深在性真菌症
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
深在性真菌症とは
真菌(カビ)が肺・肝臓・腎臓・脳など体の深い部分に感染した状態です。感染した臓器によって様々な症状が出現しますが、最も感染しやすい臓器は肺です。
もっと詳しく「深在性真菌症」を知る深在性真菌症の症状
深在性真菌症ではどのような症状がありますか?
発熱、倦怠感のほか、感染臓器によって胸痛、咳、頭痛などさまざまな症状を呈します。
深在性真菌症の症状は、感染部位により異なります。
肺に感染した場合
肺に感染する場合、
が主な症状です。
血流に感染した場合
血流に感染すると、
- 発熱
- 悪寒
- 血圧低下
- 倦怠感
が見られます。
脳に感染した場合
脳に感染すると、
などが見られ、場合によってはけいれんが生じることがあります。
また、肝臓や腎臓など他の臓器に感染した場合、それぞれの臓器に関連する症状が現れます。
免疫力が低下している患者さんでは、症状が急速に悪化することがあり、早期診断と治療が重要です。
深在性真菌症の末期症状はどのようなものがありますか?
一般的な全身症状としては持続的な高熱、極度の倦怠感、意識混濁などが挙げられます。
深在性真菌症の末期には感染が全身に広がり、多臓器不全に至るケースが多く、その症状は患者さんの免疫状態や原因真菌によって異なります。
一般的な全身症状としては、
- 持続的な高熱・悪寒
- 極度の倦怠感・衰弱
- 意識混濁・せん妄
- 体重減少・食欲不振
などが挙げられます。
また、感染部位によってさまざまな症状が現れます。例えば、肺が主な感染部位である場合、呼吸不全を引き起こしやすくなるうえ、肺胞出血などのリスクもあります。
特に、免疫不全の患者さんでは症状の進行が速く、適切な治療を行っても予後が厳しいことが多いため、早期診断・治療が重要です。
深在性真菌症には初期症状はありますか?
発熱、胸痛、咳、血痰、喀血などを起こすことがあります。
深在性真菌症の初期症状は一般的に非特異的であり、風邪などの一般的な感染症と区別が難しいことが多いです。
初期症状には、
などが含まれます。肺に感染した場合は、咳や軽度の息切れが現れることがあります。血流に感染した場合は、持続する発熱や寒気が見られることがあります。
これらの初期症状は、免疫力が低下している患者さんにおいて、特に注意が必要です。
診断前に初期治療として抗菌薬を使用される場合は多いですが、深在性真菌症には効果がありません。症状が持続する場合や悪化する場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
深在性真菌症の原因
深在性真菌症の原因は何がありますか?
深在性真菌症の主な原因は、免疫力の低下と特定の真菌による感染です。
深在性真菌症の主な原因は、免疫力の低下と特定の真菌(カビ)による感染です。免疫力の低下は、がん治療のための化学療法、ステロイドや臓器移植後の免疫抑制剤の使用、エイズ、糖尿病などによって引き起こされます。
主な原因の真菌(カビ)には、
- アスペルギルス(Aspergillus)
- カンジダ(Candida)
- クリプトコッカス(Cryptococcus)
などがあります。これらは肺、血流、脳などに感染します。
特に、免疫抑制状態の患者さんに多く見られ、早期発見と適切な治療が重要です。
深在性真菌症の検査・診断
深在性真菌症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
深在性真菌症のセルフチェックは難しく、正確な診断には医療機関での検査が必要です。
しかし、いくつかの症状やリスク要因に注意を払うことはできます。
などが見られる場合、特に免疫力が低下している背景がある場合は、深在性真菌症の可能性を考慮すべきです。
また、抗菌薬で改善しない感染症状や、がんの治療や臓器移植後の異常な体調変化も警戒すべきサインです。
これらの症状やリスク要因に気づいた場合は、早めに内科や感染症科を受診して、専門的な評価を受けることが重要です。
なお、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけで深在性真菌症の可能性をチェックすることもできますので、ご活用ください。
深在性真菌症の治療・対処法
深在性真菌症への対処法は?
