健康危機管理研究機構. 手足口病(詳細版).]。

このように、高熱に喉の痛みと目の充血が加われば プール熱、高熱に口の奥の水ぶくれが加わればヘルパンギーナ、手足と口の水ぶくれで熱が軽ければ手足口病が疑われます。ただし、実際の判断は医師によるものですので、気になる症状がある場合は医療機関への受診をご検討ください。

夏風邪の原因ウイルスと感染経路

プール熱の原因であるアデノウイルスは、物理的・化学的な抵抗性が高く、物の表面や水の中でも長く生き残りやすい性質があります。小児や免疫の働きが低下している方では重症化しやすい傾向が報告されており、予防が最も信頼性の高い対策とされています[Eur J Microbiol Immunol (Bp). 2014;4(1):26-33.]。

ヘルパンギーナと手足口病は、原因ウイルスに共通点があります。どちらもエンテロウイルスというウイルス群に属するウイルスが主な原因となりますが、流行する型は年ごとに変わります。手足口病には、およそ2年おきに大きな流行が起きるパターンがみられます[IASR. 2017;38(10).]。

3つの感染症に共通する主な感染経路は、飛沫感染(咳やくしゃみの飛沫を吸い込むこと)と接触感染(ウイルスが付いた手や物を介して広がること)です。プール熱ではさらにプールの水を介した感染経路も報告されています[日本小児科学会. 予防すべき感染症の解説. 2025.]。ヘルパンギーナと手足口病では、便を介した感染(糞口感染)も重要な経路となっています[国立健康危機管理研究機構. ヘルパンギーナ(詳細版).]。

夏風邪・プール熱の家庭での予防と対処法

夏風邪の予防で最も基本となるのが手洗いです。複数の研究を統合した分析では、石けんと流水による手洗いで呼吸器感染症のリスクが6〜44%低減したと報告されています[Trop Med Int Health. 2006;11(3):258-67.]。夏風邪の原因ウイルスも手を介して広がりやすいため、この知見は家庭での夏風邪予防においても手洗いの有効性を裏付けるものと考えられます。

プール熱の予防では、プールに入る前後にシャワーを浴びること、家族間でタオルを共用しないことが推奨されています[日本小児科学会. 予防すべき感染症の解説. 2025.]。アデノウイルスは環境中で長く生き残るため、家庭内でもタオルの使い回しを避けることが感染拡大の防止につながります[Eur J Microbiol Immunol (Bp). 2014;4(1):26-33.]。

ヘルパンギーナや手足口病では、症状が治まったあとも数週間にわたりウイルスが便から排出されます。おむつ交換の後は特に丁寧に手を洗うことが大切です。排泄物の適正な処理も感染拡大の防止に重要とされています[国立健康危機管理研究機構. IDWR 2021年第43号.手足口病・ヘルパンギーナ.]。

夏風邪には有効な治療薬がないため、症状を和らげるケア(対症療法)が中心となります[日本小児科学会. 予防すべき感染症の解説. 2025.]。家庭では水分補給と休養を心がけ、子どもの様子をよく観察するようにしましょう。

夏風邪・プール熱の予防で日常生活の工夫として検討が推奨される点

夏風邪・プール熱を予防するための3つのコツと理由をまとめた表です。1つ目は「手洗いの習慣づけ」で、外出後・食事前・トイレ後に石けんと流水で手を洗うことです。理由は手洗いにより呼吸器感染症のリスクが低減したと報告されており、夏風邪の予防にも有効と考えられているためです。2つ目は「タオルの個別使用」で、家族間でタオルや洗面器を共用しないことです。理由はアデノウイルスは物の表面で長く生き残るため、共用により接触感染が広がる可能性があるためです。3つ目は「プール前後のシャワー」で、プールに入る前後にしっかりシャワーを浴びることです。理由はプールの水を介した感染リスクの低減につながると考えられているためです。

特に重要とされるのは、石けんと流水を使った丁寧な手洗いを家族全員で習慣にすることと考えられています。

ここだけは伝えたいメッセージ

夏風邪は予防と家庭でのケアで乗り越えられる感染症です。手洗いやタオルの個別使用といった基本的な衛生習慣を家族で続けることで、感染リスクを減らすことにつながります。

高熱が長く続く場合、水分が十分にとれない場合、ぐったりしているなど、いつもと様子が異なる場合は、早めに医療機関への受診をご検討ください。

まとめ:子どもの夏風邪とプール熱の違いと予防のポイント

  • 夏風邪の代表的な3つの感染症: プール熱(咽頭結膜熱)、ヘルパンギーナ、手足口病があり、いずれも5歳以下の子どもに多い
  • プール熱の特徴: アデノウイルスが原因で、39〜40℃の高熱、喉の痛み、目の充血が3〜7日間続く
  • ヘルパンギーナの特徴: 突然の高熱と口の奥の水ぶくれが主な症状で、1歳台の子どもに最も多い
  • 手足口病の特徴: 手のひら、足の裏、口の中に水ぶくれが現れ、発熱は軽いことが多い
  • 主な感染経路: いずれも飛沫感染と接触感染であり、プール熱ではプールの水を介した感染もある
  • 予防の基本: 石けんと流水による手洗い、タオルの個別使用、プール前後のシャワーが推奨されている
  • 家庭でのケア: 有効な治療薬はなく対症療法が中心となるため、水分補給と休養を心がける

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(参考文献)

Ghebremedhin B. Human adenovirus: Viral pathogen with increasing importance. Eur J Microbiol Immunol (Bp). 2014;4(1):26-33.
Rabie T, Curtis V. Handwashing and risk of respiratory infections: a quantitative systematic review. Trop Med Int Health. 2006;11(3):258-67.
国立健康危機管理研究機構(JIHS). ヘルパンギーナ(詳細版).
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/herpangina/010/index.html,(参照 2026-08-24).
国立健康危機管理研究機構(JIHS). 手足口病(詳細版).
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/hfmd/010/index.html,(参照 2026-08-24).
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説. 2025年4月改訂版.
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250430_yobo_kansensho.pdf,(参照 2026-08-24).
国立健康危機管理研究機構(JIHS). IASR 38(10), 2017. 特集:手足口病・ヘルパンギーナ 2007年〜2017年9月.
https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/hfmd-m/hfmd-iasrtpc/7600-452t.html,(参照 2026-08-24).

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