「急性肝性ポルフィリン症」とはどのような病気ですか?
血液成分のヘモグロビンに含まれる“ヘム”を作る過程の異常で、腹痛や麻痺などが現れる遺伝疾患です。
ヘモグロビンは、赤血球の赤い色素のもとになる成分で、ヘモグロビンに含まれるヘムという物が酸素と結合し、赤血球は全身に酸素を運ぶことができます。
急性肝性ポルフィリン症(AHP)は、遺伝子の変異でヘムを作るのに必要な酵素が欠損(欠けている状態)しているために、ヘムになる前の物質(ヘム前駆体、ポルフィリン)が大量に蓄積します。
ヘム前駆体は過剰に蓄積されると、神経毒性のため激しい腹痛、嘔吐などを引き起こします。
AHPには以下の4つの病型が含まれます。
頻度が多いのはAIPであり、思春期から妊娠適齢期の女性に多い特徴があります。生理や常用している薬剤、無理なダイエットなどが誘発因子となり、症状が発作のようにでることがあります。
- δ一アミノレブリン酸脱水素酵素欠損性ポルフィリン症(ALAD deficiency porphyria:ADP)
- 急性間欠性ポルフィリン症(acute intermittent porphyria:AIP)
- 遺伝性コプロポルフィリン症(hereditary coproporphyria:HCP)
- 異型ポルフィリン症(variegate porphyria:VP)
なお、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、急性肝性ポルフィリン症かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
実臨床では、中年の女性で腹痛を主訴に、疲労感、筋肉痛、不眠などの不定愁訴を伴う発作様症状で繰り返し受診する患者さんの中に、AHPが潜在していることがあります。
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最終更新日:
福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
(参考文献)
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