早期受診・早期治療をお勧めします。
深在性真菌症の場合、主にどのような治療をしますか?
抗真菌薬を用いて薬物治療を行います。
深在性真菌症の治療は、主に抗真菌薬の使用が中心となります。
代表的な抗真菌薬には、
- アムホテリシンB
- フルコナゾール
- ボリコナゾール
- カスポファンギン
などがあります。これらの薬剤は、感染した真菌(カビ)の種類や患者さんの状態に応じて選択されます。
重症の場合や免疫抑制状態の患者さんでは、静脈内投与が必要となることがあります。
また、基礎疾患の治療や免疫力の回復も重要です。例えば、免疫抑制剤の調整や、感染症に対する予防策を講じることが含まれます。
早期診断と適切な治療が、症状の改善と予後の向上に寄与します。
受診の目安・何科を受診するべきか
深在性真菌症を放置するとどうなりますか?
深在性真菌症を放置すると、感染が急速に進行し、死亡する可能性が高くなります。
深在性真菌症を放置すると、感染が急速に進行し、死亡する可能性が高くなります。
例えば、ムーコル症やフサリウム症では真菌が血管に侵入し、血栓を形成します。血行障害をきたすことで皮膚や四肢の壊死が進行し、手足の切断が必要となることもあります。
血流を介して全身に広がる播種性真菌感染を引き起こすと、最終的に多臓器不全や敗血症で死亡する可能性が非常に高くなります。
特に免疫不全患者さんでは進行が早く、早期診断と治療が生存の鍵となります。
そのため、早急に専門医を受診し、適切な治療を開始することが重要です。
深在性真菌症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
呼吸器内科や感染症科を受診しましょう。
深在性真菌症が疑われる場合、まずは内科を受診することが一般的です。特に、感染症科や呼吸器内科で専門的な診断と治療を行います。
症状が特定の臓器に関連している場合は、その臓器を専門的に診ている診療科の受診が望ましく、例えば、肺の症状がある場合には呼吸器内科、脳の症状がある場合には脳神経内科を受診することが適切です。
また、免疫力が低下している背景にがんの治療や臓器移植がある場合には、それぞれの専門科(腫瘍内科や移植外科、血液内科)も関与することが重要です。
早めに適切な専門医に相談することで、迅速な診断と治療が可能になります。
深在性真菌症の名医の探し方を教えてください。
Ubieでは以下の「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。
深在性真菌症の名医を探すには、以下の方法が有効です。
- 大学病院・感染症専門病院を調べる
- 感染症・呼吸器専門医リストを活用
- セカンドオピニオンを受ける
- 論文や研究発表をチェック
- 医療系サイトで情報を集める
病状が進行しやすい疾患のため、なるべく早く専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
Ubieでは以下の「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。
深在性真菌症の専門医がいる近くの病院はありますか?
深在性真菌症の専門医がいる病院を見る深在性真菌症の薬
深在性真菌症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
抗真菌薬を用います。薬剤によっては、腎臓や肝臓への障害が起こることがあります。
主に使用する薬
深在性真菌症の治療は主に、抗真菌薬の使用が中心です。
代表的な抗真菌薬には
- アムホテリシンB
- フルコナゾール
- ボリコナゾール
- カスポファンギン
などがあります。これらの薬剤は、感染した真菌の種類や患者さんの状態に応じて選択されます。治療は通常、経口または静脈内投与で行われます。
抗真菌薬の副作用
抗真菌薬の副作用には、
などがあります。血中濃度測定のため慎重なモニタリングが必要な薬剤もあります。副作用が現れた場合は、薬剤の変更や用量の調整が行われます。
早期診断と適切な治療が、症状の改善と予後の向上に重要です。
深在性真菌症の経過・予後
深在性真菌症の余命はどれくらいですか?
