隆起性皮膚線維肉腫
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2024/04/10
- 公開日
- 2020/09/03
隆起性皮膚線維肉腫とは
皮ふの深い部分にできる悪性の腫瘤です。体幹部にできることが多いですが腕や足、頭にもできることがあります。
もっと詳しく「隆起性皮膚線維肉腫」を知る隆起性皮膚線維肉腫の症状
隆起性皮膚線維肉腫の末期症状について教えてください。
隆起性皮膚線維肉腫の末期症状は、肺転移や肝転移に伴う胸痛、呼吸困難、黄疸、腹水などです。
隆起性皮膚線維肉腫の末期症状は、肺転移や肝転移に伴う胸痛、呼吸困難、黄疸、腹水などです。
欧州の複数の学会で議論された隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)のガイドラインでは、原発腫瘍のみをstageI、リンパ節転移をstageII、遠隔転移をstageIIIとして分類しています。末期症状とされるのは遠隔転移をきたしたstageIIIと思われます。
2019年に隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)の患者さん357名の切除術後、5年間追跡した論文が発表されています。術後に遠隔転移をきたした4名の転移臓器の内訳は、肺4名、肝臓2名、膵臓1名、骨1名となっています。
したがって、肺転移病変による胸痛、呼吸困難、咳嗽などに加えて、肝転移病変による黄疸、腹水、腹部膨満(腹部の張った感じ)などが主な末期症状として挙げられます。
隆起性皮膚線維肉腫の末期症状はどのようなものがありますか?
隆起性皮膚線維肉腫の末期症状は肺転移や肝転移に伴う胸痛、呼吸困難、黄疸、腹水などです。
欧州の複数の学会で議論された隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)のガイドラインでは、
- 原発腫瘍のみをstage I
- リンパ節転移をstage II
- 遠隔転移をstage III
として分類しています。末期症状とされるのは遠隔転移をきたしたstage IIIと思われます。
2019年にDFSPの患者さん357名の切除術後、5年間追跡した論文が発表されています。術後に遠隔転移をきたした4名の転移臓器の詳細は肺4名、肝臓2名、膵臓1名、骨1名となっています。
したがって、肺転移病変による胸痛、呼吸困難、咳嗽などに加えて、肝転移病変による黄疸、腹水、腹部膨満(腹部の張った感じ)などが主な末期症状として挙げられます。
隆起性皮膚線維肉腫にはどのような症状がありますか?痛みはありますか?
症状に乏しく、痛みがないことも多いですが、進行すると痛みが生じることもあります。
隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)は症状に乏しく、痛みを感じることは少ないですが、まれに痛みが生じることもあります。
DFSPは、体幹や四肢、頭頚部の付け根などにピンクや紫、褐色の硬いしこりのようなものができる病気です。通常は症状に乏しく、痛みなどが生じることはありませんが、病変が大きくなり潰瘍が形成されると、痛みが生じることもあります。
腫瘍は真皮にでき、通常は固定されていますが、下にある構造に連動して動くこともあります。
病変の約50%は体幹に、約35%が四肢に、約15%が頭頸部にできると報告されています。
隆起性皮膚線維肉腫の原因
「隆起性皮膚線維肉腫」の原因やなりやすい人の特徴には、何がありますか?
