泣きいり引きつけ(憤怒けいれん)
監修医師五十嵐 健史内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
泣き入りひきつけとは
年齢とともに成長発達に伴って自然に消失して行く病気です。命に関わることや、後遺症を残すことはありませんのでご安心下さい。
もっと詳しく「泣き入りひきつけ」を知る泣き入りひきつけの症状
泣き入りひきつけではどのような症状がありますか?
泣いた直後に息が止まり、顔色不良、意識消失、けいれん様の動きなどが一時的に起こります。
泣き入りひきつけでは、強く泣いた直後に息が止まり、顔色が変わる、意識が遠のく、体がこわばるといった症状が一時的に起こります。
泣き入りひきつけの多くは、「泣く→息を止める→顔色の変化→ 意識がぼんやり/けいれん様の動き→自然回復」という流れをとり、通常は数秒〜数十秒で自然に改善します。
症状は主に2つのタイプがあります。
①チアノーゼ型
最もよくみられ、強く泣いて息を吐き切ったあとに吸えなくなり、顔や唇が青くなるタイプです。意識がぼんやりし、体が少し硬くなることもあります。強い泣きによる一時的な酸素不足が原因です。
②蒼白型
突然の痛みや驚きがきっかけで起こり、顔が真っ白になってぐったりし、けいれん様の動きがみられることがあります。急激な自律神経系(呼吸や心拍を自動で調整する仕組み)の反応による徐脈(心拍が一時的に遅くなること)が原因とされています。
どちらのタイプも、呼吸は自然に再開し、意識もすぐに回復します。発作後は疲れたように泣いたり、眠りたがったりすることもありますが、後遺症は通常ありません。
ただし、発作が1分以上続く、明らかな誘因がない、睡眠中に起こる、回数が急に増える、長いけいれんが続く、発作後も回復に時間がかかるなどの場合には、てんかんや不整脈など別の病気が隠れている可能性があるため、小児科での評価が必要です。
泣き入りひきつけには初期症状はありますか?
強く泣き出す、息を吐き切るように泣く、顔がこわばるなどの様子が前触れとして見られます。
泣き入りひきつけには、発作の直前に「強く泣き始める」「息を吐き切るように泣く」「顔がこわばる」といった前ぶれ(初期症状)が見られることがあります。
典型的な流れとしては、痛み・驚き・強い怒りなどの刺激を受けて大きな声で泣き始め、1〜2回強く泣いたあとに口を開けたまま、急に声が出なくなる状態になります。このとき、息を吐いたまま吸えずに呼吸が止まり、数秒後に顔色の変化が現れます。
チアノーゼ型では、泣き声が徐々に弱まり、呼吸が止まると唇や顔が青くなります。意識がぼんやりし、体が少しこわばることもあります。蒼白型では、泣き声が少ないまま突然顔色が真っ白・灰色になり、ぐったりすることがあり、初期症状が目立ちにくいのが特徴です。
この段階で、子どもはぼんやりしたり、硬直してから脱力したりし、短く意識を失うことがありますが、通常は数十秒以内に呼吸が再開し自然に回復します。
前ぶれとして数秒間の特徴的な流れはありますが、数時間前・数日前からの「予兆」はなく、ほとんどが突然始まります。
一方で、以下の場合は泣き入りひきつけとは限らず、別の病気を考える必要があります。
- はっきりした誘因(泣く・驚くなど)がない
- 睡眠中に起こる
- 1分以上反応が戻らない
- 回復後にぼんやりが長く続く
このようなケースは、てんかんや心臓の問題が隠れている可能性があるため、早めに小児科で評価を受けることが重要です。
泣き入りひきつけの原因
泣き入りひきつけの原因は何がありますか?
