基底細胞癌
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2024/04/10
- 公開日
- 2020/09/03
基底細胞癌とは
皮ふがんのひとつで、紫外線にあたりやすい顔などに生じやすく、高齢者に多いです。黒っぽく一見ほくろに似たものや、色素に乏しくへっこんだような赤いタイプまでさまざまです。
もっと詳しく「基底細胞癌」を知る基底細胞癌の症状
基底細胞癌の初期症状を教えてください。
最も多い型の基底細胞癌では、わずかに盛り上がった小さな黒い点が見られます。
基底細胞癌は結節・潰瘍型、表在型、斑状・強皮症型などに分類され、それぞれ見た目が異なります。病型ごとの初期症状を以下に示します。
結節・潰瘍型
日本では基底細胞癌の77.9%がこの型とされています。直径1~2mm程度のわずかに盛り上がった黒い点が見られます。
表在型
境界がはっきりした平らなできものが見られます。
斑状・強皮症型
つやつやとした赤または白色の盛り上がりが見られます。まわりの皮膚との境界ははっきりしません。
その他
潰瘍を形成する破壊型などがあります。
基底細胞癌の原因
「基底細胞癌」の原因やなりやすい人の特徴には、何がありますか?
紫外線が原因と考えられています。
基底細胞癌は皮膚のがんで、
- 顔や首にできやすい
- 低緯度地域(より赤道に近い地域)で患者さんが多い
- 屋外で働いている方が発症しやすい
といった理由から、紫外線が主な原因であると考えられています。
また、基底細胞癌発症の平均年齢は72.6歳ですが、以下のような背景がある方では若年でも発症しやすいとされています。
- 基底細胞母斑症候群
- 色素性乾皮症
- 放射線照射後状態
- 免疫不全状態
基底細胞癌の検査・診断
皮膚がんとほくろの見分け方を教えてください。
皮膚がんとほくろの違いにはいくつかの特徴がありますが、確実な方法はありません。皮膚科を受診しましょう。
皮膚がんには、メラノーマ、有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)、基底細胞癌、乳房外パジェット病などがありますが、中でもほくろと間違われやすいのがメラノーマと基底細胞癌です。
それぞれについて、ほくろとの簡便な見分け方を以下に示します。
ただし、いずれも最終的な診断はダーモスコピー(特別な設備で皮膚を観察する検査)や生検(皮膚を採取して顕微鏡で観察する検査)などの検査を行った上で決定されるものです。少しでも不安がある場合は自分で判断せず、医師に相談しましょう。
メラノーマ
メラノーマの特徴としてよく知られているのがABCDEルールです。これは
- Asymmetry(上下や左右が非対称)
- Border irregularity(周囲の皮膚との境界がはっきりしない)
- Color variegation(できものの一部は黒、一部は茶色など、色が不均一)
- Diamete(直径が6mmを超える)
- Evolution(表面が盛り上がっている)
の頭文字をとったものであり、これらの条件を満たすものはメラノーマである可能性が高いとされています。
基底細胞癌
基底細胞癌の中でも頻繁に見られる結節・潰瘍型というタイプのがんは以下のような経過をとります。
- 直径1~2mmの小さな黒いできものができる
- いくつかのできものが集まって融合する
- 中央がへこんでただれたようになる
ほくろのようなできものが集まって大きくなっている場合は基底細胞癌の可能性が高いといえるでしょう。
参考文献
公益社団法人日本皮膚科学会ほか.“皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版 基底細胞癌診療ガイドライン 2021”.日本皮膚科学会.https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/basal_cell_carcinoma.pdf,(参照 2024-06-26).
公益社団法人日本皮膚科学会ほか.“皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 メラノーマ診療ガイドライン 2019”.日本皮膚科学会.https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/melanomaGL2019_web.pdf,(参照 2024-06-26).
基底細胞癌のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
以下のチェック項目に当てはまる場合、基底細胞癌の可能性があります。
- 紫外線をよく浴びる
- ほくろのようなできものがだんだん広がっている
- できものの中心がへこんで、ただれたようになっている
- 赤っぽいしみのようなものがある
- てかてかとした白~赤色のできものがある
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、基底細胞癌かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
基底細胞癌の治療・対処法
基底細胞癌への対処法は?
めったに転移はしませんが、放置すると大きくなるため、早期に診断・治療がすすめられます。疑う場合には速やかに医療機関を受診しましょう。
基底細胞癌のステージ別の余命や生存率は、適切に治療した場合、それぞれどのくらいですか?
命にかかわることはほとんどありません。
基底細胞癌は手術や放射線治療を行うことで90~99%が治癒するとされています。その後、同じ場所で再発することはあっても、全身に転移することは非常にまれ(0.0028~0.55%)です。
そのため、基底細胞癌は適切に治療すれば命にかかわることは少ないと考えられます。
だんだん大きくなってくるほくろのようなできものなど、気になる症状がある場合は早めに病院を受診し、早めに診断・治療を受けるようにしましょう。
基底細胞癌の治療方法として、ステージごとにそれぞれどのようなものがありますか?
