骨壊死に初期症状はある?骨壊死
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
骨壊死とは
骨への血液の流れが途絶えてしまうことで、骨の一部分が死んでしまった状態です。痛みや関節の動きに制限を生じることが多いです。骨折や脱臼後に生じるものと、アルコールや喫煙、ステロイドや放射線治療などが原因で生じるものに分けられます。
「骨壊死」とはどのような病気ですか?
骨壊死は、骨への血流が途絶え、骨組織が壊死してしまう病気です。
骨壊死(こつえし)は、骨に栄養を供給する血管がなんらかの原因で閉塞し、骨組織に血液が供給されなくなることで、骨細胞が死滅する状態を指します。特に、関節を構成する骨の端の部分(関節面に近い部分)に発生しやすく、大腿骨頭(股関節)、膝関節、上腕骨頭(肩関節)などに多く見られます。
骨が壊死すると、その部分の強度が低下し、微細な骨折が生じやすくなります。進行すると関節の変形や破壊を引き起こし、強い痛みや機能障害を伴うことがあります。早期発見と適切な治療が重要となります。
骨壊死の症状
骨壊死ではどのような症状がありますか?
初期は無症状のこともありますが、進行すると荷重時の痛みや関節の動きの制限が現れます。
骨壊死の初期段階では、自覚症状がほとんどないことが少なくありません。病状が進行し、壊死した骨が潰れ始めると、痛みが出現します。この痛みは、特に壊死部位に体重がかかる動作(例えば、股関節の骨壊死であれば歩行時や立ち上がり時、膝関節であれば階段昇降時など)で強くなる傾向があります。
安静時にも痛むことがあり、夜間痛を訴える患者さんもいます。さらに進行すると、関節の可動域が制限されたり、関節の変形が進んで歩行が困難になったりするなど、日常生活に大きな支障をきたすようになります。
骨壊死には初期症状はありますか?
初期には自覚症状がないことが多いですが、進行すると荷重時の痛みや違和感が生じることがあります。
骨壊死の初期段階では、多くの場合、特徴的な自覚症状はほとんどありません。これは、骨組織が壊死しても、すぐに骨が潰れるわけではないためです。
しかし、病変が進行し、壊死した骨の強度が低下して微細な骨折が生じ始めると、徐々に痛みや違和感を感じるようになります。特に、壊死部位に体重がかかる動作(歩行、立ち上がり、階段昇降など)で軽い痛みや不快感として現れることがあります。
この段階では、まだ症状が軽いため、見過ごされがちですが、早期に発見できれば、治療の選択肢が広がる可能性があります。
骨壊死の原因
骨壊死の原因は何がありますか?
原因は多岐にわたり、ステロイド薬使用、アルコール多飲、外傷、特定の疾患などが挙げられます。
骨壊死の原因は、大きく分けて「特発性」と「続発性」に分類されます。特発性骨壊死は、原因が特定できないものですが、続発性骨壊死にはいくつかの主要な原因が知られています。
最も多いのは、副腎皮質ステロイド薬の長期使用や大量投与、そしてアルコールの過剰摂取です。これらは、骨への血流を阻害するメカニズムを誘発すると考えられています。
その他、大腿骨頸部骨折などの外傷、潜水病(減圧症)、鎌状赤血球症などの血液疾患、全身性エリテマトーデスなどの膠原病、臓器移植後なども原因となることがあります。これらの要因が複合的に関与することもあります。
骨壊死の検査・診断
骨壊死のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
骨壊死は、画像診断(特にMRI)によって確定診断される病気であり、セルフチェックだけで診断することは不可能です。しかし、自身の体の変化に気づき、早期受診のきっかけとすることはできます。
チェックポイント
- 股関節や膝関節など、特定の関節に持続的な痛みや違和感があるか
- 特に、体重をかけたときに痛みが増すか
- 安静時や夜間にも痛みがあるか
- 関節の動きが悪くなったと感じるか
- ステロイド薬の使用歴やアルコール多飲の習慣があるか
これらの項目に複数当てはまる場合は、骨壊死の可能性を考慮し、速やかに整形外科を受診することをおすすめします。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、骨壊死の可能性があるかどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
骨壊死の治療・対処法
骨壊死への対処法は?
壊死した骨の周囲になるべく体重がかからないように気を付けて安静に生活をすることで、変形の進行をくい止めます。飲酒や喫煙が原因と考えられる場合はこれを避けるようにします。ステロイド治療をうけている方は主治医にご相談ください。
骨壊死の場合、主にどのような治療をしますか?