主因は自律神経系の未熟さと考えられています。鉄欠乏、体質も関与する、年齢特有の反応です。
泣き入りひきつけの原因のひとつは、乳幼児における自律神経系(心拍や呼吸を自動で調整する仕組み)の未熟さです。ほかに鉄分不足や遺伝的体質も関与します。
泣き入りひきつけは、乳幼児が強く泣いたあとに一時的に息を止め、意識が遠のいたり、体がこわばったりする発作です。原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要素が組み合わさって起こると考えられています。
大きな要因として、乳幼児では自律神経系の働きが未熟で、感情の変化に体が過敏に反応しやすいことが挙げられます。自律神経系は呼吸や心臓の動きを自動で調整する仕組みで、強い泣き、怒り、痛み、恐怖、驚きといった急激な刺激によって過度に反応し、顔色が悪くなる、意識が遠のく、けいれん様の動きが見られることがあります。特に発作が起こりやすい生後6ヶ月〜2歳は、情緒・神経の発達途中であり、こうした反応が起こりやすい時期です。成長とともに神経が成熟し、多くは学童期までに自然に治ります。
その他の要因として、以下が知られています。
- 鉄分不足:鉄欠乏性貧血があると発作が起こりやすく、鉄を補うことで改善することが多いと報告されています。鉄は自律神経や脳機能にも関わっており、不足すると反応が過敏になりやすいと考えられています。
- 家族性(遺伝的体質):家族に泣き入りひきつけの既往がある場合、子どもにも起こりやすい傾向があります。自律神経が強く反応しやすい体質が関与するとされています。
泣き入りひきつけは身体の一時的な反応であり、多くは自然に改善します。
泣き入りひきつけの検査・診断
泣き入りひきつけのセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
泣き入りひきつけをセルフチェックで確実に診断することはできませんが、診断の助けになる観察ポイントがいくつかあります。
泣き入りひきつけは、強い泣きや驚きのあとに一時的に息が止まり、青ざめたり、けいれん様の動きがみられる発作です。てんかんや不整脈など似た症状を起こす病気も存在するため、家庭で「自己診断」するものではありませんが、詳細な観察は診断を大きく助けます。
以下のポイントを観察しておくと、診断に役立ちます。
- 発作のきっかけ:泣く・怒る・痛み・驚きなど、明確な誘因がある
- 発作の流れ:典型的な流れは「強く泣く → 息が止まる → 青ざめる/脱力/硬直 → 数十秒で呼吸が再開→1~2分以内に回復」
- 持続時間:通常は数秒〜30秒程度
- 発作後の様子:すぐ反応が戻る、ぐったりが続かない
- 発作の頻度:頻発する場合は鉄欠乏性貧血などの評価が必要
これらの情報が揃うと、医師は「典型的な泣き入りひきつけか、別の病気を除外すべきか」を判断しやすくなります。発作の様子をよく観察し、可能であれば動画として記録し医師と共有することで、受診時に医師が診断しやすくなります。家庭でのセルフチェックは診断を助ける情報収集にとどめ、初めての発作と、非典型的な発作(誘因なし、回復が遅い、睡眠中、1分以上続くなど)は、必ず小児科に相談してください。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、泣き入りひきつけかどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
泣き入りひきつけの治療・対処法
泣きいり引きつけ(憤怒けいれん)への対処法は?
大泣きする前に抱っこなどでなだめると、意識を失いにくくなる場合もあります。ただし万が一意識を失っても、憤怒けいれんであれば多くは1分以内に改善するので、泣かせないことに執着しなくても大丈夫です。回数が多かったり、発作の時間が長かったりする場合、意識を失って倒れたときにケガをした時などは、受診を検討してください。
泣き入りひきつけの場合、主にどのような治療をしますか?