原因については完全には解明されていませんが、遺伝子異常や外傷(けが)が原因になることがあるとされています。
「隆起性皮膚線維肉腫」の明確な原因については、完全には解明されていません。
特定の遺伝子異常や、過去の外傷(けが)や手術痕、やけどの部位にこの病気を発症したとの報告がありますが、外傷とこの病気の直接的な因果関係は証明されていません。
隆起性皮膚線維肉腫の好発年齢は20〜50歳代の比較的若い人であり、人種別の特徴としてはアフリカ系アメリカ人でやや発生率が高いと報告されています。なお、男女比はないとされています。
隆起性皮膚線維肉腫の検査・診断
隆起性皮膚線維肉腫のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
隆起性皮膚線維肉腫は、主に体幹・四肢・頭頚部に発生するとされていますが、体のどの部位にも発生する可能性があります。
一般的にゆっくりと成長することが多く、初期には痛みのない固い結節として現れることが多いです。時間が経つにつれて、隆起性の腫瘍に成長することがあります。
「体に固い結節や隆起性の腫瘍がないか」を確認していただくことで、ご自身でのセルフチェックが可能です。
ただし、正確な診断には医師による診察が必須です。疑わしい症状がある場合には、早めの受診をおすすめします。
なお、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、隆起性皮膚線維肉腫かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
皮膚のできものの種類のうち、隆起性皮膚線維肉腫は画像で見分けられますか?
画像でわかるような、わかりやすい特徴というのはありません。
隆起性皮膚線維肉腫と他の皮膚腫瘍を画像のみで確実に診断することは、皮膚科専門医でも困難です。特徴的な臨床所見がある場合に、組織をとって診断に至ることがあります。
確定診断のためには、以下の検査が必要です。
病理組織学的検査(生検)
- 典型的な組織像(車輪状配列、ハニカム構造)の確認
- 免疫組織化学染色(CD34陽性が特徴的)
遺伝子検査
- COL1A1-PDGFB融合遺伝子の検出
画像検査
隆起性皮膚線維肉腫の治療・対処法
隆起性皮膚線維肉腫への対処法は?
皮ふ科受診をお勧めします。
隆起性皮膚線維肉腫になった場合、入院期間はどれくらいですか?
一般的には1~3週間程度の入院が必要です。
隆起性皮膚線維肉腫(DFSP※)の手術後の入院期間は、一般的には1週間から2週間程度です。これは手術の範囲や患者さんの状態によって異なります。
手術後の経過観察では、傷の治癒状況や感染の有無、再発のリスクなどを確認します。また、合併症としては感染、出血、傷の治癒不良などが考えられます。
これらの管理が必要な場合、入院期間が延びることもあります。
※DFSPはDermatofibrosarcoma Protuberansの略で、皮膚の結合組織から発生するまれな悪性腫瘍です
隆起性皮膚線維肉腫のステージ別の余命は、適切に治療した場合、それぞれどのくらいですか?
適切な治療行った場合、ほとんどの患者さんは通常の平均寿命と同じくらいと考えられています。
隆起性皮膚線維肉腫は、一般的には予後の良い腫瘍です。特に、局所限局期(ステージⅠ、Ⅱ)の場合、5年生存率は99%、10年生存率も同様程度と言われています。
適切な広範囲切除を行えば、ほとんどの患者さんは通常の寿命をまっとうできると考えられますが、局所再発のリスクがあるため、長期的な経過観察が必要です。
再発までの期間の中央値は約32ヶ月とされていますが、10年以上経過して再発する例も報告されているため、長期的なフォローアップが重要です。
隆起性皮膚線維肉腫の治療方法として、ステージごとにそれぞれどのようなものがありますか?
手術治療がメインとなりますが、手術困難例や再発例では薬物療法(抗がん剤)治療が行われることがあります。
隆起性皮膚線維肉腫の治療には、以下のようなものがあります。
局所限局期(ステージ I、II)
ステージI、IIで切除可能な場合は、外科的手術を行なった上で、放射線療法を併用することがあります。
a) 外科的切除
第一選択は広範囲切除術です。
b) 放射線療法
切除困難な部位や、切除マージンが不十分な場合の補助療法として使用されます。
再発時
多くの場合、局所に再発することが多く、手術が可能であれば再度の手術が検討されます。
切除困難例や多発再発例では抗がん剤治療が行われることがあります。抗がん剤についてはいくつか薬剤の効果が知られていますが、大規模な研究でのデータはまだありません。
隆起性皮膚線維肉腫は非常にまれな腫瘍であり、適切な治療方法については、まだ分かっていないことが多い病気です。
主治医の先生とよく相談して、治療方法を決定することが大切です。
受診の目安・何科を受診するべきか
隆起性皮膚線維肉腫を放置した場合の余命(生存率)はどのくらいですか?