基本は手術によって切除します。難しい場合は放射線治療などを行います。
基底細胞癌のステージ分類は現在明確に定められておらず、他のタイプの皮膚がん(有棘細胞がん)に準じて病期が記載されることがあります。腫瘍の大きさや部位、患者さんの背景などから再発のリスクを評価してそれに応じた治療を行うという方針がとられています。
低リスクの場合
基本的には手術による切除を行います。この際、腫瘍が周囲に広がっている可能性を考慮して、目に見える病変から4mm外側まで切除します。
切除が難しい場合は放射線治療を行います。
高リスクの場合
高リスクの場合でも治療の基本は切除ですが、低リスクの場合よりもさらに外側の皮膚まで切除が行われます。
切除が難しい場合、切除できても腫瘍が神経にふれていた場合などは放射線治療を行います。
放射線での治療も難しい場合、抗がん剤の塗り薬や凍結療法、光線力学的治療といった選択肢があります。
がんが全身に転移してしまっていた場合、抗がん剤を用いた化学療法が行われます。
受診の目安・何科を受診するべきか
基底細胞癌が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
皮膚科を受診しましょう。
基底細胞癌は皮膚にできるがんの一種です。
ほくろのような黒いできものが集まって大きくなっているなど、気になる症状がある場合は皮膚科を受診しましょう。また、形が変化したり、大きくなったりすることもあるため、これらの症状がある場合も注意が必要です。
詳しい診断には専用の設備が必要になることが多いため、診察の結果、基底細胞癌が疑わしいと判断された場合は大きな病院に紹介されることもあります。
基底細胞癌の専門医がいる近くの病院はありますか?
基底細胞癌の専門医がいる病院を見る基底細胞癌に関連するその他の質問
初期の基底細胞癌の写真(画像)やイラストはありますか?
初期の基底細胞癌のイラストは以下の通りです。
初期の基底細胞癌は以下のイラストのような形態をとります。
ただし、これらの写真はあくまで一例であり、すべての場合が同じような臨床像を呈するわけではありません。
基底細胞癌は高齢者の眼瞼や鼻などの顔面に発生することが多いですが、体表のどこにでも発生します。また、形態は時間経過とともに変化していきます。黒色の結節上の腫瘤(しゅりゅう:できものやこぶ)だったのが、表面が崩れ潰瘍化してえぐれてきます。
また、その後は容易に出血するようになっていきます。
基底細胞癌と診断するためには、メラノーマなどの他の病気を除外する必要があり、ダーモスコピーと呼ばれる拡大鏡のようなもので、基底細胞癌に特徴的な見た目の特徴がないかどうかなどを確認することが必要です。
皮膚がんは転移しますか?
転移する可能性はありますが、頻度はがんの種類によって異なります。
代表的な皮膚がんとして、メラノーマ、有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)、基底細胞癌、乳房外パジェット病が挙げられます。この4つのいずれでも転移の可能性はありますが、その頻度はがんの種類によって異なります。
メラノーマ
診断時点でリンパ節転移が見られるのが20%、他の臓器まで転移しているのが9%と報告されています。
有棘細胞がん
治療開始時に転移が見られる割合は5%程度と報告されています。
基底細胞癌
基底細胞癌はここに挙げる3種類のがんの中で最も転移しにくく、再発時でもリンパ節に転移することはほとんどありません。全身転移の頻度は0.0028~0.55%と報告されています。
乳房外パジェット病
リンパ節や他の臓器へ転移する頻度は15%程度とされています。
参考文献
公益社団法人日本皮膚科学会ほか.“皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版 基底細胞癌診療ガイドライン 2021”.日本皮膚科学会.https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/basal_cell_carcinoma.pdf,(参照 2024-06-26).
公益社団法人日本皮膚科学会ほか.“皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 メラノーマ診療ガイドライン 2019”.日本皮膚科学会.https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/melanomaGL2019_web.pdf,(参照 2024-06-26).
公益社団法人日本皮膚科学会ほか.“皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 有棘細胞癌診療ガイドライン 2020”.一般社団法人日本皮膚悪性腫瘍学会.http://skincancer.jp/scc_gl2020.pdf,(参照 2024-06-26).
公益社団法人日本皮膚科学会ほか.“皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 乳房外パジェット病診療ガイドライン 2021”.日本皮膚科学会.https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/extramammary%20Paget%E2%80%99s%20disease2021.pdf,(参照 2024-06-26).
基底細胞癌について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「基底細胞癌」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 肌が茶色になっている部分がありますか?
- 皮ふにコブ状のものがある、または触れますか?
- 皮ふにツヤのあるしこりが出来ていますか?
- 皮ふにただれている場所や、めくれている場所がありますか?
基底細胞癌に関連する病気・症状
この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2024/04/10
- 公開日
- 2020/09/03