治療は安全確保と観察が中心で、必要に応じ鉄不足を改善します。多くは自然に治ります。
泣き入りひきつけの治療は、安全確保と経過観察が基本です。
泣き入りひきつけは乳幼児の自律神経系(心拍や呼吸を自動で調整する仕組み)の一時的な反応によって起こります。成長とともに自然に治るため、発作時の落ち着いた対応と経過観察で十分です。必要に応じて鉄不足の改善を行います。
①発作時の安全確保
意識がぼんやりすることがあるため、横向きまたは仰向けに寝かせ、周囲の危険物をどかします。揺さぶる必要はありません。ほとんどは数十秒で自然に呼吸が戻ります。
②鉄分不足の治療
発作の原因として鉄分不足の関連性も指摘されており、血液検査で鉄分不足が確認された場合は治療を検討します。鉄分を補充する治療で発作頻度が減ることがあります。
③泣き入りひきつけについて理解する
急に青ざめたり硬直したりするため保護者は驚きますが、後遺症は残らず、多くは学童期までに自然に治ること、てんかんとは異なることを知っておくことが大切です。安心できる知識があると、過度な不安や不必要な救急受診を防げます。不安や疑問があれば、小児科で相談するとよいでしょう。
④必要な場合のみ検査
発作が長い、頻繁に起こる、誘因がはっきりしない、回復に時間がかかるなどの場合は、小児科を受診しましょう。必要に応じて心電図検査、血液検査、脳波検査などが行われます。典型的で短時間で回復する発作であれば、特別な治療は不要です。
泣き入りひきつけは、ほとんどが自然に治る良性の発作で、薬物治療が必要になることはまれです。
受診の目安・何科を受診するべきか
泣き入りひきつけが疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
まずは小児科を受診しましょう。必要に応じて小児神経科や循環器科へ紹介されます。
泣き入りひきつけが疑われる場合は、まず小児科を受診するのが適切です。必要に応じて、小児神経科や小児循環器科などへの紹介が行われます。
泣き入りひきつけは、乳幼児が強く泣いたり驚いたりしたときに、一時的に息が止まり、顔色が悪くなったり、意識が遠のいたりする発作です。乳幼児特有の自律神経系(心拍や呼吸を自動で調整する仕組み)の未熟さに起因し、発症年齢は6〜18ヶ月が最多で、多くは6歳までに自然に消失します。
診療の入り口として最も適しているのは小児科です。小児科では、発作の様子や誘因、持続時間を詳しく聞いたうえで、泣き入りひきつけの典型的な経過かどうかを判断します。発作時の動画があれば、診療に非常に役立ちます。
また、必要に応じて以下の検査を行うことがあります。
症状が典型的であれば、追加検査を行わず経過観察となることもあります。
特に、発作が長い(1分以上)、頻繁に発作を繰り返す、泣いていない状態で突然意識がなくなる、回復に時間がかかるなどの場合、小児科医が小児神経科や小児循環器科への紹介を検討します。
泣き入りひきつけは自然によくなることがほとんどですが、初期評価は重要です。まずは小児科を受診し、安心して経過をみられるようアドバイスを受けてください。
泣きいり引きつけ(憤怒けいれん)の専門医がいる近くの病院はありますか?
泣きいり引きつけ(憤怒けいれん)の専門医がいる病院を見る泣き入りひきつけの薬
泣き入りひきつけは主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
特別な薬は不要で、治療は鉄欠乏がある場合の鉄剤が中心です。副作用は軽い消化器症状です。
泣き入りひきつけでは、特別な薬を使う治療はほとんど必要ありません。 鉄分不足があれば鉄剤を使用することがありますが、副作用は胃腸症状が主です。
泣き入りひきつけは、乳幼児が強く泣いたり驚いたあと、一時的に息が止まり顔色が変わる現象で、脳の病気ではなく自律神経系(心拍や呼吸を自動で調整する仕組み)の一時的な反応として起こります。成長とともに自然に治まるため、特別な薬を使った治療は基本的に必要なく、大切なのは発作時の安全確保と家庭での観察です。薬物治療が有効とされる数少ないケースが、鉄欠乏(鉄分不足)を伴う場合です。
血液検査で鉄欠乏が確認されたとき、鉄剤(鉄を補う薬)を内服すると発作の頻度が減ることがあると報告されています。鉄は赤血球をつくるだけでなく、自律神経や脳の反応にも関わるため、不足すると泣き入りひきつけが起こりやすくなると考えられています。
鉄剤の副作用は比較的軽く、以下のような胃腸症状が中心です。
これらは多くが一時的で、食後に服用するなどの調整で改善します。
抗てんかん薬や心臓の薬は、泣き入りひきつけには不要です。ごくまれに難治例や重症例に特別な薬を使うこともありますが、一般的ではなく特殊なケースであり、専門医の管理下でのみ行われます。誤っててんかんと判断され、不必要な薬が処方されることを避けるためにも、正しい診断が重要です。
対処法・セルフケア
泣き入りひきつけの場合、日常生活で気をつけることはありますか?