個人差はありますが、生存率は高い一方、放置で再発や転移のリスクが高まるため早期治療が重要です。
隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)を放置した場合の余命は、患者さんごとに差が大きく、正確に何年とは言えません。ただ、通常型DFSPは進行が比較的ゆるやかで、全体の5年生存率は約99~99.4%とされ、一般には予後良好です。しかし、放置すると腫瘍が大きくなり、局所再発をくり返して、まれに遠隔転移することがあります。
特に線維肉腫様変化を伴う型では、再発率約30%、遠隔転移や死亡率約15%と予後が悪くなります。したがって、すぐ命に関わることが多い腫瘍ではないものの、放置はすすめられず、早めの広範囲切除と長期の経過観察が重要です。
隆起性皮膚線維肉腫を放置するとどうなりますか?
隆起性皮膚線維肉腫を放置すると腫瘍が進行し、再発・転移・死亡のリスクが高まります。
起性皮膚線維肉腫(DFSP)は、比較的まれな皮膚軟部腫瘍であり、緩やかな増殖を示すことが多い一方で、局所再発しやすいという特性があります。
2019年に報告された357例のDFSP術後5年間の追跡研究では、遠隔転移をきたした4名中2名が死亡しており、全体の生存率は99.4%、死亡率は0.6%とされています。
このことから、DFSPは一般に予後良好な腫瘍とされています。
しかし、全DFSPの約10~20%を占める「線維肉腫様変化(fibrosarcomatous change)」を伴う亜型(FS-DFSP)は、より悪性度が高く、再発率や転移率が著しく上昇します。
FS-DFSPでは、再発率は約30%、遠隔転移および死亡率は約15%と報告されており、通常型DFSPに比べて明らかに予後が悪化します。
また、局所再発までの期間も数年から数十年と幅があり、長期的な経過観察が必要です。
したがって、DFSPを放置すれば、腫瘍の増大やFS-DFSPへの進展を招く可能性があり、転移や死亡のリスクも無視できません。
早めに外科的切除を行い、病理診断によりリスク評価を行うことが極めて重要です。
隆起性皮膚線維肉腫の名医の探し方を教えてください。
隆起性皮膚線維肉腫の名医は、専門医リストを参考に大学病院やがんセンターの皮膚科で探しましょう。
隆起性皮膚線維肉腫の名医を探す方法は、まず専門性の高い大学病院や、がんセンターの皮膚科を調べることから始めるとよいでしょう。
特に「皮膚科専門医」や「皮膚悪性腫瘍指導専門医」の資格を持つ医師を探しましょう。日本皮膚科学会のウェブサイトでは、専門医リストを公開しています。
また、セカンドオピニオン外来を実施している病院も選択肢になります。
担当医に「この分野に詳しい先生を紹介してほしい」と率直に相談することも大切です。
医師同士のネットワークを通じて適切な専門医を紹介してもらえる可能性があります。
Ubieでは「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。
隆起性皮膚線維肉腫が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
皮膚がんの一種なので、皮膚科の受診をおすすめします。
隆起性皮膚線維肉腫は皮膚がんの一種ですが、その原因は完全には解明されていません。
また、非常にまれな腫瘍であるため、大規模な研究が限られており、原因や適切な治療方法についてもまだまだ分かっていないことが多いです。
隆起性皮膚線維肉腫が疑われる場合には、最新の研究結果に基づいた診断と治療が必要になるため、まずは皮膚科の受診、その後に皮膚科専門医での治療が望ましいと考えられます。
特に、がん専門病院での治療が望ましいと考えられます。
隆起性皮膚線維肉腫の専門医がいる近くの病院はありますか?