感染の種類、患者さんの免疫状態、治療の有無によって大きく異なります。
深在性真菌症の余命は、感染の種類、患者さんの免疫状態、治療の有無によって大きく異なります。
一般的に、早期診断と適切な抗真菌薬治療ができれば完治する可能性がありますが、免疫不全の患者さんでは致死率が高く、余命は短くなることが多いです。
また、治療が遅れた場合には、数週間~数ヶ月で死亡することもあります。播種性感染は特に予後不良で、1ヶ月以内に致命的になる可能性もあります。
早期診断・適切な治療が生存期間を延ばす鍵となるため、専門医の診察を受けることが重要です。
対処法・セルフケア
深在性真菌症の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
工事現場などホコリやカビの多い場所は出来るだけ避け、真菌(カビ)を吸い込む機会や量を減らしましょう。
深在性真菌症の場合、日常生活で気をつけるべきことがいくつかあります。
免疫力を高める
免疫力を高めるためにバランスの取れた食事と十分な睡眠を心がけ、ストレスを避けることが重要です。
清潔な環境を維持する
手洗いや消毒を徹底し、清潔な環境を維持することも感染予防に役立ちます。
湿気の多い場所やカビの生えた場所を避ける
真菌(カビ)が繁殖しやすいような、湿気の多い場所やカビの生えた場所を避けることが推奨されます。特に免疫抑制剤を使用している場合や免疫力が低下している場合は、マスクを着用し、人混みや感染リスクの高い場所を避けるようにしましょう。
定期的な受診、健康状態の観察
定期的に医師の指示に従い、健康状態を監視することも重要です。
深在性真菌症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
病変が肺内で1箇所に限局している場合は、手術で切除することもあります。
深在性真菌症で薬が効かない場合、いくつかの対策があります。
まず、別の抗真菌薬に変更することが検討されます。異なる薬剤は異なる真菌に対して効果を示すことがあるためです。
次に、2つ以上の抗真菌薬を組み合わせて使用することも有効です。感染が局所的な場合や治療が不十分な場合には、感染組織を外科的に切除することが考慮されます。
また、免疫力を向上させるための治療や、免疫抑制状態の改善も重要です。
深在性真菌症は命に関わる病気のため、最適な治療法を見つけることが重要です。
深在性真菌症に関連するその他の質問
深在性真菌症と表在性真菌症の違いは何ですか?
深在性真菌症は体の深部の臓器に感染し、表在性真菌症は感染箇所が体表に限局しているものを指します。
深在性真菌症と表在性真菌症の主な違いは、感染部位と重症度です。以下に解説します。
深在性真菌症
深在性真菌症は、体内の深部組織や臓器(肺、血流、脳など)に感染する真菌症で、特に免疫力が低下した人に発生しやすく、重症化することが多いです。
表在性真菌症
表在性真菌症は、皮膚、爪、粘膜など体表面に感染する真菌症で、一般的には重症化しにくく、治療も比較的容易です。例えば、カンジダ症は口腔や陰部の粘膜に発生し、白癬は皮膚や爪に感染します。
深在性真菌症は生命を脅かす可能性があるため、早期診断と治療が重要です。
深在性真菌症の例にはどのようなものがありますか?
アスペルギルス症やカンジダ症、クリプトコッカス症、ムコール症があります。
深在性真菌症にはいくつかの主要な例があります。
アスペルギルス症
アスペルギルス症はAspergillusという真菌(カビ)によって引き起こされ、特に肺に感染しやすいです。
カンジダ症
カンジダ症はCandidaという酵母状真菌によるもので、血流に入り内臓に感染することがあり、カンジダ血症として知られています。
クリプトコッカス症
クリプトコッカス症はCryptococcusという真菌によって引き起こされ、脳や肺に感染します。
ムコール症
ムコール症はMucorales真菌による感染で、鼻腔、副鼻腔、脳などに広がることがあります。
これらの感染症は免疫力が低下している人に多く見られ、早期診断と適切な治療が重要です。
深在性真菌症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「深在性真菌症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 体温は37.5℃以上ですか?
- 体のだるさはありますか?
- 発熱と解熱を繰り返していますか?
- これまでに糖尿病(女性の場合は妊娠糖尿病も含みます)を治療したことがありますか?
- 息苦しさを感じますか?
深在性真菌症に関連する病気・症状
この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03