発作時の安全確保、生活リズムの調整、鉄分不足の改善が重要です。
泣き入りひきつけでは、発作時の安全確保と、生活リズム・鉄分不足の改善が重要です。
泣き入りひきつけは、強い泣きや驚きの直後に一時的に息が止まり、青ざめたり意識が遠のく発作で、多くは成長とともに自然に治ります。日常生活で特別な制限は必要ありませんが、発作を安全に乗り切ることと、誘因を減らす工夫が大切です。
最も重要なのは発作時の安全確保です。倒れた際に頭部を打たないよう、子どもを平らな場所に寝かせ、周囲の物をどけます。揺さぶったり、口の中に物を入れてはいけません。多くは数十秒で呼吸が自然に戻るため、落ち着いて見守ることが大切です。
生活面では、規則正しい睡眠が特に重要です。睡眠不足は感情の爆発や癇癪の頻度を増やし、泣き入りひきつけの誘因になります。食事リズムを整えることも、低血糖や空腹によるぐずりを減らすことに役立ちます。鉄欠乏は発作を悪化させるため、鉄を含む食品を意識し、必要に応じて医師の指示のもと鉄剤治療を検討します。
行動面では、子どもの癇癪に一貫した対応が必要です。発作後に親が慌てて要求をのんでしまうと、癇癪と発作が「強化」されてしまう可能性があるため、冷静な対応が重要です。また、激しい泣き方は発作の誘因となるため、強い叱責を避け、事前に見通しを伝える、選択肢を示すなど、気持ちの切り替えを助ける関わり方が効果的です。
泣き入りひきつけに、過度の心配や生活制限は必要ありません。転倒や窒息を避ける工夫と、誘因となるストレスを減らすことが、安心して生活するために大切です。
泣き入りひきつけで薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬が効かないときは小児科で診断を再確認してもらい、他の病気を除外して経過をみます。
泣き入りひきつけで薬(主に鉄剤)が効かない場合は、まず小児科で診断の再確認をしてもらいましょう。
泣き入りひきつけの多くは成長とともに自然に改善するため、薬物治療を追加するより「正しい診断」と「経過観察」が基本となります。鉄欠乏がある場合に鉄剤が有効とされていますが、3ヶ月ほど十分量を服用しても改善しないときは、薬を増量するのではなく、まず診断の再評価が必要です。特に、誘因なく発作が起こる、発作が長いなどの非典型的な場合は、てんかんや心臓の不整脈など似た症状を起こす他の病気を除外します。必要に応じて脳波、心電図、鉄代謝検査(内服の吸収評価)を行います。
日常生活の見直しも重要です。睡眠不足、ストレス、家庭内の混乱は感情の爆発を増やし、発作の誘発に関係するため、生活リズムの整備や落ち着いた対応が大切です。癇癪のパターンや発作の記録は、診断に役立ちます。
特殊な難治例や重症例に対しては、専門医の管理下で抗てんかん薬や抗コリン薬の使用が検討されることもありますが、慎重な評価が前提です。
泣き入りひきつけは、薬に反応しなくても予後が非常によいことを理解することが大切です。ほとんどの子どもは4〜6歳までに発作が大幅に減少し、後遺症は残りません。どの症状が危険なのか、家庭でどう対応すべきか医師から説明を受けることで、不安を軽減し、不要な薬や検査を避けられます。
泣き入りひきつけに関連するその他の質問
泣き入りひきつけで死亡した例はありますか?
