アナモレリン(エドルミズⓇ)の効果は何ですか?
GHS-R1aを活性化して成長ホルモンの分泌を促進することで、食欲を増進させ、体重減少を阻止する効果があります。
アナモレリン(エドルミズⓇ)は、グレリン受容体である成長ホルモン放出促進因子受容体タイプ1a (growth hormone secretagogue receptor type 1a : GHS-T1a) を活性化することで成長ホルモン(growth hormone : GH)の分泌を促進し、これによって食欲を増進させる効果を発揮します。
また、GHは肝臓からインスリン様成長因子-1(insulin-like growth factor 1 : IGF-1)を分泌させて筋蛋白の合成を促進し、筋肉量および体重を増加させる効果があります。
グレリンとは、主に胃から産生されるホルモンで、受容体であるGHS-R1aに結合することで、食欲中枢を刺激したり、成長ホルモンの分泌を促進する作用があります。しかしながら、グレリンは血漿中の半減期が10分程度と短く、治療応用が難しい点が問題でした。アナモレリン(エドルミズⓇ)は、グレリンと同様の薬理作用をもちながらも、グレリンと比較して血漿中での半減期が長い(血中で分解されにくい)物質として開発されました。
このことから、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんのがん悪液質患者さんで、食欲不振を伴う体重減少が見られる患者さんのうち、栄養療法等では十分な効果がみられない場合に用いられています。
アナモレリンは心臓の刺激伝導系抑制、高血糖、肝機能障害の有害事象が報告されています。このため、心疾患(うっ血性心不全、心筋梗塞または狭心症、完全房室ブロック)、中等度以上の肝機能障害がある場合には、使用は禁忌となっています。
また、心疾患の既往歴、糖尿病患者さん、軽度の肝機能障害がある患者さんでも投与には注意が必要です。詳細は薬剤の添付文書を確認してください。
薬の使用については、医師や薬剤師に相談してください。
公開日:
最終更新日:
東北大学病院腫瘍内科 腫瘍内科
梅垣 翔 監修
(参考文献)
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