

監修者おだかクリニック 循環器内科 副院長
心肺持久力(VO2max)が低い人は死亡リスクが高く、少しの改善でもリスクの低下が期待できると報告されています。
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VO2maxとは?心肺持久力を表す指標
VO2max(最大酸素摂取量)とは、運動中に体が取り込める酸素の最大量です。「心肺持久力」とも呼ばれ、心臓や肺、血管がどれだけ効率よく酸素を全身に届けられるかを示します。厚生労働省の身体活動・運動ガイドによると、1MET(安静時を1とした運動強度の単位)分VO2maxが向上すると死亡リスクは10〜20%低下すると報告されています[厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート.]。
VO2maxが低いと死亡リスクはどれくらい上がる?
約10万3千人の健康な男女を対象に複数の研究を統合した分析では、心肺持久力が低い群(7.9 METs未満)は高い群と比べ全死亡リスクが70%高く、心血管疾患のリスクも56%高いと報告されました[JAMA. 2009;301(19):2024-35.]。
心臓の運動負荷検査を受けた約12万2千人の患者を追跡した調査では、心肺持久力が最も低い群と最も高い群の死亡リスクの差が、喫煙や糖尿病の有無による差と同等かそれ以上でした[JAMA Netw Open. 2018;1(6):e183605.]。健康な人だけを集めた調査ではない点に注意が必要ですが、心肺持久力が主要なリスク要因に匹敵することを示しています。
199件のコホート研究、延べ2,090万件以上の観察データを統合した最新の分析でも、心肺持久力が高い群は低い群と比べ全死亡リスクが53%低いと報告されています。ただしエビデンスの確実性は「非常に低い〜中程度」と評価されています[Br J Sports Med. 2024;58(10):556-566.]。
VO2maxを上げると寿命はどれだけ延びる?
心血管疾患のない中年男性約5,100人を46年間追跡した研究では、VO2maxが1mL/kg/分(体重1kgあたり1分間に取り込める酸素量)高まるごとに寿命が約45日長いという関連が認められました。心肺持久力が上位5%の群は下位5%の群と比べ、平均で約4.9年長い寿命を示しています[J Am Coll Cardiol. 2018;72(9):987-995.]。
1METの改善ごとに全死亡リスクが13%低下する[JAMA. 2009;301(19):2024-35.]、1MET向上あたり11〜17%低下する[Br J Sports Med. 2024;58(10):556-566.]との報告もあり、この関係は体力が低い人から高い人まで一貫しています。体力が極めて高い群でも生存率のさらなる向上が認められ、恩恵に上限は観察されなかったとも報告されています[JAMA Netw Open. 2018;1(6):e183605.]。
なお、ここで紹介した研究はいずれも体力と死亡リスクの「関連」を調べた観察研究です。体力を上げれば必ず寿命が延びると証明されたわけではない点にはご留意ください。
心肺持久力(VO2max)の改善を考えるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要なのは、今の体力がどのレベルでも、少し上げるだけでメリットが期待できるという点です。
ここだけは伝えたいメッセージ
VO2maxは日々の運動習慣で改善が期待できる指標です。今の体力に自信がない方も、少しずつ体を動かすことが将来の健康リスク低減につながる可能性があります。
一方で、運動を始める際に胸の痛みや強い息切れなどの症状がある場合は、無理をせず医療機関への相談をご検討ください。
まとめ:VO2maxと寿命の関係
- VO2maxとは: 体が取り込める酸素の最大量を示す、心肺持久力の指標
- 低いVO2maxと死亡リスク: 低い群は高い群より全死亡リスクが70%高く、逆に高い群は低い群より53%低いと報告されている
- リスクの大きさ: その差は喫煙や糖尿病の有無による差と同等以上とされている
- 改善の効果: 1MET分の向上で全死亡リスクが11〜17%低下する関連が確認されている
- 寿命への影響: 上位5%の群は下位5%の群より平均約4.9年長い寿命が報告されている
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(参考文献)
厚生労働省. 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート:全身持久力(最高酸素摂取量)について. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-00-010.html.(参照 2026-10-06).
Mandsager K, Harb S, Cremer P, et al. Association of Cardiorespiratory Fitness With Long-term Mortality Among Adults Undergoing Exercise Treadmill Testing. JAMA Netw Open. 2018;1(6):e183605.
Kodama S, Saito K, Tanaka S, et al. Cardiorespiratory fitness as a quantitative predictor of all-cause mortality and cardiovascular events in healthy men and women: a meta-analysis. JAMA. 2009;301(19):2024-35.
Clausen JSR, Marott JL, Holtermann A, et al. Midlife Cardiorespiratory Fitness and the Long-Term Risk of Mortality: 46 Years of Follow-Up. J Am Coll Cardiol. 2018;72(9):987-995.
Lang JJ, Prince SA, Merucci K, et al. Cardiorespiratory fitness is a strong and consistent predictor of morbidity and mortality among adults: an overview of meta-analyses representing over 20.9 million observations from 199 unique cohort studies. Br J Sports Med. 2024;58(10):556-566.