泣き入りひきつけ自体での死亡例はほぼありません。事故防止と診断の確認が重要です。
泣き入りひきつけそのものが原因で死亡した例は、医学的にほぼ報告されていません。
泣き入りひきつけは主に自律神経系(心拍や呼吸を自動で調整する仕組み)の未熟さによる反応で、発作は通常数十秒以内に自然に回復し、後遺症も残りません。大規模研究では、泣き入りひきつけを起こす子どもの死亡率は一般の子どもと変わらないことが示されています。死亡例がほぼない理由としては、発作が短時間で収まること、酸素が完全に途切れるわけではないこと、多くが成長とともに改善し、学童期までに消失することが挙げられます。
ただし、まったくリスクがないわけではなく、注意すべき点はいくつかあります。
まず、発作中の事故です。転倒して頭を打つ、窒息するなど、発作そのものではなく、周囲の環境が危険を生む場合があるため、発作が起きたら安全な場所に寝かせることが重要です。
次に、基礎疾患の見落としです。まれに、泣き入りひきつけに似た症状が、実は不整脈や重症の心疾患による失神であることがあります。特に蒼白型(痛みや驚きで迷走神経反射が強く起こり、心拍がゆっくりになり血圧が低下し、一時的に意識が遠のくタイプ)の泣き入りひきつけで、長い無反応が続く場合は、精密検査が必要です。心配な場合は、医師に相談しましょう。
結論として、典型的な泣き入りひきつけの自然経過は良好で、死亡リスクは極めて低いと言えます。
泣き入りひきつけは発達障害と関係がありますか?
泣き入りひきつけは発達障害とは関係なく、自律神経系の未熟さによる年齢特有の反応です。
泣き入りひきつけは、一般的に発達障害とは関係ありません。
泣き入りひきつけは、強く泣いた直後に一時的に息が止まり、青ざめたり意識が遠のいたりする乳幼児特有の反応です。主な原因は自律神経系(心拍や呼吸を自動で調整する仕組み)の未熟さであり、脳の発達そのものとは関係しません。発達障害は脳の発達や特性によるものであり、泣き入りひきつけとは仕組みがまったく異なります。
泣き入りひきつけがあっても、発達に影響したり、発達障害を引き起こしたりすることはないと、これまでの研究で明確に示されています。大規模研究でも、泣き入りひきつけの有無でその後の発達障害の発生率に差はないことが確認されています。後遺症が残ることもなく、成長とともに多くは4〜6歳頃までに自然に消失します。
それでも「発達障害と関係があるのでは」と心配される理由のひとつは、この発作が起こりやすい6ヶ月〜2歳が、ちょうど言葉の発達や社会性などの個人差が目立ち始める時期と重なるためです。また発達障害の子どもでは感覚過敏や感情のコントロールの難しさから、泣く機会が多かったり癇癪が強かったりするため、結果として泣き入りひきつけの誘因が増えることがあります。しかしこれは「泣き入りひきつけを起こす子は発達障害である」という意味ではありません。
言葉の遅れ、社会的な関わりの乏しさ、反復行動など発達面で気になる点がある場合は、泣き入りひきつけとは切り離して専門家へ相談する必要があります。また、発作が極端に多い、長い場合は小児科での評価が適切です。
泣き入りひきつけは大人でも起こりますか?