隆起性皮膚線維肉腫の専門医がいる病院を見る隆起性皮膚線維肉腫の経過・予後
隆起性皮膚線維肉腫の生存率・死亡率について教えてください。
5年生存率は99.4%、死亡率は0.6%で、線維肉腫様亜型は予後不良です。
2019年に隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)の患者さん357名の切除術後、5年間追跡した論文が発表されています。
術後に遠隔転移をきたした4名のうち2名が死亡しており、生存率は99.4%、死亡率は0.6%となっています。
DFSPには「線維肉腫様」(fibrosarcomatous:FS)という亜型があり、このFSへの変化(FS change)が予後悪化因子として重要だと考えられています。
別の報告では、FSのあるDFSPとFSのない通常DFSPが比較され、以下のようになっています。
FS-DFSP vs 通常DFSP
- 再発率:29.8% vs 14.4%
- 遠隔転移率:14.4% vs 1.1%
- 死亡率:14.7% vs 0.8%
隆起性皮膚線維肉腫は再発しますか?
はい。再発することが多いとされています。
隆起性皮膚線維肉腫は再発することがあります。
主に手術治療が行われますが、再発しやすい腫瘍なので、再発がないかを確認するために手術後も定期的に受診する必要があります。
特に、局所再発(最初にできた腫瘍と同じ場所、または近くに再発すること)は、外科的切除後に注意が必要で、その頻度は20~50%と報告されています。
切除から局所再発までの平均期間は32~38ヶ月と報告されており、手術後の5年間は6ヶ月ごとに診察、再発の有無を確認する必要があります。
診察時には、問診や身体診察、画像検査が行われ、再発や転移が疑われる場合には、生検が行われることもあります。
隆起性皮膚線維肉腫に関連するその他の質問
隆起性皮膚線維肉腫の死亡率について教えてください。
隆起性皮膚線維肉腫の死亡率は低く、5年で2%未満ですが、線維肉腫に似た変化型では死亡率が上昇します。
隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)の死亡率は、一般には低く、5年で2%未満、10年で3%未満とされます。357例を5年間追跡した報告でも、遠隔転移した4人中2人が死亡し、全体の5年生存率は99.4%、死亡率は0.6%でした。このため通常型DFSPは比較的予後良好といえます。
ただし、局所再発しやすく、放置や再発のくり返しで悪性度が上がることがあります。特に線維肉腫に似た変化を伴う型では再発率・転移率・死亡率が上がるため、腫瘍だけでなく周囲を含めた十分な切除と、長期の経過観察が大切です。早めに治療するほど安全性が高いと考えられます。
隆起性皮膚線維肉腫は良性の病気ですか?
いいえ。悪性の病気です。しかし、一般的に予後は良好な病気です。
隆起性皮膚線維肉腫は悪性の病気ですが、治療法が確立されており、一般的に予後は良好です。
体幹や四肢、頭頚部にしこりができる病気であり、通常は症状がありませんが、腫瘍が成長し、潰瘍が形成されると、痛みを伴うこともあります。
腫瘍は数ヶ月から数十年かけて徐々に大きくなり、皮膚の深いところに入り込んでいきます。ゆっくりと進行する腫瘍であるため、診断が遅れることが多いです。
予後は一般的に良好であり、
- 10年生存率:99.1%
無再発生存率(がんの再発がなく生存している割合)は、
- 5年:86%
- 10年:76%
と、されています。
転移はまれですが、再発しやすい腫瘍なので、手術や放射線による治療を受けた後も、再発の有無を確認するために定期的に受診することが重要です。
隆起性皮膚線維肉腫について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「隆起性皮膚線維肉腫」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮ふにコブ状のものがある、または触れますか?
- 肌が茶色になっている部分がありますか?
隆起性皮膚線維肉腫に関連する病気・症状
この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2024/04/10
- 公開日
- 2020/09/03