保存療法として薬物療法や免荷、進行例では手術療法(骨切り術、人工関節置換術など)が検討されます。
骨壊死の治療は、病期や壊死部位、患者さんの年齢や活動性によって異なります。初期段階で壊死範囲が小さい場合は、保存療法が選択されることがあります。これには、痛み止めの薬物療法、壊死部位への負担を減らすための免荷(松葉杖の使用など)、理学療法が含まれます。
しかし、病状が進行し、骨の潰れや関節の変形が進んだ場合には、手術療法が検討されます。手術には、壊死部位の血行を改善する骨穿孔術、関節の適合性を改善する骨切り術、そして、最終手段として人工関節置換術などがあります。どの治療法が最適かは、専門の医師が総合的に判断します。
受診の目安・何科を受診するべきか
骨壊死が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
関節の痛み、特に荷重時の痛みが続く場合や、ステロイド使用・アルコール多飲歴がある場合は受診を検討してください。
骨壊死は、初期には無症状のこともありますが、以下のような症状や状況がある場合は、整形外科の受診を強くおすすめします。
- 股関節や膝関節など、特定の関節に原因不明の痛みが続く場合
- 特に、歩行時や立ち上がり時など、体重がかかる動作で痛みが増す場合
- 過去にステロイド薬を長期使用していたり、大量に投与された経験がある場合
- 日常的に多量のアルコールを摂取する習慣がある場合
- 大腿骨頸部骨折などの外傷後に、痛みが改善しない場合。
これらの症状やリスク因子がある場合は、早期に専門医の診察を受け、適切な診断と治療を開始することが重要です。
骨壊死が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
骨壊死が疑われる場合は、骨や関節の専門家である整形外科を受診してください。
骨壊死は、骨や関節の病気であるため、専門的な診断と治療を行う整形外科を受診することが適切です。整形外科医は、問診や身体診察に加え、X線検査、MRI検査、CT検査などの画像診断を用いて、骨壊死の有無、部位、進行度を正確に評価します。特にMRI検査は、骨壊死の早期発見に非常に有用です。
もし、かかりつけ医がいる場合は、まずかかりつけ医に相談し、整形外科への紹介状を書いてもらうことも、スムーズな受診につながります。早期に専門医の診察を受けることで、適切な診断と治療計画が立てられます。
骨壊死の専門医がいる近くの病院はありますか?
骨壊死の専門医がいる病院を見る骨壊死の薬
骨壊死は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
薬物療法は痛みの緩和が主で、非ステロイド性消炎鎮痛剤などが用いられます。骨壊死を直接治す薬は限られます。
骨壊死に対する薬物療法は、主に痛みの緩和を目的として行われます。一般的には、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)が使用されますが、これらは骨壊死そのものを治すものではなく、症状を和らげる対症療法です。長期使用による胃腸障害や腎機能障害などの副作用に注意が必要です。
また、骨の代謝を改善する目的で、ビスホスホネート製剤やプロスタグランジン製剤などが試みられることもありますが、その効果については、まだ議論の余地があります。これらの薬剤にも、顎骨壊死や消化器症状などの副作用が報告されています。
骨壊死の進行を完全に止める、あるいは壊死した骨を再生させる特効薬は、現在のところ確立されていません。
骨壊死の経過・予後
膝の骨壊死は自然に治癒しますか?
膝の骨壊死が自然に完全に治癒することはまれで、多くの場合、治療が必要です。
膝の骨壊死、特に特発性膝骨壊死の場合、壊死範囲が非常に小さく、早期に発見された一部の症例では、自然に痛みが軽減し、病変の進行が止まることも報告されています。
しかし、これはまれなケースであり、多くの場合、壊死した骨は自然には再生せず、放置すると病状が進行し、骨の潰れや関節の変形が進んでしまいます。
そのため、自然治癒に期待するのではなく、早期に整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることが非常に重要です。保存療法や手術療法によって、痛みの軽減や関節機能の維持を目指すのが一般的です。
対処法・セルフケア
骨壊死で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬物療法で効果がない場合は、手術療法を含めた他の治療選択肢について専門医と相談することが重要です。
骨壊死において、薬物療法が痛みの緩和に十分な効果を示さない場合や、病状が進行している場合は、手術療法が検討されます。
手術には、壊死部位の血行を改善するための骨穿孔術(ドリリング)、関節の適合性を改善し、荷重を分散させるための骨切り術、そして最終手段として、損傷した関節を人工関節に置き換える人工関節置換術などがあります。どの手術が適切かは、壊死の部位、範囲、進行度、患者さんの年齢、活動レベルなどを総合的に評価して決定されます。
薬が効かないと感じたら、我慢せずに主治医である整形外科医に相談し、治療方針の見直しや他の選択肢について、詳しく話し合うことが大切です。
骨壊死に関連するその他の質問
骨壊死を起こしやすい骨折はありますか?
大腿骨頸部骨折は、骨頭への血流が途絶えやすいため、骨壊死を合併しやすい骨折として知られています。
特定の骨折は、その部位の血流を阻害しやすいため、骨壊死を合併するリスクが高いとされています。
その代表例が「大腿骨頸部骨折」です。大腿骨頸部は、大腿骨頭(股関節を形成する丸い部分)に血液を供給する血管が走行している重要な部位です。この部位が骨折すると、血管が損傷したり圧迫されたりして、大腿骨頭への血流が途絶え、骨壊死(特に大腿骨頭壊死)を引き起こす可能性が高まります。
骨折のタイプや転位の程度によって、リスクは異なりますが、大腿骨頸部骨折後の骨壊死は、股関節の機能に深刻な影響を与えるため、注意深い経過観察と適切な治療が必要です。
骨壊死について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「骨壊死」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- ステロイド(プレドニン・デカドロン・メドロールなどの名称)を内服していますか?
- 関節が動かしにくいですか?
- 膝(ひざ)が痛みますか?
- 股関節が痛みますか?
骨壊死に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03