泣き入りひきつけは乳幼児特有の反応であり、大人には基本的に起こりません。
泣き入りひきつけは、基本的に大人には起こりません。
泣き入りひきつけは、乳幼児特有の自律神経系(心拍や呼吸を自動で調整する仕組み)の未熟さに起因し、多くは6歳までに自然に消失します。
大人で、泣き入りひきつけと同じ仕組みの発作が起こることは、医学的にほぼ確認されていません。自律神経系が成熟し、感情刺激だけで呼吸停止や意識消失が引き起こされにくくなるため、また感情表現の方法が多様になり、泣く・怒るといった行動が呼吸パターンに大きく影響することが少なくなるためです。
大人で「気を失う・青ざめる・けいれんする」といった症状が起こる場合、それは泣き入りひきつけとは別の病態です。最も近いのは血管迷走神経反射による失神で、痛み・恐怖・立位などをきっかけに脳への血流が一時的に減少し、血圧が急低下し意識を失います。てんかんや不整脈も成人の意識消失発作の原因となりえます。
まれに思春期〜若年成人に「泣き入りひきつけ様の発作」が報告されていますが、それらは精神的ストレスに伴う半意識的な過換気や呼吸停止であり、泣き入りひきつけとは異なります。また、小児期に蒼白型(痛みや驚きで一時的に意識が遠のくタイプの泣き入りひきつけ)を経験した人は、成人後に血管迷走神経反射による失神を起こしやすいという指摘がありますが、これも泣き入りひきつけ自体が持続するわけではありません。
大人で泣き入りひきつけに似た症状がみられる場合は、別の疾患が隠れている可能性があるため、必ず医療機関で評価を受けましょう。
泣き入りひきつけの場合、どのように育てたらよいですか?
特別なしつけは不要です。安全確保しつつ、安心できる環境で、普段どおり育てればよいでしょう。
泣き入りひきつけの場合に、特別な育て方は必要ありません。
泣き入りひきつけの多くは、成長とともに自然に治ります。「発作時の安全確保」と「落ち着いた日常環境づくり」を大切にしながら、普段どおりに育てて問題ありません。
発作が起きたときは、子どもを床など安全な場所に寝かせ、頭周りの物をどかし、呼吸や顔色を観察します。揺さぶったり、口に物を入れてはいけません。多くは数十秒で呼吸が再開し、数分以内に完全に回復します。1分以上反応が戻らない場合は救急要請が必要です。
日常生活では、感情的な爆発を少なくする予防が役立ちます。睡眠不足、低血糖、空腹は不機嫌や癇癪の頻度を増やすため、規則正しい睡眠と食事が大切です。また、鉄分不足が発作に影響する可能性が示唆されているため、鉄を含む食品を意識し、必要に応じて医師と鉄剤治療を検討します。
行動面では、子どもの癇癪に一貫した対応が必要です。発作後に親が慌てて要求をのんでしまうと、癇癪と発作が「強化」されてしまう可能性があるため、冷静な対応が重要です。また激しい泣き方は発作の誘因となるため、強い叱責を避け、事前に見通しを伝える、選択肢を示すなど、気持ちの切り替えを助ける関わり方が効果的です。
発作が頻回の場合は、動画を撮り医師に相談すると診断の助けになります。誘因がない、発作が長い、6歳を過ぎても続くなどの場合は、小児神経科など専門医の評価が必要です。
泣き入りひきつけは育て方の問題ではなく、多くの子どもが正常に成長し、自然に治っていきます。
泣き入りひきつけについて、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「泣きいり引きつけ(憤怒けいれん)」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 泣いた後、息を吐いた状態のままで呼吸が停止していますか?
- 意識を一時失いましたか?
- 普段と比べて顔色が悪いですか?
- けいれん発作がありましたか?
泣き入りひきつけに関連する病気・症状
この記事の監修医師
五十嵐 健史
内科・麻酔科
東京大学医学部卒。東京都健康長寿医療センターで初期研修を行い、2017年10月よりUbie株式会社に就職。Ubie株式会社では医学データの登録や修正のほか、製薬チームのサポートも行う。現在は内科医として勤務中。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03