
「水を飲みすぎると危ない」は本当?低ナトリウム血症と適切な水分量の目安を教えてください。
監修者おだかクリニック 循環器内科 副院長
水を短時間に大量に飲みすぎると、血液中のナトリウム濃度が低下し「低ナトリウム血症」を引き起こす可能性があります。
「水の飲みすぎ」が危険な理由|低ナトリウム血症とは
「水をしっかり飲もう」という啓発が広まる一方、水の飲みすぎにも注意が必要です。低ナトリウム血症(ていなとりうむけっしょう=血液中のナトリウム濃度が正常値より下がった状態)は、短時間に大量の水を飲んだ場合や、大量の発汗後に水だけを補給し続けた場合に起こる可能性があります。運動に伴う低ナトリウム血症に関する専門家の見解では、発症のリスク因子として「過剰な水分摂取」「長時間の運動」「体格の小さい方」などが挙げられています[Front Med (Lausanne). 2017;4:21.]。
低ナトリウム血症の症状|こんな症状に注意
低ナトリウム血症の初期症状には、頭痛・吐き気・だるさ・筋肉のけいれんなどがあります。重症化すると、意識障害やけいれんを引き起こす場合もあり、早急な対応が必要です。これらの症状は熱中症の症状とも重なるため、見分けが難しいことがあります。日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2024でも、水分補給の際に塩分も併せて摂取することの重要性が示されています。
適切な水分摂取量の目安|飲みすぎを防ぐポイント
水分補給の基本は「こまめに少量ずつ」です。1回にコップ1杯(150〜200ml)程度を30分〜1時間ごとに摂ることが推奨されます。環境省の熱中症環境保健マニュアル2022でも、一度に大量の水を飲むのではなく、こまめな摂取が推奨されています。運動時には、体重の変化で水分の過不足をチェックする方法も有用です。運動前後の体重差がプラスになっている場合は水分の摂りすぎの可能性があります。また、軽い脱水でも認知機能が低下することが報告されており[Med Sci Sports Exerc. 2018;50(11):2360-2368.]、「飲まなすぎ」も「飲みすぎ」も避けるバランスが大切です。
なお、1日に体から失われる水分は約2.5Lとされています。このうち食事から約1.0L、体内の代謝で約0.3Lが自然に補われるため、飲み物からは約1.2Lの摂取が一般的な目安です。ただし、これは通常の生活を送る場合の目安であり、暑い環境での活動時や大量に汗をかく場面ではこれより多くの水分が必要になります。体格・年齢・活動量・気温によっても必要量は変わるため、あくまで参考値として捉えることが推奨されます。
電解質を含む飲料や機能性食品の活用
低ナトリウム血症を予防するうえでも、水だけでなく電解質を含む飲料の活用が有用です。スポーツドリンクや経口補水液(けいこうほすいえき=水分と電解質を効率よく補給できる飲料)には適量のナトリウムが含まれており、水だけを飲むよりも体液バランスを保ちやすくなります。電解質を含むタブレットや塩飴を併用することも選択肢のひとつです。なお、腎臓の疾患や心臓の疾患がある方は、水分・塩分の摂取量について医師に相談することが推奨されます。
適切な水分補給を考えるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、「こまめに少量ずつ」の水分補給を心がけ、一度に大量に飲みすぎないことであると考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
水分補給は大切ですが、「飲めば飲むほどよい」というわけではありません。こまめに少量ずつ、汗をかいたら塩分も一緒に——を基本にすることで、安全に水分補給ができます。
ただし、大量の水分摂取後に頭痛・吐き気・意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、低ナトリウム血症の可能性があります。早めに医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:低ナトリウム血症と適切な水分補給

編集・監修基準について
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(参考文献)
Wittbrodt MT, Millard-Stafford M. Dehydration Impairs Cognitive Performance: A Meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2018;50:2360-2368.
Schleh MW, Dumke CL. Comparison of Sports Drink Versus Oral Rehydration Solution During Exercise in the Heat. Wilderness Environ Med. 2018;29:185-193.
日本救急医学会.“熱中症診療ガイドライン 2024”..https://www.jaam.jp/info/2024/files/20240725_2024.pdf,(参照 2026-05-29).
Hew-Butler T, et al. Exercise-Associated Hyponatremia: 2017 Update. Front Med (Lausanne). 2017;4:21.


